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翻訳夜話 の商品レビュー

3.9

111件のお客様レビュー

  1. 5つ

    27

  2. 4つ

    42

  3. 3つ

    25

  4. 2つ

    4

  5. 1つ

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2013/07/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

文章の構築法として大変役に立つ。村上春樹の小説メイキング読本としても、これはかなりの深度に達しているのでは無かろうか。海彦山彦翻訳は面白いし、原文まで収録する構成が、あまたある教条くさい講座ものを読む事がばかばかしくなるほど示唆に富んでいて、かつ学べる事が多い。

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2013/06/06

作家にして翻訳家の村上春樹と英文学者にして翻訳家の柴田元幸の 会場の人々からの質問に答えることで進むトークセッションが 聴衆を変えて3回分。 肩のこらない文体ながら、本質に迫り共感できる内容だった。 ふたりとも本業が別にあって余技・気分転換的な仕事として 取り組んでいるという立場...

作家にして翻訳家の村上春樹と英文学者にして翻訳家の柴田元幸の 会場の人々からの質問に答えることで進むトークセッションが 聴衆を変えて3回分。 肩のこらない文体ながら、本質に迫り共感できる内容だった。 ふたりとも本業が別にあって余技・気分転換的な仕事として 取り組んでいるという立場上、職業翻訳家にとっては 参考にならない部分も少なからずあるかもしれないが、 細かな技術論ではなく、心がまえや考え方を語ることで、 瑣末な論争にならずに、よりよい翻訳を志す空気が伝わってきた。 唯一正解の翻訳というものは存在しない、 翻訳者によって(同じ訳者でも気分や時代によって) さまざまなヴァージョンがあるものだ、ということの実演で、 「海彦山彦」と称して、二人がたがいの十八番の作家の 短編の翻訳に挑戦したものをそっくり読めるのがおもしろい。 ひとつは村上の独壇場カーヴァーの「Collectors」 もうひとつは柴田のオースター「Auggie Wren's Christmas Story」 原典も巻末に収められているので、英語と二種類の訳文を あれこれ読み比べることができる。 私も自分の楽しみのための翻訳をまたはじめてみようかな、 という気持ちになった。

Posted byブクログ

2013/03/25

読んでいて一番に感じたのが、 柴田・村上両氏の、感じた事を「素早く正確に」言葉に置き換えて発言できる能力。 今この程度のレビューを書くだけでも全く思いをまとめられず、 あーでもないこーでもないとグダグダしてしまっている私には、 そんな両氏の頭の回転の速さに何より憧れてしまうのでし...

読んでいて一番に感じたのが、 柴田・村上両氏の、感じた事を「素早く正確に」言葉に置き換えて発言できる能力。 今この程度のレビューを書くだけでも全く思いをまとめられず、 あーでもないこーでもないとグダグダしてしまっている私には、 そんな両氏の頭の回転の速さに何より憧れてしまうのでした。 リズム・グルーヴ、技術より愛情、見えないものを感じ取るセンス。 これは翻訳業のみならず何においても言える事なのではないかなあと。 異業ながらも共感する部分が多々あり、とってもとっても面白かったです。

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2013/03/22

翻訳についての村上春樹とその長年の翻訳パートナーである東大教授の柴田元幸さんの対談を集めた本。 二人の対談はざっくばらんで、かなり肩の力が抜けた感じ。「翻訳とは」を、かなり難しいものだと、いかめしく論ずる大家もいらっしゃる。そんな中、二人はとにかく翻訳が好きなんです!という雰囲...

翻訳についての村上春樹とその長年の翻訳パートナーである東大教授の柴田元幸さんの対談を集めた本。 二人の対談はざっくばらんで、かなり肩の力が抜けた感じ。「翻訳とは」を、かなり難しいものだと、いかめしく論ずる大家もいらっしゃる。そんな中、二人はとにかく翻訳が好きなんです!という雰囲気が全面にでていて、楽しく拝読させていただいた。 興味深いのは、二人の競訳。翻訳がただの英文解釈ではなく、また翻訳者のクセがいたるところに出てくることを如実に見せてくれる。 最後にその英語の原文もついているので、 自分でも翻訳してみようと思う。

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2013/03/12

★4の理由は、 中に収められている カーヴァーとオースターの短編各二種のために他ならない。 もちろん既に『スモーク&ブルー・イン・ザ・フェイス』で読んではいたが、 『オーギー・レンのクリスマス・ストーリー』、 改めていい話だ。 村上春樹バージョンも読めて嬉しかった。 レイモン...

★4の理由は、 中に収められている カーヴァーとオースターの短編各二種のために他ならない。 もちろん既に『スモーク&ブルー・イン・ザ・フェイス』で読んではいたが、 『オーギー・レンのクリスマス・ストーリー』、 改めていい話だ。 村上春樹バージョンも読めて嬉しかった。 レイモンド・カーヴァーは読んだことがなかったのだが、 映画『ショート・カッツ』から察するに面白そうだなーと思っていたので、 読めて良かった。 『コレクター(収集)』はすごくシュールで、 好きなタイプの話だった。 積ん読を片付けたらもうちょっと読んでみたい。 ただ、昔から私は言っているのだけど、 翻訳者としても村上春樹は決して好みではない。 とか言いながらやはり彼の考え方や語り口は興味深いし、 翻訳者としての独特な地位を築いているのは賞賛に値するんだろうな。 村上春樹氏も柴田元幸氏も言葉を生業にしているだけあって 非常に読みやすかった。

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2013/02/03

おふたりの対談みたいなものを読んだことがあったので、 自分にとって新しい発見は多くなかったですが、 最後まで読みやすく、入門編としては悪くないと思います。 ふたりの翻訳を読み比べられるのはおもしろかったですね。 柴田さんの方が誠実な、村上さんの方が洗練された訳と感じました。 ...

おふたりの対談みたいなものを読んだことがあったので、 自分にとって新しい発見は多くなかったですが、 最後まで読みやすく、入門編としては悪くないと思います。 ふたりの翻訳を読み比べられるのはおもしろかったですね。 柴田さんの方が誠実な、村上さんの方が洗練された訳と感じました。 内容で言えば印象に残っているのはリズムとグルーヴの話ですね。 分かるような分からないような話ではありますが、 確かにグルーブを感じる文章ってあるなあと自分なりに納得してました。 読んだからと言って翻訳が出来るようになるとは思いませんが、 読み物として楽しめる本ではあると思います。

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2013/02/02

好きなことには努力を厭わない。 何かを真剣に学びとる作業。 村上春樹が執筆に辞書を使わないというのは驚き。

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2013/01/09

村上作品はそこに垣間見える、文学に対する姿勢とか敬意に実は一番感動したりするのですが、今回もやはり感銘受けながら読みました。もう村上哲学!?ですね。音楽・美術もそうですが指導者のもと指南を受けることよりはるかな重要なものがあるのだな、とつくづく思いました。我流であっても 自分自身...

村上作品はそこに垣間見える、文学に対する姿勢とか敬意に実は一番感動したりするのですが、今回もやはり感銘受けながら読みました。もう村上哲学!?ですね。音楽・美術もそうですが指導者のもと指南を受けることよりはるかな重要なものがあるのだな、とつくづく思いました。我流であっても 自分自身を突き動かす情熱が凌駕するものとか・・・。考えてみれば苦手と思っていた村上春樹を見直すきっかけとなったのが「グレート・ギャツビー」だったことを思いだしました。ふたりの競訳2篇の読み比べが楽しかった。原文含め何度も読み返してしまった

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2012/12/17

作家兼翻訳家の村上春樹さんと、教授兼翻訳家の柴田元幸さんによる翻訳座談会の3回分をまとめたものです。 私は、村上さんの翻訳は多く読んでいるのですが、柴田さんの方はポール・オースター「ティンブクトゥ」くらいしか経験がありません。そのせいか、お二人がカーヴァー(村上さんの十八番)とオ...

作家兼翻訳家の村上春樹さんと、教授兼翻訳家の柴田元幸さんによる翻訳座談会の3回分をまとめたものです。 私は、村上さんの翻訳は多く読んでいるのですが、柴田さんの方はポール・オースター「ティンブクトゥ」くらいしか経験がありません。そのせいか、お二人がカーヴァー(村上さんの十八番)とオースター(柴田さんの十八番)を訳し合った企画では、両方とも村上さんの文体のほうがしっくりきました。 この企画を読む前に、一応自分なりに翻訳してみたのですが、お二方とは読みやすさが全然違いました。私の訳は、日本語にも英語にもなりきれないまま流産してしまった悲しい胎児のようです。うう。翻訳の難しさが身にしみたところで、だからこそ熱く語られる翻訳論に共感できました。 翻訳小説は、翻訳する人の技量によってその国での評価が左右されます。翻訳家にのしかかる重い責任や、際限なく行く手を阻む言語・文化間意識のズレ、膨大な調べ物。そういう大変な仕事を「でも好きなんだ」とやってのける翻訳家の皆様に頭が下がる思いです。海外文学愛好家として、とても勉強になりました。

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2012/10/31

村上春樹と柴田元幸という、英日翻訳者としては突出している2人による翻訳論。 なかでも焦眉は同じ短編を2人それぞれが訳しており、読み比べられるところ。同じ英文なのに印象がだいぶ違う。やはり翻訳は大事だな。本書によって、翻訳者によって本を選ぶというのも大いにアリだなと思わされた。 ...

村上春樹と柴田元幸という、英日翻訳者としては突出している2人による翻訳論。 なかでも焦眉は同じ短編を2人それぞれが訳しており、読み比べられるところ。同じ英文なのに印象がだいぶ違う。やはり翻訳は大事だな。本書によって、翻訳者によって本を選ぶというのも大いにアリだなと思わされた。 ・『しぐさの英語表現辞典』 ・英語と日本語のパラグラフ感覚の違い ・村上春樹の小説が、英語で書かれているかのように感じることについて(P219) ・下手な文章読むと絶対にダメ。雑誌、テレビ・・・。 ・カキフライ理論。 ・『アンダーグランド』

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