殺人者の顔 の商品レビュー
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クルト・ヴァランダーシリーズの第一作を読んでなかった。どこから読み始めたのか備忘録を見ないとわからないが、どの作品も面白かった。 ヘニング・マンケルさんは昨年亡くなってしまった。残念だ。 ヘニング・マンケルさんが昨年の秋に亡くなった。遺作になった闘病記「流砂」を読んだほうがいいのか迷っている。長いような短いような作品との付き合いだった。いつか御馴染みになった登場人物に親しんできた、亡くなったと聞くとさびしく惜しまれてならない。ヴァランダーシリーズも後半のものは読んだつもりだが、肝心の一作目が未読だった。ご冥福を祈りつつレビューを残しておこう。 クルト・ヴァランダー刑事シリーズの第一作。もうこのシリーズは完結している。ヴァランダーを取り巻く人たちとは、初めて遭うのではなく既におなじみになっているのもちょっと嬉しかった。 スウェーデンのイースタでは滅多に起きないような、残虐な殺人事件の通報があった。 人里はなれた老人家族が住む二軒の家、そのうち一軒で老夫婦が襲われ、夫は死に妻は重傷だった。すぐに病院に搬送されたが助からない状況で「外国の…」と言い残す。 隣人からみて、2人は日ごろから地味て堅実そうだったというが、調べると亡くなった夫には秘密があった。「外国の…」を手がかりにヴァランダーと長年の友人リードベリは捜査を開始する。 「外国の…」を裏付けるように犯行現場の綱の結び方にも特徴があった。そして事件はスコーネの、バルト海に面した湾岸にある難民の居留地につながる。政府は海外から来た人たちを受け入れはしたものの、人々は職場にも恵まれず極貧生活を強いられていた。 殺された夫婦も、外国から来て住み着いたらしい。そういった背景と、殺人事件を結ぶ糸から、犯人を割り出していく。 車の音から車種を言い当てる特殊な能力を持った人を見つけだす。ヴァランダーが自分の愛車、ボロのプジョーも走らせ当てさせてみる所など稚気があっていい。 彼はごく普通の冴えない男である。別れた妻にいつまでも未練があり、それなのに気に入った女性を見かけるとついお茶にでも誘いたくなりあれこれと想像する。別れた娘にも会いたい、その上事件が起きても、うまく解決できるのかというようなことで、いつもうじうじと悩んでいる。 だが彼のやる気は天啓のように謎を解く鍵が閃くことがある。そういった直感は別に変わったことではない、常に思いつめ、捜査に悩んでいることから我知らず導き出されたものなのだろう。 その熱心さが、危険も顧みず犯人を追い詰め、半死半生の目にもあう、犯人との対決シーンでは過激なアクションを演じて入院の破目になる。復活できる程度ですんでいるが。そうでないと次作はない。 彼を取り巻く環境や人々も細かく描写され、今風でないタイプの警官だけれど、何か親しみがわく、警察内でも東洋的な人情みがあって人との結びつきが優しく感じられるのも親しめる要因かもしれない。 まだ「霜の降りる前に」が残っていた。周りが少し片付いたら読もう。 ヘニング・マンケルさんに感謝とお別れを。 1作目 殺人者の顔 5作目 目くらましの道
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スウェーデンという国家は社会的な福祉が充実しているが、一方で、高齢化や移民の問題を抱えているらしい。本小説が出版されたのは1990年なのだが、面白いくらいに、そして悲しいくらいに、現在の日本の状況と似通ってもいて別の角度から戦慄した。ミステリーとして見ると、さほど大きな驚きがある...
スウェーデンという国家は社会的な福祉が充実しているが、一方で、高齢化や移民の問題を抱えているらしい。本小説が出版されたのは1990年なのだが、面白いくらいに、そして悲しいくらいに、現在の日本の状況と似通ってもいて別の角度から戦慄した。ミステリーとして見ると、さほど大きな驚きがあるわけではないのだが、北欧のドライで湿っぽい空気感と、淡々とした語りは魅力的。重苦しいのに口当たり良いのがいつも不思議なんだよな、北欧ミステリーって。
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フォローしている方のレビューを見て おもしろそう!と思ったヘニング・マンケルの警察小説。 シリーズものだということで、 まずは第一作目を手にとってみた。 スウェーデンの片田舎で起こる惨殺事件。 老夫婦が殺され、息のあった妻の最後の言葉は「外国の」 捜査に乗り出すのは42歳の刑...
フォローしている方のレビューを見て おもしろそう!と思ったヘニング・マンケルの警察小説。 シリーズものだということで、 まずは第一作目を手にとってみた。 スウェーデンの片田舎で起こる惨殺事件。 老夫婦が殺され、息のあった妻の最後の言葉は「外国の」 捜査に乗り出すのは42歳の刑事、 クルト・ヴァランダー。 この人を一言で表すと、ダメダメな奴。 妻には愛想を尽かされ出ていかれ、ストレスから体重が10キロほど増加。部屋は汚いし、お酒ばっかり飲んでる。リーダーシップは見せるものの、結構見当違いも多め。 何が一番嫌って、新しくやって来た美人の検察官に早々に目をつけ(夫も子どももいる、って言ってるやん)、 勝手に舞い上がり、愛の告白して迫って殴られ… わー、なんかもう最低。 全然事件に関係ないけど、そんな人が主人公。 ストーリーはなかなか読ませる展開で、 その時代のスウェーデンの社会問題が浮き彫りにされていて興味深かった。 同僚の刑事たちも味があって良い。 まとめて借りたので次作も読む予定。
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スウェーデンの人気作、クルト・ヴァーランダーシリーズ第1弾。スウェーデンの片田舎を舞台に殺された老夫婦の事件を追う物語。起伏の幅は少なくはっきり言って地味ながらスウェーデンのお国事情が垣間にみえる。その世界観が北欧ミステリーらしくて良い。またヴァーランダーのどうしようもない性格が...
スウェーデンの人気作、クルト・ヴァーランダーシリーズ第1弾。スウェーデンの片田舎を舞台に殺された老夫婦の事件を追う物語。起伏の幅は少なくはっきり言って地味ながらスウェーデンのお国事情が垣間にみえる。その世界観が北欧ミステリーらしくて良い。またヴァーランダーのどうしようもない性格がその暗い雰囲気とマッチしており真面目過ぎない空気感を出している。物語としての意外なツイスト、また淡々と事象を語る地の文も世界観がみられてよかった。
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星3,7です。スウェーデンの片田舎で起こった老夫婦の殺人事件を追う推理小説。中だるみがなくすごいスピードで読めた。訳者も上手なのだろう。 けど、事情があって途中、読書を中断したら登場人物が錯綜してしまって、少し困惑した。外国の本を読むといつもそうではある。けど、ストーリーはしっかりと頭の中に残った。意外な展開というわけでもなく、作中に頻繁に登場する人物が犯人という設定でもなかった。人間臭さのある刑事も良かった。んでも、旦那がいる女の人に「分かれて俺と一緒になってくれ」なんて…いけませんよ。ねぇ
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オリジナルのタイトル”Mördare Utan Ansikte”、どういう意味なんだろうと思って辞書を引いたところ、顔のない殺人者、という意味だった。 犯人はいて勿論『顔』がある。けれど、犯人をそうするように駆り立てたものーー国の制度、仕組み、移民問題ーーもある意味では『犯人(原...
オリジナルのタイトル”Mördare Utan Ansikte”、どういう意味なんだろうと思って辞書を引いたところ、顔のない殺人者、という意味だった。 犯人はいて勿論『顔』がある。けれど、犯人をそうするように駆り立てたものーー国の制度、仕組み、移民問題ーーもある意味では『犯人(原因)』で、それには『顔』がない。……よな、とか考えたりした。 国が抱えている問題を軸にして展開される重厚な物語。読み終えた時の(いい意味での)疲労感。 ヴァランダーのシリーズをもっと読みたくなった。 しかし、クルト・ヴァランダー、プライベートがとことん行き詰まっているし、ひどい怪我をするし、急いでご飯食べたりして結構お腹こわしてるし……大丈夫か!?と心配になった。これで職場の人間関係がギスギスしてたら(辛すぎてとても読み進められなかった)……そうじゃなくてよかった。 父親の問題のくだり、それについて姉と話している場面はとても苦しくなってしまった。
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何年ぶりかの再読。スウェーデンといえば独自のコロナ対策であるが、私はそれは「老いたら死を受け入れる」というポジティブな死生観に裏打ちされたものだと思っていたけれど、本作での若い記者の発言「今日のスウェーデンで老人のことをかまう人間などいないということですよ」を読み、若干印象が変わった。移民問題がクローズアップされている本作であるが、サブテーマは「老い」と言っても良いだろう。〈死ぬのも生きることのうち〉。 人口890万人の国で(東京都は約1400万人)200万部を売れたのは、やはり移民問題への関心の高さの現れなのだろうな。我々日本人は遠い国のエンタメとして消費しているけれど、本国ではもっと重くデリケートな読まれ方をしていた(いる)作品なのではないかと思った。
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カリスマレビュアーひまわりめろんさんのレビューを読んで物凄く気になった作品♪ 早速、図書館で借りてきました(;゚∀゚)=3ハァハァ 『刑事クルト・ヴァランダー』がいい味をだしてます ここからはひめわりめろんさんのレビューを引用させて頂きますm(_ _)m 『一言でいうと「...
カリスマレビュアーひまわりめろんさんのレビューを読んで物凄く気になった作品♪ 早速、図書館で借りてきました(;゚∀゚)=3ハァハァ 『刑事クルト・ヴァランダー』がいい味をだしてます ここからはひめわりめろんさんのレビューを引用させて頂きますm(_ _)m 『一言でいうと「情けない」 別れた妻に未練たらたらが、突然現れた若い美人の検察官も気になる、一人娘はかわいくて心配だが、どう接していいかわからずにおろおろする 父親の問題からは目を背けてぐずぐずして事態を悪くして、最終的には姉に頼る 奥さんにでていかれたとたんに食生活は乱れて太りだし、酒に逃げて失敗する もう!こりゃダメだ こんなんもう男なら舌苔に自分と重ねちゃうよ!w』 こんなレビュー見たら気になって読まずにいられませんよw けど、こんな情けないダメ男でも警察官として仕事はきっちりやり遂げるんですよ なので憎めないんですw(ただお酒は本当に控えた方がいいかも…) シリーズものということで、今後ヴァランダー刑事がどう変わって行くか追いかけてみたいです(たぶん変わらないでしょうけどw) あとは、鑑識の刑事で長年の友リードベリの今後も心配だ…
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北欧ミステリーは有名どころは読んでいる方なので ・グレーンス警部 ・特捜部Q ・ミレニアム ・その他警察モノなど なんというか北欧作品的なヤツ、というか警察モノのあるあるが揃ってる(この作品というかもっと前の刑事マルティン・ベックが元?) 当然ヴァランダーは離婚してるし、未練た...
北欧ミステリーは有名どころは読んでいる方なので ・グレーンス警部 ・特捜部Q ・ミレニアム ・その他警察モノなど なんというか北欧作品的なヤツ、というか警察モノのあるあるが揃ってる(この作品というかもっと前の刑事マルティン・ベックが元?) 当然ヴァランダーは離婚してるし、未練たらたら…子供は独立してるし親の介護もあるし 同僚は体が不調気味… 捜査では怪我ばかりして進展無し…なんともかっこ悪いのだけども、どうも嫌いになれない。 (もっと最低な刑事を見かけてるのもあるけど…) 事件自体は携帯電話やインターネット普及前の事件なので、劇的な展開やどんでん返しは期待せずに読み進めた。 平凡な農夫が何故とても残虐な方法で夫婦ごと殺されてしまった事件を追う。 追う中での主人公の内面に重点を置いてる。 (合わない人は合わないと思う。私は好き。) 土地の描写も寒そうで、読んでいる今の季節に合っていた。 ヴァランダーを"カッコよく"したのがマルティンベックらしいので、そちらも読み比べてみようと思う。 シリーズどちらを追うかはそのあと決める。
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また、新しいシリーズに手を出してしまった とっ散らかった本棚だ 一人の作家さんや、一つのシリーズを集中的に読むということが出来ない たまに変な決意の元にそんなことをしてみると、しばらくその作家さんに手を出さなくなったりする うーんやっかい(自分で言うな!) さて今回手を出した...
また、新しいシリーズに手を出してしまった とっ散らかった本棚だ 一人の作家さんや、一つのシリーズを集中的に読むということが出来ない たまに変な決意の元にそんなことをしてみると、しばらくその作家さんに手を出さなくなったりする うーんやっかい(自分で言うな!) さて今回手を出したのは『刑事クルト・ヴァランダーシリーズ』 なんとデンマークのミステリーでイギリスでドラマシリーズが放送されていたという代物 そしてこの刑事ヴァランダーが良い! 一言で言うと「情けない」 別れた妻に未練たらたらたが、突然現れた若い美人の検察官も気になる、一人娘はかわいくて心配だがどう接していいかわからずにおろおろする 父親の問題からは目を背けてぐずぐずして事態を悪くして、最終的には姉に頼る 奥さんに出ていかれたとたんに食生活は乱れて太り出し、酒に逃げて失敗する もう!こりゃあダメだ こんなんもう男なら絶対に自分を重ねちゃうよ!w だけど警察の仕事は真面目にコツコツ諦めずに犯人を追い、仲間と協力して証拠を積み重ねて行く 猛烈な忙しさの中でも休まず働き続ける うーん、仕事に逃げてるなw 多くの男たちにとって「刑事ヴァランダー」は「自分」なんじゃなかろうか?ほんとは目を背けたくなるようなだらしない「自分」だけど、そこそこ真面目に頑張ってそれなりに成果をあげたら誇ってあげたい「自分」 そんな「自分」を追って、このシリーズも読み続けていきましょうか
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