村上春樹、河合隼雄に会いにいく の商品レビュー
2020.3 再読。なんで人は物語に癒されるんだろう。井戸掘り。ずるさ。自分の物語をつくっていかないと。
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村上春樹が小説を書く理由が自分の中に内在する葛藤を整理する為というのには納得出来た。 河合隼雄のカウンセラーとしての患者の向き合い方が優しく中立的だと感じた。 貴重な2人の対談は理解できない部分もあったが面白かった。ページの前後にお互いの考察が書かれていたが読みにくかった。
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『ねじまき鳥クロニクル』を書き上げた村上春樹が 心理学者の河合隼雄と対談したもの とても観念的な内容なのでじっくり読まないと理解できない さらにお互いが補足したいことをフットノートに上下段に加えているので とても読みづらいというか 読みたいのだけど対談内容を集中して読みたいの...
『ねじまき鳥クロニクル』を書き上げた村上春樹が 心理学者の河合隼雄と対談したもの とても観念的な内容なのでじっくり読まないと理解できない さらにお互いが補足したいことをフットノートに上下段に加えているので とても読みづらいというか 読みたいのだけど対談内容を集中して読みたいのにそちらも気になる 『ねじまき鳥クロニクル』について書かれてあるところが多く 再読したくなってしまった 2巻で完結とするか3巻で完結とするか読者に委ねている 前書きが村上春樹 後書きが河合隼雄
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今から25年前の対談だけど十分面白く読める。 印象に残ったのは、河合さんが、映画を見ても批評ということが出来ない、主人公はあの時ああやったらよかったなとかそういうことしか浮かばないんですと言われた所。 心理療法家の方に分析めいたことは失礼だけど、この人はとても強く人に感情移入する...
今から25年前の対談だけど十分面白く読める。 印象に残ったのは、河合さんが、映画を見ても批評ということが出来ない、主人公はあの時ああやったらよかったなとかそういうことしか浮かばないんですと言われた所。 心理療法家の方に分析めいたことは失礼だけど、この人はとても強く人に感情移入する性質を持っておられたのだと思った。
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村上春樹氏と心理学者である河合隼雄氏との対談。村上氏自身のコミットメントが強く生じたオウム事件や阪神大震災まもない時期、名作『ねじまき鳥クロニクル』を書き上げた時期ということもあり、談話内容はなかなかに興味深い。おふたりの話は高度で非常に観念的であり哲学的でもあるので、読者側で反...
村上春樹氏と心理学者である河合隼雄氏との対談。村上氏自身のコミットメントが強く生じたオウム事件や阪神大震災まもない時期、名作『ねじまき鳥クロニクル』を書き上げた時期ということもあり、談話内容はなかなかに興味深い。おふたりの話は高度で非常に観念的であり哲学的でもあるので、読者側で反芻して咀嚼する必要があるがおふたりの思考は深いところで繋がりあっているのがよくわかる。箱庭療法に対する日米の違いのエピソード(言語的左脳的な米と、非言語的右脳的な日)は、文学や心理など目に見えない「魂」といった類を扱う者らの文化論として示唆に富む。 特に関心を惹かれたのは村上氏のアメリカでの大学講義の話であった。『ねじまき鳥クロニクル』の見解を「一読者としての見解」として紹介すると、アメリカでは「お前が作者なんだから作者の意図だろう」と突っ込まれるのに対して、日本だとすんなり受け入れられる。村上氏らしいスタンスだが、解釈が難しい作品だけに、私もやっぱり後者の気分(そもそも解釈する必要があるのかという意見も日本ならあるかもしれない)。 後書きが河合隼雄氏なのも面白い。
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メディアと小説についてお二人が述べている、第二夜が好きです。 小説のメリットは、その対応性の遅さと情報量の少なさと、手工業的しんどさ。にある。(メディアはその反対で、そのスピードにのみこまれる。。) 「フィクションは力を失っておらず、何かを叫びたいという人にとっては、むしろ道...
メディアと小説についてお二人が述べている、第二夜が好きです。 小説のメリットは、その対応性の遅さと情報量の少なさと、手工業的しんどさ。にある。(メディアはその反対で、そのスピードにのみこまれる。。) 「フィクションは力を失っておらず、何かを叫びたいという人にとっては、むしろ道は大きく広がっているのでは…」 と、春樹さん。 そして河合隼雄先生は 「小説や映画を見るときに、主人公と同定しちゃって一喜一憂している場合が多い」 と仰っていて、すごく嬉しく感じた。 「深く病んでいる人は世界の病を病んでいる」 それで社会に発言するようになったという河合隼雄先生。 なんだか本当に似ていたんですね、お二人の考えは。。
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“結婚とは井戸を掘る作業である。” 村上春樹のこの言葉をさらーっと受け取りポジティブに捉えてたけど、もう一度読んでみたらもっと”苦しいこと”なのだと気付く。 結婚とは、自らの足りないところを補うのではない。むしろ相手の欠落した部分を認識する作業であり、そこからどう関係性を築い...
“結婚とは井戸を掘る作業である。” 村上春樹のこの言葉をさらーっと受け取りポジティブに捉えてたけど、もう一度読んでみたらもっと”苦しいこと”なのだと気付く。 結婚とは、自らの足りないところを補うのではない。むしろ相手の欠落した部分を認識する作業であり、そこからどう関係性を築いていくか、そこからは井戸を掘る作業なのである。ものすごく苦しいことであって、何度も夢見て結婚する人はそれを放棄している。 我が国での結婚における困難は、アメリカ的なromantic loveを追求する一方で結婚を社会的なもの、個人の完成として見る矛盾が存在するから。romantic loveは、性的関係を築いた時点で永続的ではなく、どこかで井戸を掘る作業に移行しなくてはならない。もしくは、romantic loveを他で満たす/ エロスを異性に求めず、ビジネスないし研究に打ち込む。 まあ、要はとっても苦しいことなんじゃないかという、村上さんと河合さんの見解。 上記の対話にもある 自分の欠落は人で補えるものでない、ということに関して、欠落は自分しか補えない。その補う作業、ないし癒す作業が村上にとっては執筆であり河合隼雄にとっては臨床心理である。 “その人にとってものすごく大事なことを、生きねばならない。しかし、それをどういう形で表現するか、どういう形で生きるかということは、人によって違うのです。生き抜く過程の中に、個性が顕在化してくるのです。人は普遍性をどう生きるか。” 人生とはこれに尽きるのだと、改めて感じさせられた。よき対談だ〜
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いわばふたりとも完璧に「上がった」人。「もはやもがく必要がない」。親しみやすそうと思わせながら存分に権威を享受している。 と、皮肉な目線も持ってしまうが、結構示唆的な対談。 というか春樹論はかなりこれがベースになる。 「春樹自身による春樹認識」として。 源氏物語、漱石、大江健三...
いわばふたりとも完璧に「上がった」人。「もはやもがく必要がない」。親しみやすそうと思わせながら存分に権威を享受している。 と、皮肉な目線も持ってしまうが、結構示唆的な対談。 というか春樹論はかなりこれがベースになる。 「春樹自身による春樹認識」として。 源氏物語、漱石、大江健三郎、村上龍、と日本文学の流れを着実に意識している。 アフォリズム、デタッチメント、コミットメント、と自身を細分化するなんて、暗中模索の作家では不可能で、かなり意識的に描き続けてきた作家だ(それが石原千秋いわく自己神話化)。 「ねじまき鳥クロニクル」は受け入れられるの時間がかかる、というアーティスト的な言い方をしているが、自身で深めていくのに時間がかかる、自分はこのテーマを続けていくという表面でもあるだろう。 小説のよさは、対応性の遅さと、情報量の少なさと、手工業的しんどさ(あるいは個人的営為)だ、という。まさにそのとおりとひざを打つ。
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▢村上春樹(小説家)と河合隼雄(臨床心理士)の対談集 河合隼雄は日本人初のユング派臨床分析家の資格を取得した臨床心理学者。京都出身。 その河合氏のところに村上春樹がでかけ、2晩ビールや食事をしながら、何の準備もなしに語り合った対談集です。 難しい言葉はあまり使わず読みやすいため一...
▢村上春樹(小説家)と河合隼雄(臨床心理士)の対談集 河合隼雄は日本人初のユング派臨床分析家の資格を取得した臨床心理学者。京都出身。 その河合氏のところに村上春樹がでかけ、2晩ビールや食事をしながら、何の準備もなしに語り合った対談集です。 難しい言葉はあまり使わず読みやすいため一日で読破。話題は日本全体のことから身近な出来事まで幅広く、お二人の海外暮らしの経験により、日本の良さや特徴にも気づかせてくれます。 共通のテーマとして、癒し・物語・言語・イメージ等様々なワードが出てきます。読者の知識や経験によって、理解度は分かれるところです。 お二人の所見から、読者それぞれが生きる上で何かしらのヒントを得られるような本になっていると思います。 ワード 癒し・個人主義・コミットメントとデタッチメント・言語とイメージ・物語・暴力・死・夫婦関係
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
20年も前の本だが、普遍的な事柄が多く語られている。 人間はなぜ物語を求めるのか。物語性の復活と身体性の復活。なかなか容易には理解できないことをお話しされているので、村上作品を読み尽くしてからまた読み直したい。
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