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夏のレプリカ の商品レビュー

3.7

311件のお客様レビュー

  1. 5つ

    47

  2. 4つ

    118

  3. 3つ

    99

  4. 2つ

    18

  5. 1つ

    1

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2015/12/27

夏の終わりの切なさを一冊の本にしたらこんな感じか。裏で進行する「幻惑の死と使徒」が派手な仕掛けのミステリーとして完成度が高く、一方のこの作品がまったく別の魅力で完成度が高いというのはすごいことだと思う。いわゆるアクロイド的な叙述ミステリーは語り手が読者を意識している違和感があって...

夏の終わりの切なさを一冊の本にしたらこんな感じか。裏で進行する「幻惑の死と使徒」が派手な仕掛けのミステリーとして完成度が高く、一方のこの作品がまったく別の魅力で完成度が高いというのはすごいことだと思う。いわゆるアクロイド的な叙述ミステリーは語り手が読者を意識している違和感があってあまり好きではないのだけれど、理性と相反する恋愛の不思議とか、喪失感をテーマとした青春ものとしては楽しんだ。

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2015/09/04

私は誰で、誰が私を私たらしめているのか。 笑っているような表情の人が本当に笑っているのかは誰にもわからない。きっと本人にもわからない。 事実は起こった瞬間からねじ曲がる。人がいないと認識をされないのに、人が認識した瞬間に物事はもうカタチを変えてしまう。 曖昧という言葉で定義す...

私は誰で、誰が私を私たらしめているのか。 笑っているような表情の人が本当に笑っているのかは誰にもわからない。きっと本人にもわからない。 事実は起こった瞬間からねじ曲がる。人がいないと認識をされないのに、人が認識した瞬間に物事はもうカタチを変えてしまう。 曖昧という言葉で定義することも難しい。何も掴めない。すべては自分が納得するかどうかだけ。その自分すらも誰なのか怪しい。 自分の予測を超える感情の波に持っていかれて、脊髄が反射するような動きを自分という個体がして、そうして、はじめて、「自分が解る」ことってあるんだろう。 悲しみでも、愛しみでも、なんでも。 森博嗣さんの本は一冊読むたびに、次の日の世界の見方が変わります。道行く人が神秘的に見えてしまったり、人間の汚さを考えさせられちゃったり、タバコの煙を眺めてぼんやりしてしまったり。 思うことはたくさんたくさんあるのだけれど、それを言葉に直すことはどうしても難しい。人にオススメしたい気持ちばかりが走って、読み終えてすぐの感想は毎回、 「きゃー犀川先生やばいい。もう名古屋大の教授ひっかけて結婚したいいい。」 っていう陳腐な言葉になってしまうけど。 口に出せる言葉なんて、思想という氷山の一角に過ぎないですね。深く思案しましょ。 犀川先生みたいな人いないかしら、ぽそり。

Posted byブクログ

2015/08/26

基本的にすごく面白く読めたんだけど、ちょっと解せないというか雑な作りな部分がいくつかあったので、星は減らさざるを得ないというか。勿体ないなと。

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2015/08/24

「色彩は絶対的な概念ではないからね。物体が持つ性質でもないし、観察者の極めて主観的な評価に過ぎない。つまり普遍的でもない。だから、その一瞬でしか評価できないわけだし、好きとか、嫌いとか、言ったとたんに、無意味になるよ。」(P416)犀川創平

Posted byブクログ

2015/06/16

犀川先生の出番は少ない目の回でした。それでも解決しちゃうのはすごすぎですが。 でも犀川先生、キカイダーやエイトマンとかストレイカー司令官なんてどんだけマニアなんだ。子供時代はマニアだったのかなとちょっとうれしくなりました。もちろん森さんがマニアなんでしょうけれども。 今回の解決は...

犀川先生の出番は少ない目の回でした。それでも解決しちゃうのはすごすぎですが。 でも犀川先生、キカイダーやエイトマンとかストレイカー司令官なんてどんだけマニアなんだ。子供時代はマニアだったのかなとちょっとうれしくなりました。もちろん森さんがマニアなんでしょうけれども。 今回の解決はちょっと理系ぽく無かったかも。やはり「7」作目だからなのかな。 悲しい結末でした。

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2015/05/19

なんとも言えない後味感・・・  杜萌の視点からも書かれていて・・・ 最後のチェスが印象的。すごい綺麗なシーンだった。 でも、嘘は言ってない。聞かれてないことに答えていないだけ。って、犀川先生、出番が少ないのに、すごすぎでしょ。こんな人いたら、警察に是非入って、自由に犀川先生がや...

なんとも言えない後味感・・・  杜萌の視点からも書かれていて・・・ 最後のチェスが印象的。すごい綺麗なシーンだった。 でも、嘘は言ってない。聞かれてないことに答えていないだけ。って、犀川先生、出番が少ないのに、すごすぎでしょ。こんな人いたら、警察に是非入って、自由に犀川先生がやりたい研究をして、雇って欲しいw そしたら情報を入れるだけで解決してもらえるなんて、 なんて、省エネな人なのだ・・・ とりあえず、この本は幻惑の死と使途と大分違った事件だけど、この本の方が衝撃的だった。。。。 でも、最後まで謎というか、モヤモヤ部分が残った。 素生は??結局杜萌は??

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2016/08/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ううむ。難しいですね、これは。 前作の「幻惑の死と使途」とほぼ同時に起こった出来事で、予想通りこちらは偶数だけの章でした。 犀川が「名前が逆だったていうのには、気がついていた?」というのは「幻惑の~」とリンクする面白い発言でした。犀川の概念では人が逆なのではなく、名前が、なのですね。 以前、何かの本で読んだ『ミステリーにおけるルール違反なトリック』に"実は犯人は双子だった"というのがありました。「幻惑の死と使途」を読んだときにこれを思い出してギリギリだなあと思ったんですが、そこに"語り手自身が犯人だった"も書いてあったような気がして、これまたどうなんだろう、と思いました。 ルール違反であろうが、なかろうが私は好きではないんですが、このお話は何だか許せる気がして不思議な気分”です。 ”推理”小説というのは誰にっての”推理”(小説)なんでしょうね。 何だか許せる気がして、というのは何となく2点あって、一点は自分がやったことであっても、ショック過ぎて記憶が抜け落ちたり、すり替えたりすることがあると医学的に証明できるのではないかと思うからです。 もう一点はまあ同じようなものなのですが、気付かなかったということ。事情を知らないが故に他人を傷つけるような発言をしていたり、振り向いた拍子に死角にいた人に鞄をぶつけてしまったり。 違いはたぶん、自分がやったと認識しているか・していないかだと思うのですが。 そういうことが実際あると思うので、杜萌もどちらかだったのかもしれないという寛容な見方です。 あと、近い感覚にわかっているのに意識の外にあって気付かない、というのがあって、探し物をしているときにすぐそこにあるのに、全然見えていないみたいなこともありますよね。 以前に読んだ京極夏彦の「姑獲鳥の夏」もこんな感じで、その時は有り得ないと思ってましたが、人の感覚って曖昧というかちゃんと意識していないと結構穴があるんだと思います。(穴‥?) 読み終わってからもずっと色んなことを考えてて、このシリーズでこんなに考えたのは初めてでした。 しばらく考えたら何かまとまるかと思ったけれど、何もうまれませんでした。 杜萌がどうしてダメ男に惹かれたのかも、素生とのことも、素生があの部屋から何時どうして出て行ったのかも、どうして兄を自分が殺したと杜萌が勘違いしていたのかも、素生が生きているのかどうかも全部よくわかりません。 萌絵が新幹線で帰るときはケロッとしているのも怖いです。杜萌の部屋に杜萌が犯人で人を殺したということを知ったときにうまれた感情すべてを置いてきたのかもしれません。 いろいろな種類の複雑な感情を一人で抱え込むことは誰でも難しいです。一番尊敬し、信頼し、敬愛している人の前ではどんなに抑え込んでいても漏れてしまうと思います。 話としては最後、東京駅で萌絵が素生に出会うところは偶然を甘く見過ぎ(適当な言葉がない)だと思いますが、もう何でも良いような気にすらなりました。 レプリカという言葉は偽物というような意味だと思っていましたが、本来はオリジナルの作者自身によって作られたコピーという意味のようです。 萌絵はずっと杜萌のレプリカを通して事件を見ていたし、それは読む側も同じなのかもしれません。 正しいことなんて、本当は何も書かれていなかったのかもしれない。 (誰が何をもって正しいと判断するのかもわからないけど)

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2015/05/05

T大学大学院生の簑沢杜萌は、夏休みに帰省した実家で仮面の誘拐者に捕らえられた。杜萌も別の場所に拉致されていた家族も無事だったが、実家にいたはずの兄だけが、どこかへ消えてしまった。眩い光、朦朧とする意識、夏の日に起こった事件に隠された過去とは?『幻惑の死と使途』と同時期に起った事件...

T大学大学院生の簑沢杜萌は、夏休みに帰省した実家で仮面の誘拐者に捕らえられた。杜萌も別の場所に拉致されていた家族も無事だったが、実家にいたはずの兄だけが、どこかへ消えてしまった。眩い光、朦朧とする意識、夏の日に起こった事件に隠された過去とは?『幻惑の死と使途』と同時期に起った事件を描く。 (「BOOK」データベースより) 前作の「幻惑の死と使途」でも書きましたが、前作は奇数章のみ、この「夏のレプリカ」は偶数章のみで構成されています。 なんというか、あの出来事(前作)の裏でこんなコトが起きていようとは想像もしませんでした。 というか、こんなコトを考え付く作者の頭脳ってどんななの? って思います。 どこも破綻していないんですもの。 すごいですよね。 何かどこかで出会ったことがあるような気がするんだけどなあと思っていたのですが、ストーリーや背景など内容そのものはまったく違うんですが、綾辻行人氏の「緋色の囁き」を思い出していたのでした。 全然違うだろって? ですよねー、私だけかもね。 今回は萌絵ちゃん、いい子。 辛い選択を強いられることになったけど、根っこのところでは友達を最後まで信じた。 にしても道具を使わずにチェスの勝負をする女子大生の友達同士って想像つかないんですけど(笑)。 友達に、「可愛い人」と思われる萌絵ちゃんは、可愛い人なのかもね。 見た目ってことじゃなくてね。 でも見た目もきれいで、大金持ちで、頭も良くて、もうっ、あ、あと若いし、羨ましすぎ! 辛い過去もあるのにね、ごめんね、萌絵ちゃん。

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2015/04/19

前作と対になる作品、 どこがどう繋がるのか、わくわくしてたけど、 いろんな意味で、ああ、そうだったか…という感じ。悲しい。 どうしても納得がいかないところがあって、少しもやっと。

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2015/04/12

『幻惑の死と使途』の中のもう一つの事件はこの作品に書かれていたのですね。 並行に進んでいてこちらは偶数章だけになっていました。 『幻惑の...」は奇数章だけだったんですね。 気づきませんでした。 このシリーズ、最近読み始めて、この作品まできましたが、面白いですね。 今回は自分なり...

『幻惑の死と使途』の中のもう一つの事件はこの作品に書かれていたのですね。 並行に進んでいてこちらは偶数章だけになっていました。 『幻惑の...」は奇数章だけだったんですね。 気づきませんでした。 このシリーズ、最近読み始めて、この作品まできましたが、面白いですね。 今回は自分なりに色々予想していたんですが、まったく外れました。 最後は驚きました。事件の結末もお兄さんの消息も。。 楽しめました。

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