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殺人者の顔 の商品レビュー

3.6

75件のお客様レビュー

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2009/10/04

このシリーズの特徴は、土地と人物だと思う。スウェーデン南部の田舎町イースタ──北欧が舞台であるという寒々しさは伝わってくるが、暗さを感じさせない雰囲気はどこまで読んでも心地がいい。片田舎で起きる事件だからこそ、作中に与えるインパクトは大きく、それと反比例して浮き彫りになるイースタ...

このシリーズの特徴は、土地と人物だと思う。スウェーデン南部の田舎町イースタ──北欧が舞台であるという寒々しさは伝わってくるが、暗さを感じさせない雰囲気はどこまで読んでも心地がいい。片田舎で起きる事件だからこそ、作中に与えるインパクトは大きく、それと反比例して浮き彫りになるイースタの町並みや時間の流れ、そこで暮らす人々の生活感をイメージするごとに、不思議とこのストーリーに引きずり込まれてしまうのだ。 主人公のヴァランダーも、冴えない中年男で、やり手の刑事というタイプではない。地道に手掛かりを追い、その先で行き詰まり、自問自答を繰り返して苦悩する。彼を取り巻く捜査員たちも同様で、スペシャリストはひとりもいない。なのに、こうも印象的に映るのは何故だろう。不器用な一途さに等身大の魅力を感じているのかもしれない。読みながら、彼らと一緒に捜査してる気になってしまうのは、作者の技巧のひとつであり、私が最も気に入っている点である。 スウェーデンが抱える社会問題をクローズ・アップさせているが、本作品は「警察小説」であって、「社会派ミステリ」ではない。その領域をキープしつつ、社会問題を読者に認識させる構成もさすがだと思う。シリーズ開幕作として読者を掴むには申し分のない秀作。

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2012/12/08

スウェーデンのスコーネ地方が舞台の殺人事件。 少し情けない感じのクルト・ヴァランダー刑事が良いです。

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2009/10/04

 スウェーデンの田舎町、スコーネで残虐な農夫の一家惨殺事件が発生。長年連れ添った妻との離婚、娘はどこをほっつき歩いてるか分からない、父親の痴呆…etc私生活に疲れ、うらぶれた中年刑事クルト・ヴァランダーが正義感に燃える。  わしはうらぶれたよれよれの中年オヤジが主人公の話が好きら...

 スウェーデンの田舎町、スコーネで残虐な農夫の一家惨殺事件が発生。長年連れ添った妻との離婚、娘はどこをほっつき歩いてるか分からない、父親の痴呆…etc私生活に疲れ、うらぶれた中年刑事クルト・ヴァランダーが正義感に燃える。  わしはうらぶれたよれよれの中年オヤジが主人公の話が好きらしい。このクルトのへたれ加減はかっこよすぎるのでぜひオススメ。

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2009/10/04

父に借りた推理小説。閉鎖的な村での事件は実感としては分かりにくかったですが、新興宗教が出てきたり、なぞの女性が出できたりして、引き込まれました。

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2009/10/04

1990年代、バルト海に面したスウェーデン南部の小さな町イースタを舞台にした、警察小説シリーズの第一作。 小さな田舎の村で、年老いた農夫夫婦が拷問の末むごたらしく殺された。現場に駆けつけたイースタ署の刑事クルト・ヴァランダーは、いまわの際の妻が呟いた「外国の」と言う一言と、見慣れ...

1990年代、バルト海に面したスウェーデン南部の小さな町イースタを舞台にした、警察小説シリーズの第一作。 小さな田舎の村で、年老いた農夫夫婦が拷問の末むごたらしく殺された。現場に駆けつけたイースタ署の刑事クルト・ヴァランダーは、いまわの際の妻が呟いた「外国の」と言う一言と、見慣れない縄の結び方を手がかりに、地道な捜査を始める。 捜査を続けるうち、平凡にしか見えなかった夫は妻以外に子供を持ち、家族に内緒の多額の財産を隠していることが明らかとなった。一方この時代、多数の難民の流入があったスウエーデン国内には、難民への反感が一部に顕在していた。「外国の」と言う一言から犯人は外国人とばかりに、難民を排斥するグループは、難民への報復を予告する・・・ 主人公は、妻に捨てられ娘は家出、と言う踏んだり蹴ったりのなかで毎日呑みすぎ状態。不器用な彼は、一人暮らしの父親とは事々にいがみ合い、時には酒酔い運転で部下に逮捕されかけるなど、日常生活は殆ど崩壊しているようなものだが、しかし、誠実に辛抱強く一生懸命に事件を追いかける。 時には、人命救助のため自身を省みず、火事の中に飛び込んでいくことをためらわない。その一途さが「しょうがない男」ではあるけれど、好感を持たずにいられない。 また、同僚の刑事たちもそれぞれ丁寧に描かれていて、物語の厚みを増している。 北欧と言う言葉から受ける、重厚で丁寧なイメージそのままの作品でした。 このシリーズは、沢山の読者をえて多くの賞を受けており、「1990年代のスエーデン社会を尤も良く描写した」と言われているそうだが、いかにも、ですね。

Posted byブクログ