天帝妖狐 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
A MASKED BALL については割愛。 天帝妖狐 前に出たノベルスとの比較も交えて。 かなり大幅に書き換えられており、 夜木の生い立ち、早苗と契約した経緯も異なっている。 人外の者と化した孤独・絶望などもより丁寧に描写されている。 ノベルス版は割とその辺りはすっとばしていた。 だけどこの書き換え部分は割りと王道な展開だと感じた。 夜木と杏子のパートに分かれていることで ノベルス版よりも杏子の人物像をつかみやすかった。 だが夜木との描写は少なく、ノベルス版でのところてんや折鶴のような役割を担うものも存在しなかった。 だからこそ杏子との触れ合いが夜木にとって 一筋の光明であったことを表しているんだと思うけど。 この文も好きなのでこっちにも引用。 「夜木は答えるに違いない。 『あなたは教えてくれたじゃないか、私が人間であることを! そして、私の声に耳を傾けてくれた!並んで歩いてくれた! 私のために泣いてくれた! あなたのように、他人のために泣ける者がどれだけいるだろうか!』と、 彼はそう言う……」
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幼い頃に聖母マリアの姿をしたものが現れて、 「白い薔薇と赤い薔薇のどちらかを差し上げましょう」といわれ、 赤い薔薇を望んだら「では殉教をお前にやろう」と言われて、 その後アウシュビッツ強制収容所で亡くなった神父を思い出してしまった。 子供の頃にコックリさんをしていたら、...
幼い頃に聖母マリアの姿をしたものが現れて、 「白い薔薇と赤い薔薇のどちらかを差し上げましょう」といわれ、 赤い薔薇を望んだら「では殉教をお前にやろう」と言われて、 その後アウシュビッツ強制収容所で亡くなった神父を思い出してしまった。 子供の頃にコックリさんをしていたら、怒り出して、 帰ってもらうために自分の身体をあげると(たあいもなく) 約束してしまったために、怪我をするたびに、少しずつその部分が異質なものになっていく。 怪我によって、自分の姿がそれ以前と変わった経験を持つ人なら 誰でもその悲しみは理解し、共感するだろう。
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表題ともう一作品短編をまとめた一冊。 表題の話は切ない。 幸せになりたくても慣れない男のお話。 話のそのあとのヒロインの気持ちが知りたくなる。 もう一作品は他の作品とまた一味違った話。 新しい一面を見せてもらった気がしました。 さっくり読めます。 二つの話が全然違う方向性な...
表題ともう一作品短編をまとめた一冊。 表題の話は切ない。 幸せになりたくても慣れない男のお話。 話のそのあとのヒロインの気持ちが知りたくなる。 もう一作品は他の作品とまた一味違った話。 新しい一面を見せてもらった気がしました。 さっくり読めます。 二つの話が全然違う方向性なのがおもしろかったし、乙一さんの他の話とも何か違う印象をうけたので変わった一冊だなと楽しめました。
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子供の頃、流行っていたコックリさんで一人遊んでいた夜木。 早苗という名の不思議な存在と、コックリさん遊びを通じて会話していた夜木は、うっかり早苗と取引をしてしまいます。 取引したのは永遠の命、そしてその代償は… さまよう夜木に、声をかけた少女杏子に宛てた手紙の形で書かれています。...
子供の頃、流行っていたコックリさんで一人遊んでいた夜木。 早苗という名の不思議な存在と、コックリさん遊びを通じて会話していた夜木は、うっかり早苗と取引をしてしまいます。 取引したのは永遠の命、そしてその代償は… さまよう夜木に、声をかけた少女杏子に宛てた手紙の形で書かれています。 最後の二行「もしも私が人間であったなら・・・」の部分に心が締め付けられました。切ない物語や、異類婚の物語を好まれる方にオススメです。
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大分前に読んだから、 中身は殆ど覚えてない。 「A MASKED BALL」が良かったのは 印象に残っているが、 「天帝妖狐」の個性的な世界観は ちょっと合わなかった。 <収録> 1.A MASKED BALL-及びトイレのタバコさんの出現と消失- 2.天帝妖狐
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( ;´・ω・`)読んでも切ない。なんか切ない。 呪われてしまった男と少女の悲劇的な物語。 何が悲劇って、心優しいはずの男が幸せになれないこと。 心優しいはずの男が周りから迫害されること。 幸せになれたはずの男が周りから今後もずっと迫害され孤独に生き続けなければならないことが想...
( ;´・ω・`)読んでも切ない。なんか切ない。 呪われてしまった男と少女の悲劇的な物語。 何が悲劇って、心優しいはずの男が幸せになれないこと。 心優しいはずの男が周りから迫害されること。 幸せになれたはずの男が周りから今後もずっと迫害され孤独に生き続けなければならないことが想像できること。 簡単な気持ちで読み返そうかなとは思えないけれど、 手元に置いておきたくなった本です。 最後の書簡が泣けました。切ない切ない。
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A Masked Ballの方は嫌いではありませんが、「奇妙な話だな」程度にしか思いませんでした。ですが天帝妖狐の方は流れるようにスラスラ読めてしまって、とても切なくて泣きました。この作品から私は乙一さんが大好きになりました。
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乙一作品をたくさん読んでると、何となく展開が読めるようになっちゃうよね。 きっと作者はこうもっていきたいんだろう、とか。 この前フリでミスリード狙ってるんだろうな、とか。 隠したいものをどこに置いてくるかが分かってしまって、描写がわざとらしく感じるときがある。 でも、やはり文章や...
乙一作品をたくさん読んでると、何となく展開が読めるようになっちゃうよね。 きっと作者はこうもっていきたいんだろう、とか。 この前フリでミスリード狙ってるんだろうな、とか。 隠したいものをどこに置いてくるかが分かってしまって、描写がわざとらしく感じるときがある。 でも、やはり文章や構成はすごくセンスが良くて引き込まれる。 独特の世界観や切り口は本当に魅力的。 『A MASKED BALL』はミステリー、『天帝妖狐』はSFかな。
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【とある町で行き倒れそうになっていた謎の青年・夜木。彼は顔中に包帯を巻き、素顔を決して見せなかったが、助けてくれた純朴な少女・杏子とだけは心を通わせるようになる。しかし、そんな夜木を凶暴な事件が襲い、ついにその呪われた素顔を暴かれる時が…】 「天帝妖狐」と「A MASKED B...
【とある町で行き倒れそうになっていた謎の青年・夜木。彼は顔中に包帯を巻き、素顔を決して見せなかったが、助けてくれた純朴な少女・杏子とだけは心を通わせるようになる。しかし、そんな夜木を凶暴な事件が襲い、ついにその呪われた素顔を暴かれる時が…】 「天帝妖狐」と「A MASKED BALL」の短編集であり、乙一の第2作品集。 「天帝妖狐」は哀しかった。。 人間の優しさと醜さの両方が鮮明に描かれていて 読んでいて辛い場面が何度もありました。 夜木の辛さや嬉しさなどの心情が心に直接響き、 心が温かくなったり痛くなったり・・・ 夜木が今後どうなっていくのかが心配でなりません。 「A MASKED BALL」は乙一作品としては割とあっさりしていたような・・・ つまらなくは無いのですが、特別心に残るものでは無かったです。 でも文章からにじみ出る不気味さはさすが乙一ですね。 文庫版と、ジェイブックス版の内容が違うとか!? ジェイブックス版も是非読んでみたいです。
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中編二本を収録。 「a masked ball-及びトイレのタバコさんの出現と消失-」 トイレの落書きを題材にした作品。 ネットでよく取り上げられる匿名性を、トイレの落書きという身近な題材で描いている所がニクイ。 「天帝妖狐」 自分の身体と引き換えに永遠の命を手に入れた男の話...
中編二本を収録。 「a masked ball-及びトイレのタバコさんの出現と消失-」 トイレの落書きを題材にした作品。 ネットでよく取り上げられる匿名性を、トイレの落書きという身近な題材で描いている所がニクイ。 「天帝妖狐」 自分の身体と引き換えに永遠の命を手に入れた男の話。 語り手が2人いて交互に話が進みます。 怖くも切ない話。 どちらも面白かったです。 二本とも日本のホラーですが、描き口が全然違うのが凄い。 良作でした。
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