夏のレプリカ の商品レビュー

森博嗣(著者)

2014/10/27

森博嗣の「S&M」シリーズ第7弾。
今回は密室ではなく誘拐殺人、しかも被害者は誘拐犯・・・
犀川助教授の登場も少なく、主に西之園萌絵とその同級生：簑沢杜萌の視点から描かれていきます。
混沌とした展開から急転直下で導き出される真実・・・それはどこまでが真実なのか？？
ここまでのシリーズ中、最も納得行かなかった作品・・・私的には、どなたかにちゃんと解説して欲しいです・・・

2014/10/13

シリーズ７作目。前作と同時期に起こった事件を描いた作品。前作と間をあけずに読んだけれど、間をあけて読んでも大丈夫かも。
今回は萌絵と犀川先生が中心ではなく、萌絵の友人、簑沢杜萌の目線で話が展開していく。話の中で、キーポイントなんだろうなという事柄はわかるのですが、真相ではそうつながるのかと思うものの、何だかちょっとすっきりしない部分も。
ミステリを読むというより、萌絵と犀川先生の関係を楽しむ方向になってしまっているかな。

2014/09/25

Ｓ＆Ｍシリーズ第７弾『夏のレプリカ』を読了。

前作の『幻惑の死と使途』と同時期に起きた事件が描かれており、この２作品は奇数章のみと偶数章のみの構成になっている。事件としても全く別ではあるが、切り離せない対になっている作品。

ミステリ好きの中には、この珍しい構成を使った何かしらのトリックが使われていると思うかもしれないが、作者曰くそんなことは無く、ただ純粋に同じ時系列で起きた事件だからである、とのこと。ただ、同時期の事件を取り扱っているので、リンクしているところなどは見受けられる。たとえば「名前が逆だっていうことには気がついていた？」という犀川の台詞の意味など(これに関しては、前作を読んでみないと全く意味が伝わらないだろう)。

本作のメインとなる登場人物は、殆どが萌絵とその友人の簑沢杜萌。その為、犀川の印象は薄いと感じる読者も多いと思う。二人の名前「萌絵(もえ)」と「杜萌(ともえ)」について、作中で出てくる将棋の話から、ある関連性を発見した。将棋では「歩」という駒があるが、「歩」が成ると「と金」となる。まるでこの二人の名前のようである(深読みしすぎかもしれないが)。

いずれにしても本作は、特殊な構成などからも見られるように、Ｓ＆Ｍシリーズ中では異色作と言えるだろう。シリーズ１作目『すべてがＦになる』で、ある人物が口にする「数字の中で、７だけが孤独なのよ」という印象的な台詞を思い出した。

ちなみに、トリック面などでは特筆するべきところは無かったが、面白い作品には違いないだろう。

それでは今回も、名言や台詞を一部引用。

・たとえば、「子供に夢を与える」と言いながら、本当に夢を見るものを徹底的に排斥しようとする社会。集団はいったい何を恐れているのだろう

・いいのよ、殺しても

・意志とは、消滅の自覚だ

・質問は、質問する人を表現するんだ。それに対する返答なんかとは無関係にね

読後感も切なく、感傷に浸れる作品だった。読ませる力を持ったシリーズである。

2014/09/14

読了。

【購入本】
夏のレプリカ / 森博嗣

犀川創平と西之園萌絵のS&Mシリーズ
森博嗣氏のはこのシリーズしか読んでないんですけどね。

すべてがFになるを読んだからには残りも！という程度で読み始めたシリーズになります。

そこそこ時代が古めなので「すべてがFになる」ドラマ化するにあたり、どう変えていくのかなと思う次第です。
ラップトップではなくディスクトップがメインの時代の話ですし、携帯もあまり多くない時からのスタートですので。
Twitterでドラマのキャストどうなの！という会話を一緒に参加してましたが、決まったものはしょうがないですのでドラマ見る人は楽しめるかどうかわかりませんが楽しんで下さいw。

こちらの話は前作の「幻惑の死と使途」と同時進行という形になっており、前作は奇数章で、この作では偶数章でなっているので第二章から始まります。
萌絵の友達杜萌が語り手ですので萌絵はともかく犀川教授は空気に近い感じです。
それでも早いペースで読み進めれたので入り込んでいたのだということでしょう。

犀川教授が主人公の位置だったと思ったけど萌絵が主人公になってるかな。あるいはもともとそうだったか。

面白かったです。

2014/08/06

6作目の幻惑の死と使途と同時期の物語。シリーズ7作目でこちらは偶数章で書かれている。
萌絵の高校時代の同級生、簑沢杜萌とその家族が巻き込まれた誘拐事件から始まる。
萌絵がチェスでどう気づいたのか、他の方の考察などを拝見し、理解できた。

犀川先生はいつもなぜそんなに早く事件を理解できるのだろう…

2014/07/03

とある政治家一家を襲った誘拐は殺人事件へと発展する。
ただし殺されたのは誘拐犯の方だった。
グループ間の仲間割れ？それとも別の可能性が？

『幻惑の死と使途』の裏側で起こっていたもう一つの事件。
幾つかの矛盾点はある駒の配置を変えるだけで綺麗に消え去る。
置き換えられた夏。
人は見た現象をそのままでは語らない。

工学部助教授 犀川＆工学部4年生 萌絵が真相を解き明かすS＆Mシリーズ7作目。

2014/06/22

帰省した実家で仮面の誘拐者に捕らえられた簑沢杜萌。別荘に拉致されていた家族とともに無事実家に戻ったのだが、外から施錠されていた部屋にいるはずの兄が消え去っていた。「幻惑と死と使途」と同時期に起こったもう一つの事件。

萌絵の友人である杜萌を主人公としたストーリーで、事件解明に犀川・萌絵が登場するものの今回は脇役。
脇役と言えば萌絵の叔母である佐々木夫人がやけに印象に残った。萌絵に語ったセリフはまるで今回の事件の全貌を知っているかのようだと思ったのは私だけだろうか 事件解明後、物哀しい、やるせない雰囲気が漂っているが、ラストでの出来事で少々救われる（とはいえ、逆に謎も生まれたけど）

2014/05/20

Ｓ＆Ｍシリーズ第７弾。三度目の再読。偶数章のみで描かれる簑沢家誘拐事件。
事件は地味で、萌絵以上に犀川先生の出番は殆どナシ。
萌絵の親友・杜萌が主人公として話が進み、何とも哀しい結末。その後が気になる終わり方。

2014/05/08

読みやすくて引き込まれる。
話の内容としては面白いのだけど、筆者が伝えたいことを飲み込むまでに時間がかかった。
replaceable summer
固定概念を疑うこと、自分を疑うこと。客観と主観。仮面と名前をテーマとした理由がなんとなく分かってくる。

2014/02/15

このシリーズにはまればはまるほど、萌絵の加速する変化に、どぎまぎしてしまう。

彼女が殺人事件に関わる理由は、謎解きを楽しむためではないのだろう。

犀川の無表情で無感動、冷静な仮面の奥に潜む本当の人格…それを引きずりだそうとしてはいないか。

そうして同時に…自分の奥に眠っている犀川的な部分を、謎解きや研究の中で覚醒させつつあるように思う。

ますます怖くなってきた。この二人は…それぞれが自身の破滅を無意識に望んではいないだろうか。

ミステリーとしてはもはや読んでいない。二つの天才的頭脳がたどる破滅への軌跡。そんな予知めいたものに導かれて、シリーズを読み進めている。

読み終えるのが、こわい。