日の名残り の商品レビュー
品格とは 英国的情趣 他の方が書かれているように穏やかで凄く良い作品だと思います。それらと同じくらい印象に残ったのがミス•ケントンの女心。女性は感情が優先してしまって思い込みが激しくなってしまう節があることを痛感致しました。笑 日の名残り。私もおばあちゃんになるまで生きていた...
品格とは 英国的情趣 他の方が書かれているように穏やかで凄く良い作品だと思います。それらと同じくらい印象に残ったのがミス•ケントンの女心。女性は感情が優先してしまって思い込みが激しくなってしまう節があることを痛感致しました。笑 日の名残り。私もおばあちゃんになるまで生きていたら、夕日を見て綺麗な涙が流せるような人生を送りたいな。 2011.08.12
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面白かった。仕事と人生の話だと思った。あと、社会と仕事と。 読んでいて巧みだなぁと思ったのは、職人気質?な執事に共感していた自分の気持ちが徐々に「あれ?それでいいのかな?」とはなれていったところです。 最後の夕暮れの場面に続いて、◯◯の練習をしようかと思うラストの一文が私には嬉...
面白かった。仕事と人生の話だと思った。あと、社会と仕事と。 読んでいて巧みだなぁと思ったのは、職人気質?な執事に共感していた自分の気持ちが徐々に「あれ?それでいいのかな?」とはなれていったところです。 最後の夕暮れの場面に続いて、◯◯の練習をしようかと思うラストの一文が私には嬉しかった。
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当時世界に冠していた大英帝国の、しかもその中枢を担う上位の貴族達。 そしてその貴族達に仕える優秀な執事たちの日々。 華やかなりし頃のイギリスの上流社会の様子が語り手であるスティーブンスの言葉で鮮やかに浮かび上がってくる。 スティーブンスは優秀な執事だし、その職分を充分に弁えていた...
当時世界に冠していた大英帝国の、しかもその中枢を担う上位の貴族達。 そしてその貴族達に仕える優秀な執事たちの日々。 華やかなりし頃のイギリスの上流社会の様子が語り手であるスティーブンスの言葉で鮮やかに浮かび上がってくる。 スティーブンスは優秀な執事だし、その職分を充分に弁えていたのだろう。 だがあまりに自己抑制が効いているため、彼の振る舞いは、時に他人の目には冷ややかに映ることがある。 内心どれだけ痛みをおぼえていても、彼は表面上何も変わらない。 そのため、周囲の人は彼の内心を掴みきれないことに苛立ち、時には誤解してしまう。 読みながらその不器用さを何度ももどかしく思った。 だがいずれにしても彼にはこういう生き方しかできなかったんだろう。 最後の最後で少し感情の揺らぎが見えたが、それはくよくよと過去を悔やむようなものではなかった。 スティーブンスの視線はきちん先に続く道に注がれており、その姿勢がとても美しい。 ラスト数行はとてもお茶目で、切なさを残しながらも爽やかに本を閉じた。 一日の中で夕方が一番いい時間だ、と素直に言えるような、私もそんな人生を送れるといいなと思う。
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「執事」の職業や主人への真摯さ、忠誠心。「品格ある抑制」がもたらす英国的美しさ。しかし、その、ときとして、恐るべき鈍感さと融通のきかない思考と行動の袋小路。そして、それを本人もわかっているけれど、どうにもならない悲哀。それを、受け入れていく過程は、このように「美しく語られる」こと...
「執事」の職業や主人への真摯さ、忠誠心。「品格ある抑制」がもたらす英国的美しさ。しかし、その、ときとして、恐るべき鈍感さと融通のきかない思考と行動の袋小路。そして、それを本人もわかっているけれど、どうにもならない悲哀。それを、受け入れていく過程は、このように「美しく語られる」ことによってこそ、昇華されるのだろう。「記憶」とは彼の編み出した物語なのだ。 ミス・ケントンへの淡い思い。しかし、最後には過去の肯定と淡い希望が感じられるところがいい。「ジョークを真剣にマスターしようと思う」と。 一人称で話が進行するが、執事は、誰にこの物語をきかせたかったのだろう、とふと考えてしまう。
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品格のある執事はこういうときどう対応するんだろ?と思いながら、むーそうなんだー、といちいち感心しながら読みました。 そう、スティーブンス?今人生の大事な岐路かもですよ?という瞬間も、仕事に真摯に向き合う、忠実な執事であり続けた、ともいえるし、その反面、その時々の(仕事以外の)事象...
品格のある執事はこういうときどう対応するんだろ?と思いながら、むーそうなんだー、といちいち感心しながら読みました。 そう、スティーブンス?今人生の大事な岐路かもですよ?という瞬間も、仕事に真摯に向き合う、忠実な執事であり続けた、ともいえるし、その反面、その時々の(仕事以外の)事象にきちんと向かい合ってこなかった、ようにも見える。そこが、ずっと心に引っかかっていたんだろうな、と思った。 イギリスの風景と織り交ぜながら、さわやかな、ぴりっと涼しい風を味わったような気がしました。
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p.61「品格の有無を決定するものは、みずからの職業的あり方を貫き、それに堪える能力だと言えるのではありますまいか」 来し方を振り返るとか追憶とかいうよりも、心配性の妄想日記として読むほうが面白い。
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翻訳文学ですが、訳がすばらしいの一言。こんなに素敵な翻訳本を読んだのは初めてです。これを機にイシグロさんと土屋さんに魅かれるようになりました。 スティーヴンスのキャラクターも素敵です。英国執事かわいいなあ! 彼の不器用な真面目さに、日本人としては思わずにやにやせずにはいられないの...
翻訳文学ですが、訳がすばらしいの一言。こんなに素敵な翻訳本を読んだのは初めてです。これを機にイシグロさんと土屋さんに魅かれるようになりました。 スティーヴンスのキャラクターも素敵です。英国執事かわいいなあ! 彼の不器用な真面目さに、日本人としては思わずにやにやせずにはいられないのではありますまいか。
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味わい深い。ジョークについて真剣に悩んでいるミスター・スティーブンスかわいい、と思った向きも多いのではありますまいか。翻訳がすばらしい。 (Kちゃんに借りた本)
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続けて2回読了。1回目で全くどこにも何も引っかからず、2回目で最後の章にものすごーくしびれました。。タイトルとストーリーのラストがシンクロしてぎゅーとなります。
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イギリスの貴族に長年務めていた執事が、数日の休暇に出ながら昔を懐古するという話。主人や自身の「品格」について思い、自分の人生を思う。 カズオ・イシグロらしい細かい心理描写で、在りし日のイギリス社会を描いた良作です。 カズオ・イシグロを読むといつも思うのだけれど、人生なんてものは...
イギリスの貴族に長年務めていた執事が、数日の休暇に出ながら昔を懐古するという話。主人や自身の「品格」について思い、自分の人生を思う。 カズオ・イシグロらしい細かい心理描写で、在りし日のイギリス社会を描いた良作です。 カズオ・イシグロを読むといつも思うのだけれど、人生なんてものはほんの一瞬の心遣いや気持ちのすれ違いで、大きく変わっていくものなのかもしれない。そう思わせる筆力はやっぱり凄い。
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