エンデュアランス号漂流 の商品レビュー
「求む男子。至難の旅。僅かな報酬。極寒。暗黒の長い日々。絶えざる危険。生還の保証無し。成功の暁には名誉と賞賛を得る。アーネスト・シャクルトン」 心が奮い立たされるこの広告に出会い調べたところ、この募集でシャクルストンの元に集まったメンバーは、1年8か月の間、難局を漂流した後、全...
「求む男子。至難の旅。僅かな報酬。極寒。暗黒の長い日々。絶えざる危険。生還の保証無し。成功の暁には名誉と賞賛を得る。アーネスト・シャクルトン」 心が奮い立たされるこの広告に出会い調べたところ、この募集でシャクルストンの元に集まったメンバーは、1年8か月の間、難局を漂流した後、全員無事に生還したという。 どんな漂流だったのか、このシャクルストンはどんな人物だったのか、それを知るために本書を手に取った。 漂流記はいくつかあるが、このエンデュアランス号で印象に残ったのは、メンバーの綿密な日記や写真が残っている事、極寒や流氷との闘い、そしてシャクルストンのリーダーシップ。 装備は意外と近代的。蒸気機関、薬、銃、缶詰などが登場するが、この究極の環境の中では、微々たる力。 刻々と変わる状況の中で、素早く判断し、個性のあるメンバーを導き、全員を生還させることができた、シャクルストンの責任感や行動力には、学ぶことが多かった。
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奇跡の生還をしたと明かされているものの、いくつもの困難が襲い来る中でどうなっていくのかとドキドキ。ラストの4行がとても好きで、これで彼らの旅は終わったんだなと胸が熱くなった。 注意点としては、人は無事だけど犬は死にます。容赦なく。
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漂流記モノでは古典の部類になるが、サバイバルの視点と主人公シャクルトンのリーダーシップの視点という二つの観点から単なる漂流記モノではくくれない読み応えがある。 全編を通して流れる“諦めない精神力”は現代に生きる私たちにも通じるものがあると思う。 椎名誠氏が推薦していてずっと気にな...
漂流記モノでは古典の部類になるが、サバイバルの視点と主人公シャクルトンのリーダーシップの視点という二つの観点から単なる漂流記モノではくくれない読み応えがある。 全編を通して流れる“諦めない精神力”は現代に生きる私たちにも通じるものがあると思う。 椎名誠氏が推薦していてずっと気になっていたが、ようやく読み終えることができた。 また、文庫版あとがきでこの作品が翻訳された経緯に、故・星野道夫氏の存在があったことに改めて驚きました。
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スゴ本オフ「のりもの」の回でいただいた一冊。自粛期間終わり頃に読み始めたのですが、これは自粛期間にこそ読むべきでした。 1914年12月、シャクルトン率いる28名の乗組員は南極大陸横断の探検に出発。1915年1月、船が流氷帯に閉じ込められ、ここで南極の冬を越す。11月、氷の圧迫...
スゴ本オフ「のりもの」の回でいただいた一冊。自粛期間終わり頃に読み始めたのですが、これは自粛期間にこそ読むべきでした。 1914年12月、シャクルトン率いる28名の乗組員は南極大陸横断の探検に出発。1915年1月、船が流氷帯に閉じ込められ、ここで南極の冬を越す。11月、氷の圧迫により、エンデュアランス号沈没。氷盤の上にキャンプを設営し、氷が割れて海への道ができるのを待つ。4月、氷が割れ、3艘のボートで脱出、エレファント島に上陸。6名が救助を求めてサウスジョージア島へ出発、無事に上陸を果たすが、その後の救助活動が難航し、残る22名は救出される8月30日まで4ヵ月を無人島で過ごす。 28名全員が生還したのでこうして本にもなっているわけですが、その漂流は本当に困難の連続。荒れ狂う大海を手漕ぎのボートで陸地をめざすのもほとんど無謀ですが、氷と海しか見えない世界で何ヶ月もただ待つという日々。南極だから気温は当然氷点下。乾いた場所はなく、寝袋も服も濡れたまま。アザラシやペンギンが見つからなければ飢える恐怖もつきまとう。 船の名前がエンデュアランス(「不屈の精神」と訳されてますが「忍耐」の意)なのは皮肉としか思えない。 シャクルトンのリーダーシップとともに語られることが多いようですが、私はむしろ長い日々に耐え続けた乗組員たちの忍耐力にこそ賞賛を送りたい。 星野道夫がアラスカで愛読しており、友人を通して日本語訳が1998年に出版、というのもこの本のエピソードにふさわしい。 以下、引用。 「科学的な指導力ならスコット、素早く能率的に旅することにかけてはアムンゼンが抜きん出ている。だがもしあなたが絶望的な状況にあって、なんら解決策が見いだせないときには、ひざまずいてシャクルトンに祈るがいい」 続けて航海士や科学者たちの居室を、甲板室にある部屋から、比較的暖かい主甲板下の倉庫に移す作業が始まった。引っ越しは三月の初旬に行なわれ、彼らはこの居室を、ロンドンの高級ホテルにちなんで〝リッツ〟と名付けた。 毎週土曜の夜には、ベッドに入る前にグロッグがふるまわれ、皆で乾杯をした。「我らが恋人たち、妻たちに」と杯をあげてコーラスした後、必ず全員で「決して互いに会うことのないように」とつけ加えた。 月に一度、〝リッツ〟に全員が集まり、写真家のフランク・ハーレーによる〈映写とおしゃべりの会〉が催された。オーストラリアやニュージーランド、それにモーソンの探検の写真などをスライド上映し、ハーレーが解説をつけた。皆のお気に入りは、〈ジャワの盗撮〉というタイトルのついた、揺れる椰子の木と原住民の若い娘が映った写真だった。 〈ハーレーとボスは毎日、六ゲームマッチのポーカー・ペイシャンスを、実に信心深く繰り返している。まるで義務だとでも思っているようだが、あれで確実に一時間はつぶせる。最悪なのは、時間をつぶさなくてはならないということだ。とんでもない無駄に思えるが、他にすることは何もない〉。 〈恐ろしく退屈な毎日にもかかわらず、時間は飛ぶように過ぎていく。〉 陸上では、困難を耐え抜くという勇気と信念さえあれば、多くの困難を切り抜けることができる。だが、海との闘いは、肉体的な格闘であり、逃げ道はどこにもない。それは疲れを知らない敵との闘いであり、人間は決してこれに勝利することはない。人間に望めるのは、ただ、打ち負かされないことだけだ。 「求む男子。至難の旅。僅かな報酬。極寒。暗黒の長い日々。耐えざる危険。生還の保証なし。成功の暁には名誉と賞賛を得る。」 (シャクルトンが出した求人広告と言われていますが、原本が見つかっていないのであとからの創作の可能性も。)
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初めて読んだ時よりも感動が大きい。一人の犠牲者も出すことなく生還した隊員そしてリーダーのシャクルトンはやはりスゴい!それに、隊員たちの体力・精神力も並外れてる。 リーダーシップを学ぶ上でのビジネス書として評価が高い事にも納得。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
再読。 「夜は短し…」とは逆に、読み進めていくと「まだこんなにページが残っているのか!!」とどんどん苦しくなっていく。序章の段階で全員助かるのが分かっていながら、ホントに大丈夫か、どんどん苦しくなっていく。 逆境での強さ、あきらめなさ、そして楽観。人間て強いなぁとつくづく思う。
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暑い時は極寒の話。 南極横断に挑むが途中船が氷に閉ざされて沈没。1年半の漂流からの生還まで。 素晴らしいのは全員が生還したこと。どんな苦境にいても希望を失わずにいることの大切さ。めちゃくちゃな状況なのに、読んでてそんなに悲壮な感じがしない。これはこの船員たちの根本にあったことのよ...
暑い時は極寒の話。 南極横断に挑むが途中船が氷に閉ざされて沈没。1年半の漂流からの生還まで。 素晴らしいのは全員が生還したこと。どんな苦境にいても希望を失わずにいることの大切さ。めちゃくちゃな状況なのに、読んでてそんなに悲壮な感じがしない。これはこの船員たちの根本にあったことのような気がする。 いやー、でもすごい。
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まずは無事生還できたという事実に拍手喝采!しかも全員揃って。現実とは思えないような悪環境を、特別なスーパーマンがいる訳でもないチームで乗り越えた、本当に奇跡みたいな物語。タイトルにもなったエンデュアランス号は結構序盤で退場して、流氷との生活が長く描かれるけど、これがまた壮絶。日単...
まずは無事生還できたという事実に拍手喝采!しかも全員揃って。現実とは思えないような悪環境を、特別なスーパーマンがいる訳でもないチームで乗り越えた、本当に奇跡みたいな物語。タイトルにもなったエンデュアランス号は結構序盤で退場して、流氷との生活が長く描かれるけど、これがまた壮絶。日単位や月単位でなく、年単位で漂流し続けたのも衝撃的。自分もやってみたいとは全く思わないし、ロマンも感じないけど、サバイバル能力の高さには見習うべき点も少なくない。”八甲田山~”同様、自然の猛威を思い知らされ、人間の非力さが痛感される作品でした。
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100年前に南極に行って遭難したっていう話だから、寒さとか凍傷とか、飢えとか、ペンギンやアザラシや犬ぞりの犬食べたっていうのは想定内なんだけど、一番意外だったのは、報酬は全くあてにできない状態で全く未知の(しかし極寒の地であることはわかっている)南極探検隊員の募集に5000名の応...
100年前に南極に行って遭難したっていう話だから、寒さとか凍傷とか、飢えとか、ペンギンやアザラシや犬ぞりの犬食べたっていうのは想定内なんだけど、一番意外だったのは、報酬は全くあてにできない状態で全く未知の(しかし極寒の地であることはわかっている)南極探検隊員の募集に5000名の応募があったってとこ。南極点到達はノルウェーに先を越され、横断は何としても先にやりたいという雰囲気や後押しがあったとはいえ、植民地支配で世界に冠たる大英帝国であったとはいえ、未知の土地にとんでもないお宝が眠っている可能性があるとはいえ、当時の冒険志向はすごかったのだなと思う。 写真で見てもエンデュアランス号はただの帆船で、いくら丈夫でも南極は無理でしょう、と現代なら素人でもわかるレベルだし、装備はもちろんヒートテックもダウンジャケットもなく、寝袋ですらトナカイの毛皮。まあ、無謀にもほどがあるという感じだが、当時はこれでも最高の装備だったはずで、こんな装備で南極点に到達できたアムンゼン隊はすごいなと思う。 全員生還できたのは奇跡的だと思うが、人選が良かったのだろう。性格と持てる技術のバランス。 この本を読む限り、シャクルトンが有能なリーダーであることは否定しないが、人数と運に助けられた部分も大きいと思う。 読んでると東京の真冬の気温は南極では真夏の暑さということだし、服は濡れていないし、「冬は寒くない!」と思うことができてよかった。 こういう冒険に志願しそうなタイプの人にはすごく面白い本なのだろう。(この本に惚れ込んだ星野道夫や椎名誠はそういうタイプ)私は決して志願しないタイプなので、ただただ感心し、ひたすら呆れた。
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「生」と「死」を思いました。 その「瞬間」が「生」とつながっており その「生」のすぐ隣に「死」が顔をみせている そんな「一瞬」の連続を この「エンデュアランス号」の乗組員たち28名の 生き抜いた記録でした ー奇跡の生還 言い尽くされた感はあるけれど これに尽きますね 一言で...
「生」と「死」を思いました。 その「瞬間」が「生」とつながっており その「生」のすぐ隣に「死」が顔をみせている そんな「一瞬」の連続を この「エンデュアランス号」の乗組員たち28名の 生き抜いた記録でした ー奇跡の生還 言い尽くされた感はあるけれど これに尽きますね 一言で言ってしまうと 「感動した!」 ですが その 一言ではとても 言い尽くせない 深い読書体験でした
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