天帝妖狐 の商品レビュー
行き倒れそうになっていた謎の男・夜木。彼は顔中に包帯を巻き、素顔を決して見せなかった。やがて、夜木を凶暴な事件が襲い……。――全体に広がってる不気味だけど優しい感じが凄く好き。悲しい話はあまり得意じゃないはずなのに、彼の書くせつなさはだいじょうぶ。
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趣の違う2つの中編作品は面白かったです。 「A MASKED BALL」はまさに学校のホラーと言う感じで、この先どうなるのだろうかとドキドキしました。 伏線も張り巡らされ、誰も彼もが怪しく思えてしまいました(笑)。 最後の終わり方もまたイイですね。 表題作「天帝妖狐」はホラーと言...
趣の違う2つの中編作品は面白かったです。 「A MASKED BALL」はまさに学校のホラーと言う感じで、この先どうなるのだろうかとドキドキしました。 伏線も張り巡らされ、誰も彼もが怪しく思えてしまいました(笑)。 最後の終わり方もまたイイですね。 表題作「天帝妖狐」はホラーと言うよりも、悲しい物語だと思いました。 夜木の孤独な運命は非常に悲しく、物語自体もどこまでも悲しく切ないです。 しかし、最後に少しだけ救われました。 タイトルに「狐」とありますが、物語の中では「狐」を強調した部分はそれほど無かったのでそれが物足りなく思いました。 満足度は★★★☆☆。 面白かったです。
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トイレの落書きをめぐるミステリーと不老不死を手に入れた代わりに人間であることを徐々に失う男の独白の2編からなる短編集。 2つとも最高におもしろいのだが、秀逸なのは後半の天帝妖弧。非常にいい意味で江戸川乱歩らしさ満点。しかも僕が好きなころの乱歩。これはいい。異形のものに変わっていく...
トイレの落書きをめぐるミステリーと不老不死を手に入れた代わりに人間であることを徐々に失う男の独白の2編からなる短編集。 2つとも最高におもしろいのだが、秀逸なのは後半の天帝妖弧。非常にいい意味で江戸川乱歩らしさ満点。しかも僕が好きなころの乱歩。これはいい。異形のものに変わっていく主人公の悲哀が悲しくもやさしい。杏子の優しさも非常に昭和初期的でしっぽりと温かい。ふむ。最高。自分の存在を無条件に認めてくれる人がいることを感じる事で人間は存在するのである。 乙一で泣いたのも初めて。
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なんだろうこのもやもやは。読み終わった後の余韻というのだろうか。個人的にトイレの落書きが何回も読みたくなる。
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目次『A MASKED BALL―及びトイレのタバコさんの出現と消失―』『天帝妖狐』『解説 我孫子武丸』 『A MASKED BALL―及びトイレのタバコさんの出現と消失―』 乙一作品はまず読みやすいです。淡々と始まる文章を追っているだけなのに、いつの間にか小説の世界観に飲み込...
目次『A MASKED BALL―及びトイレのタバコさんの出現と消失―』『天帝妖狐』『解説 我孫子武丸』 『A MASKED BALL―及びトイレのタバコさんの出現と消失―』 乙一作品はまず読みやすいです。淡々と始まる文章を追っているだけなのに、いつの間にか小説の世界観に飲み込まれています。 しかし行間を空けて落書きされた文字を書いているので、ぱっと見るとスカスカな印象があります。過去作品だからか、落書きからとんでもない方向に発展してしまいましたが、終わってみればそれなりに楽しめました。 『天帝妖狐』 読み終わった最初の感想としては、村上春樹の『海辺のカフカ』を彷彿とさせる作品だと思いました。二者語りの構成、痛々しいほど印象深いグロテスクなシーン。夜木の語りを手紙形式で書き切るという驚異的な執着に半ば感服します。 どうしてそうなったのかという科学的解釈も、どういう終焉が最適なのかという読者の想像も必要とせず、一体何故乙一がこれを書こうと思ったのか、理解し得ない思いが残りました。人と違うものは孤独を抱えずに生きることは出来ないとでも言いたげに、夜木が孤独から救われることはない。 乙一がこの作品を通して読者に訴えかけていることは、夜木あるいは杏子の気持ちになって読み込まなければ分からないのかもしれません(最後の一文がすべてな気もしますが)。 何かもやもやしたものが残るかもしれませんが、描き方は見事です。文学的に見ればこのような作品もあるべきであり、残る余韻こそ文学の真骨頂なのかもしれません。
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トイレの落書きから始まるサスペンスと 人間と化物の狭間で生きる男のお話 個人的には後者の「天帝妖狐(表題作)」の方が好きだ 何故こんなにも化物染みた人間の心理描写をうまく表現できるのだろうか 化物に変容していく主人公の心情がひしひしと伝わってくる それでいて怖い
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とてもおもしろかった。主人公の悲しみ、苦しみ、絶望、そして小さいけれど大きな幸福、うれしさなどの心の機微が伝わってきて、すごく感動したし、泣きそうになった。この本を読んで、人の心や感情を明確に捉え、表現できる文章・言葉というもののすばらしさに気付かされた気がする。
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『A MASKED BALL-及びトイレのタバコさんの出現と消失』『天帝妖狐』の2編からなる乙一の短編集。 期待に違わず、実に乙一らしい作品作りを堪能できた。 文体が軽く分量もさほど無いゆえ、さくっと読むことが出来る。私も電車内でゆるりと読了した。 『天帝妖狐』はありが...
『A MASKED BALL-及びトイレのタバコさんの出現と消失』『天帝妖狐』の2編からなる乙一の短編集。 期待に違わず、実に乙一らしい作品作りを堪能できた。 文体が軽く分量もさほど無いゆえ、さくっと読むことが出来る。私も電車内でゆるりと読了した。 『天帝妖狐』はありがちな域を抜け切ってないかな、と。私はどちらかと言えば『A MASKED BALL』の方が好みだった。 トイレの落書き交流に始まり、それが次第にエスカレートしていく様は、どこかの巨大匿名掲示板なんかを思い出させる。やはりこの人の着眼点は凄い。 ただ、あの分量で美しいミスリードを演出するのはなかなかに難しいのではないかと思う。 いつも『GOTH』並みを、ってのは贅沢というものだろうか??(笑)
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なんでこんな話が思いつくんだろう! 本当に、天才だと思う。 天帝妖狐のこっくりさんの場面がこわくてこわくて… 死ねないって、ものすごく辛いことなんだね。 天帝妖狐もいいが、トイレのタバコさんがものすっごい好き。 おもしろい!かつ、かっこいい!さわやか!青春! 大好きですこの話。...
なんでこんな話が思いつくんだろう! 本当に、天才だと思う。 天帝妖狐のこっくりさんの場面がこわくてこわくて… 死ねないって、ものすごく辛いことなんだね。 天帝妖狐もいいが、トイレのタバコさんがものすっごい好き。 おもしろい!かつ、かっこいい!さわやか!青春! 大好きですこの話。乙一のなかで3本指に入るくらい。 スカッとします。
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「A MASKED BALL ア マスクドボール―及びトイレのタバコさんの出現と消失」は、1作品で2回騙されました。くそ、くやしい。「天帝妖狐」は、怖切ない。けれど、両作品共に、あまり好きになれなかった。
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