砂糖の世界史 の商品レビュー
「砂糖」と言えば ・甘い ・体に良い砂糖と悪い砂糖がある ・サトウキビで出来ている ・食べ過ぎると生活習慣病を引き起こす これくらいの知見しかなかったのですが、この本を読んで砂糖に関するアンテナが張り巡らされました。 奴隷ありきで現在ここまで流通した砂糖。砂糖に限らず奴隷の力で脚...
「砂糖」と言えば ・甘い ・体に良い砂糖と悪い砂糖がある ・サトウキビで出来ている ・食べ過ぎると生活習慣病を引き起こす これくらいの知見しかなかったのですが、この本を読んで砂糖に関するアンテナが張り巡らされました。 奴隷ありきで現在ここまで流通した砂糖。砂糖に限らず奴隷の力で脚光を浴びている商品は他にもあるのだろうか。 そもそも気候が合わずに日本では量産出来ないかったのに、高級な砂糖として今も残る和三盆とは、どんなものなのか。 北海道で栽培されるビート(砂糖大根)はどんなものなのか。 探究心が湧き出る本でした。
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世界はひとつながりで出来ているという「世界システム論」と、歴史上の人々の暮らしをモノや慣習から観察しようとする「歴史人類学」という2つの歴史の見方をもって、砂糖を切り口に観察した本。 イギリスで砂糖入り紅茶が流行したのが、贅沢品と贅沢品を組み合わせればすごいステータスシンボルになるという考えから産まれたという説は、トンカツとカレーを組み合わせた最強の食べ物「カツカレー」を想起させ、非常に面白かった。(あと、トムブラウンのネタが思いついた笑) 本著を読んで、需給バランスが価格を決めること、イギリス含めた欧州勢がいかに利己的に動いているかがよく分かった。奴隷制度廃止の背景が、奴隷貿易により栄え、且つ砂糖に高額の関税をかける事で莫大な利益を上げていた東インド会社を締め上げることで、砂糖の価格を下げ、その結果工場労働者達の食費が下がり、彼らに与える賃金を減らす事に繋がるとは、なんとも恐ろしい事である。(勿論、本著が唱える説が100%正しいとは考えていないが) 近頃SDGsが叫ばれ、欧州を中心に激しい規制を掛け始めているが、砂糖の世界史から想起するときな臭い事この上ない。社会的課題である事は間違いないが、欧州の意見を盲信しすぎぬよう注意したいと感じた。
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16世紀以降爆発的に人々に好まれる地位を確立した砂糖。 当時薬品も食料も全てが動物か、植物の素材として求められていた。常に有用な植物が求められた時代に、 当時イスラム教の方がコーランと共に持っていた砂糖が注目を集める。 十字軍との戦いの中で、ヨーロッパ強いてはオランダに広がる。 ...
16世紀以降爆発的に人々に好まれる地位を確立した砂糖。 当時薬品も食料も全てが動物か、植物の素材として求められていた。常に有用な植物が求められた時代に、 当時イスラム教の方がコーランと共に持っていた砂糖が注目を集める。 十字軍との戦いの中で、ヨーロッパ強いてはオランダに広がる。 砂糖を生産するには気候と管理、加工が必要であり、それには重労働を必要とする。そこでアフリカからの奴隷が火種となる
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砂糖が民衆の生活・政治経済に与えた影響を包括的に説明。ジュニア新書ということでとても読みやすい。 砂糖入りの紅茶は上流階級のステータスであり、ほぼ同時に庶民の手軽なカロリー源でもあったという奇妙な状況が面白い。 「砂糖の歴史は、3つの大陸を同時に見なければわからないのです」
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砂糖という商品を誰がどこで生産し、誰がどのように消費したかを辿ると、違った角度から世界の歴史が見れて、とても面白かった。 甘い砂糖は、悲惨な(甘くない!)奴隷制度がなければ、大量に安価に生産されることはなかっただろう。そして、今でも砂糖プランテーションの植民地となった国々には、...
砂糖という商品を誰がどこで生産し、誰がどのように消費したかを辿ると、違った角度から世界の歴史が見れて、とても面白かった。 甘い砂糖は、悲惨な(甘くない!)奴隷制度がなければ、大量に安価に生産されることはなかっただろう。そして、今でも砂糖プランテーションの植民地となった国々には、奴隷制度の深い爪痕が残されている。 砂糖が高価だった時は、薬品から始まり、砂糖とお茶がステイタスシンボルになってた時代があったのに、今は健康被害で少々悪者になってるとは、その当時からは想像できなかっただろう。 砂糖にまつわる文化的な歴史に触れてるのも、ちょっと息抜きになって良かったです。
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世界商品として、かつて高級品として薬としても用いられていた砂糖。世界的に高く売れるとなれば、人間の欲がうごめいてくるのは、今も昔も変わらない。富の象徴として、かつて高級品だった紅茶に砂糖を入れはじめたという。そのマウンティングを支えたのは黒人奴隷だった。歴史を知ると日常にある風景...
世界商品として、かつて高級品として薬としても用いられていた砂糖。世界的に高く売れるとなれば、人間の欲がうごめいてくるのは、今も昔も変わらない。富の象徴として、かつて高級品だった紅茶に砂糖を入れはじめたという。そのマウンティングを支えたのは黒人奴隷だった。歴史を知ると日常にある風景が少し違ってみえてくる。
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ふと砂糖の歴史を知りたくなったので。 砂糖を通して世界史を学ぶ。砂糖はイスラム教徒によって伝えられ、キリスト教徒によって広まっていき、ヨーロッパ各国で植民地の奴隷達によって栽培された。最初は高級品だったが、工業の発達や生活の変化により一般庶民にも手に入るものになっていく…。 ...
ふと砂糖の歴史を知りたくなったので。 砂糖を通して世界史を学ぶ。砂糖はイスラム教徒によって伝えられ、キリスト教徒によって広まっていき、ヨーロッパ各国で植民地の奴隷達によって栽培された。最初は高級品だったが、工業の発達や生活の変化により一般庶民にも手に入るものになっていく…。 ジュニア新書と侮るなかれ。砂糖を通してヨーロッパの歴史、社会事情や国民の生活まで見えてくる。歴史の授業にありがちな事件の起きた年と事柄を淡々と説明していく本ではなく、歴史の流れに沿って世界がどう変容していったのか書かれているため世界史未履修者でも分かりやすいし、面白い。 学校の授業もこういった形だったら覚えやすいだろうしワクワクして聴けるのにね。 砂糖の歴史に沿ってチョコレートやコーヒー紅茶の歴史も垣間見えるのも面白い。世界の全ては混ざり合っていて結局は一つである。 そしてこういったものが世界的に必要とされる裏側には大量に生産する人が必要であり、暗い歴史があるように感じた。 現代人はこういった側面から歴史を学ぶべきだと思う。
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3年前に読んだ。砂糖を通して奴隷制度や植民支配などの世界史見ていくような感じ わかりやすくいい本だった覚えがある
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サピエンス全史を読んでまもなかったので、良い復習になった。産業革命の学び直しにちょうどいい。 当たり前のように身近にある砂糖が人間にどのような影響を与えたのか勉強するために読んだ。 神秘的なもの・薬品→カロリー源・富の象徴→ダイエットの観点から嫌われるもの 社会のしくみや価値観によって砂糖の役割はだいぶ違っていた また、お茶やコーヒーとも切ってもきれない関係だったこともよく理解できた 「プランテーション」という用語はなんとなく知っていたが、「モノカルチャー」という単一の作物だけをつくる農業が登場し、奴隷を使いながら世界商品を生産するという仕組みを学び直すことができた。 日本の砂糖事情や、イギリスの朝食における砂糖の役割など、世界の食文化の話は面白くてわくわくする。 途中しばしばそういった話題で脱線するが、ちゃんと本題に戻る笑
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中高生の頃、歴史は苦手科目でしたが、こうして一つのテーマに沿って広い範囲で見ると、色々と繋がり理解しやすいことがわかって興味深く読みました。大人になったからこそ、今の社会がどういう経緯で作られたのか、歴史を学んでみたいと思えるようになり、こうした本はとても参考になります。
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