1,800円以上の注文で送料無料

ふたりの証拠 の商品レビュー

4.1

171件のお客様レビュー

  1. 5つ

    52

  2. 4つ

    70

  3. 3つ

    32

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

    1

レビューを投稿

2021/09/29

『悪童日記』の続編。生き別れになった双子のひとりのその後を描く。一作目とは違い、情の厚い人柄が随所ににじみ出ている。後半にかけては、やはり、「ん?」と何度も読み返さざるを得ないびっくりする展開が待ち受けていた。次作もつい気になってしまう。

Posted byブクログ

2021/09/08

「大きな帳面」からはおよそ人間らしい感情を読み取れなかった「ぼくら」の片割れリュカが人間的に成長できたのはマティアスによるところが大きいだろう。もっともリュカが本当に成長したと言えるのかは分からないが。リュカの物語は小説の主体として十分に堪えられる物だが、正直に言って本書を読み進...

「大きな帳面」からはおよそ人間らしい感情を読み取れなかった「ぼくら」の片割れリュカが人間的に成長できたのはマティアスによるところが大きいだろう。もっともリュカが本当に成長したと言えるのかは分からないが。リュカの物語は小説の主体として十分に堪えられる物だが、正直に言って本書を読み進めた理由は『悪童日記』の続編だからだった。読んでいて、一作目に比べて著者は何とも平凡な小説に仕上げたものだと感じた。 ところが最後の8章に来てはっと目が覚める思いをした。幸い、シリーズ完結となる『第三の嘘』はもう手元にある。

Posted byブクログ

2021/08/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

悪童日記の続編。双子の名前がわかることで、個人としての存在感が一気に増す。残った側、リュカ目線の話。 前作からの登場人物がモリモリ出るので、悪童日記をまた読み返したくなる。うーん。買おうかなぁ。 リュカの行動がわかりにくい。赤ちゃんを抱いた若い娘を助けてその子供に愛情を注いでいるかと思いきや、街へ出て未亡人の世話をする。 二人のもう一人であるクラウスがいなくなった隙間を埋めているのかな。 ラストはバタバタっと話が進む。リュカ……泣 次がシリーズ最終巻みたいなんで、最後まで読み切る。クラウス側の話なんかな?

Posted byブクログ

2021/07/15

「悪童日記」続編(三部作のうち二作目)を早速読んでしまった。「悪童日記」の画期的な小説スタイルは保持されてないけど、感情表現を削ぎ落とした文章はそのまま。同じく推測の読み応えがある。 「ふたりの証拠」とのタイトルだけど、証拠になり得るものはなんだろう?そもそも存在の証とは?アイ...

「悪童日記」続編(三部作のうち二作目)を早速読んでしまった。「悪童日記」の画期的な小説スタイルは保持されてないけど、感情表現を削ぎ落とした文章はそのまま。同じく推測の読み応えがある。 「ふたりの証拠」とのタイトルだけど、証拠になり得るものはなんだろう?そもそも存在の証とは?アイデンティティとは?と疑問を突きつけられてるかのよう。 同時に、前作の「悪童日記」は何だったんだろう?と考えずにはいられない。 物語を通して流れる雰囲気は、前作とは対照的に暗くて重苦しい。「悪童日記」はリアリティとファンタジーが混在したエンタメ性があり、大きな魅力だった。「ふたりの証拠」はファンタジー=虚構とはっきり打ち出され、代わりに戦後の喪失、孤独、絶望…といったものがひとつの大きなテーマになってる。楽しい本ではないし、前作を読んだ人じゃないとつまらなくて読めなそう。 読書は「本と対話」することらしい。このシリーズは流し読みするとわからない事だらけ。でも完全に読者に委ねられてる無責任な小説ではなく、あちこちにヒントがあり、それらをつなげる作業を思わずしたくなる。たくさん対話したくなる小説。

Posted byブクログ

2021/07/12

アゴタ・クリストフの「悪童日記」の続編。続編であるが、それらは「悪童日記」、本作「ふたりの証拠」、そして「第三の嘘」の三部作になっており、「悪童日記の続編」というよりは、「三部作の第二部」と呼んだ方が良い。 ハンガリーとドイツの国境とおぼしき街で、祖母と一緒に暮らし育った双子のリ...

アゴタ・クリストフの「悪童日記」の続編。続編であるが、それらは「悪童日記」、本作「ふたりの証拠」、そして「第三の嘘」の三部作になっており、「悪童日記の続編」というよりは、「三部作の第二部」と呼んだ方が良い。 ハンガリーとドイツの国境とおぼしき街で、祖母と一緒に暮らし育った双子のリュカとクラウス。第一部である「悪童日記」の最後では、クラウスは、国境を越え、育った国境の街を出て行ってしまう。 本書、第二部では、国境の街に残ったリュカの物語が進行する。第二部の初めの部分でのリュカの年齢は15歳。30歳でリュカも国境の街を出ていき、そして、それから20年後、双子が50歳になった年にクラウスが国境の街に、リュカを訪ねて戻ってくる。第二部を読み終わった読者は、”リュカはどこに行ったのか”、”クラウスはこれまでどのように暮らしていたのか”、”なぜクラウスは国境の街に戻ってきたのか”、”リュカとクラウスは再び会うことが出来るのか”等の疑問を持ったまま、取り残されることになる。 第三部の「第三の嘘」を読むことでしか、それは解決しない。

Posted byブクログ

2021/07/11

「悪童日記」の続編だけど、テイストが全然違って人間味が出てくる。 「大切なもの」が出来て、それを中心として世界が回っていく。 ただ、なぜ「大切」だと思うのかは理解できないままです。 双子の結末がますます気になる。

Posted byブクログ

2021/07/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

独特の世界観でずっと雨が降りそうな曇りの天気のような一冊。 実の父との間にできた子を連れた女や、不眠症、アル中で姉を殺した男、同性愛者の政治家、旦那を国に殺された未亡人、障がいをもつ子の自殺。 リュカの精神が安定していないので双子の国境の外に出た方が精神が安定してて…とかの書き分けが後半と前半にあるのかなって思ったけどそうでもないみたい。結局双子じゃなかったのか?などとイマジナリーフレンド的なものを彷彿させた。 悪童日記が衝撃だっただけにどんよりとした一冊に感じた。たんたんと起こる事件のようなものや、その時代世情が人にそのまま現れたような登場人物の生き様だったかのようにも感じた。

Posted byブクログ

2021/05/20

有名な『悪童日記』の続編。三部作の二作目。 『悪童日記』の主人公であった双子の片方(名前はリュカ)が今作の主人公である。前作より少し歳をとったリュカが擬似家族を作って暮らす青年期を描いている。 前作と少しトーンが変わり、いくつかの謎を残すつくりとなっている。続く三部作の最終作『第...

有名な『悪童日記』の続編。三部作の二作目。 『悪童日記』の主人公であった双子の片方(名前はリュカ)が今作の主人公である。前作より少し歳をとったリュカが擬似家族を作って暮らす青年期を描いている。 前作と少しトーンが変わり、いくつかの謎を残すつくりとなっている。続く三部作の最終作『第三の嘘』も早く読まねばと思わせられる引きで本作は終わる。

Posted byブクログ

2023/06/25

リュカに焦点を当てて話が展開されていく… 《悪童日記》からの続編と言う事で兎に角面白い! 3rdstageはどんな展開が待っているのだろうか?

Posted byブクログ

2021/02/08

独特な文体に引き込まれた前作『悪童日記』の興奮が冷めやまぬうちに、ページをめくった。 淡々と進む物語に、ストレートに何も考えずに読み進めたが、最後にしてやられた。 底が見えない深淵にはまったというか、それとも茫洋の海に放り込まれたような…そんな気分。 ここで止めては読者泣かせ...

独特な文体に引き込まれた前作『悪童日記』の興奮が冷めやまぬうちに、ページをめくった。 淡々と進む物語に、ストレートに何も考えずに読み進めたが、最後にしてやられた。 底が見えない深淵にはまったというか、それとも茫洋の海に放り込まれたような…そんな気分。 ここで止めては読者泣かせというもの。 続きが待ち遠しくて仕方がないのは久しぶりだ。 さぁ、次はいよいよ完結編。じっくりと楽しみ、味わいたい。

Posted byブクログ