村上春樹、河合隼雄に会いにいく の商品レビュー
部分部分では興味深い対話内容もありましたが、全体的に淡白な印象でした。また、もう少し普遍的なお話が聞けたらよかったなと思いました。
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村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』までの気持ちの移りよう(随分大雑把な括りだけど)がわかる。 でも、もっと重要で詳しいことが書いてあったと思うんだけど読み取れていないかも。
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心理療法士の河合さんと、村上春樹さん、両氏の結婚に対しての発言も面白い。 河合さん 「愛し合っている2人が結婚したら幸せになれるなんて言う馬鹿な話はない。そんなことを思って結婚するから、鬱になるんですね。何のために結婚して夫婦になるかと言ったら、苦しむために、井戸掘りするためな...
心理療法士の河合さんと、村上春樹さん、両氏の結婚に対しての発言も面白い。 河合さん 「愛し合っている2人が結婚したら幸せになれるなんて言う馬鹿な話はない。そんなことを思って結婚するから、鬱になるんですね。何のために結婚して夫婦になるかと言ったら、苦しむために、井戸掘りするためなんだというのが僕の結論なのです。井戸掘りは大変なことです。だから別にしなくてもいいんじゃないかと思ったりするんですよ」 村上さん 「結婚とは、むしろお互いの欠落を暴き立てる過程の連続に過ぎなかったのではないかと。結局のところ自分の欠落を埋めることができるのは自分自身でしかないわけです。そしてその欠落を埋めるにはその欠落の場所と大きさを、自分できっちりと認識するしかない。結婚生活と言うのは煎じ詰めていけば、このような冷厳な相互マッピングの作業に過ぎなかったのではあるまいかと、この頃になってふと思うようになったのです。」 「癒しのために小説を書く」と言う村上春樹氏の発言がとても興味深かった。 村上春樹作品の遷移 1. アルゴリズム、デタッチメント 2. 物語を語る 3. コミットメント(人と人との関わり合い)
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村上春樹によって私が癒されることはないけれど、あいだに河合隼雄を挟むことにより、村上春樹の思考と言葉によって癒されることがあると分かった。メンタルとフィジカルが物語にどう関わってくるのか、意外と小説について語られている部分もあったのでよかった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
日本におけるユング心理学の権威である河合隼雄さんと村上春樹さんの対談集。村上春樹さんの「約束された場所で (underground2)」の最後にも少し対談集があったのですが、それが面白かったのでセットで読みました。 村上春樹さん自体はかなり僕と違った価値観を持つ人だと思うのですが、その自分とは大きく異なる価値観を部分的にでも共感させる文章力はさすが☆そして、相手のことを最大限に尊重しながら受け止める側に撤する河合隼雄さんはホントすごい!! 「苦痛のない正しさは意味の無い正しさ」「早い対応、多い情報の獲得、大量生産を目指す時代だからこそ、対応性の遅さや情報量の少なさ、手工業的しんどさが人間を癒してくれる」とかもすごく良かったけど、矛盾の話が一番良かったかな~♪以下、特に心に残った箇所を抜粋します☆ ----------------------- 矛盾をずっと抱え込みながら、答えを焦らずに実際的解決策を見出してはいくが、その矛盾にはずっとこだわっていく。矛盾の存在やその在り方、解消の方法などについて考え、言語化していく。しかし、決して解決を焦らない。そうしているうちに、最初は矛盾として捉えていた現象が、異なるパースペクティヴや、異なる次元の中で矛盾を持たない姿に変貌する。それを持とうとするのです。
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デタッチメントの確立の先に深い意味でのアタッチメントがある。完全なデタッチメントを目指そうとしても人間はそこまで強くない。かといってアタッチメントの割合を高くしていって人に依存するようになると長続きしない。羊4部作やノルウェイの森で語られ続けてきたテーマだけに共感するものがあった...
デタッチメントの確立の先に深い意味でのアタッチメントがある。完全なデタッチメントを目指そうとしても人間はそこまで強くない。かといってアタッチメントの割合を高くしていって人に依存するようになると長続きしない。羊4部作やノルウェイの森で語られ続けてきたテーマだけに共感するものがあった。
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村上:でも、紫式部はなんのためにあれを書いたのでしょうね。 河合:紫式部だって、やっぱり自分を癒すためでしょう、そう思いますね。
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"「何かのメッセージがあってそれを小説に書く」という方もおられるかもしれないけれど、少なくとも僕の場合はそうではない。僕はむしろ、自分の中にどのようなメッセージがあるのかを探し出すために小説を書いているような気がします。”(pp.79-80) ------ なるほど...
"「何かのメッセージがあってそれを小説に書く」という方もおられるかもしれないけれど、少なくとも僕の場合はそうではない。僕はむしろ、自分の中にどのようなメッセージがあるのかを探し出すために小説を書いているような気がします。”(pp.79-80) ------ なるほど。あらゆる活動はそうかもしれないと思い始めた。何かルーツ(根っこ)のようなものでつながっている。それは言い換えれば、自分の中にあるメッセージのようなものかもしれない。
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言語で分析する方法は、下手をすると、傷を深くするときがある、と河合隼雄が話していて、逆に言語化することで、意識してなかったらことに気付くことで傷が深くなるのか、と思った。 伝えるのが苦手なのに辛いことがあると頑張って何を悩んでるのか言語化しようとしてたけど、無理に言いたくないこと...
言語で分析する方法は、下手をすると、傷を深くするときがある、と河合隼雄が話していて、逆に言語化することで、意識してなかったらことに気付くことで傷が深くなるのか、と思った。 伝えるのが苦手なのに辛いことがあると頑張って何を悩んでるのか言語化しようとしてたけど、無理に言いたくないことは言わなくていいって言ってくれてる気がして気持ちが少し楽になった。
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いくつか興味深い点について振り返っていく <コミットメントとデタッチメントについて> コミットメント(献身、かかわり)とそのマイナス方向の性質としてのデタッチメントは、日常における全ての出来事(人間関係、仕事、趣味)についてかなり重要な意味がある。その関わりの深さで人生のシェ...
いくつか興味深い点について振り返っていく <コミットメントとデタッチメントについて> コミットメント(献身、かかわり)とそのマイナス方向の性質としてのデタッチメントは、日常における全ての出来事(人間関係、仕事、趣味)についてかなり重要な意味がある。その関わりの深さで人生のシェイプが決まるよな、とも思う。 元来人はアウトプットしなくては生きていけないと思うし、コミットメントとはアウトプットという概念の1つ下の階層にあたるという意味でも、かなり重要度が高いよなと思う。 <箱庭療法について> 河合隼雄さんといえば箱庭療法なんだなと、何冊か著書を読んで印象づいてきた。 患者に箱庭を作らせ、できた箱庭からその人の精神状態やおかれている状況を読み取るという、変わったアプローチの療法なのだけど、その抽象度が鍵なのだという。 アメリカでは臨床心理のケアを行う際、言葉を用いた論理的なアプローチで患者の精神状況などをとことん分析しようとする傾向があるらしいが、言葉を用いて自分の症状を認知させるようなやりかたを取ると、患者としては逆に傷ついてしまうことがあるらしい。 そこで箱庭を用いた分析アプローチを利用することで、ことを用いずに具体的に患者の精神状況を把握することができるという。 詳細を記載されているだろうからないが、これはやはり経験則に頼るところも大きい治療法なのではないかと察する。 <人間の暴力性について> 村上春樹は戦争以降、日本は平和憲法などを用いて徹底的に暴力性を排除し、その結果として現代人は自分の内に潜む暴力性に気づかず成熟し、その暴力性が顔を出した時に悲惨な結果になってしまうような事件などが怒っている状況について言及していた。 自分はお笑いがとても好きで、中でもサイコパスが現れるよな内容のものを好んだりする傾向があるのだけど、これはここでいう暴力性に対する認知のことなのだなぁと勝手に納得した(笑) この本は、現代人が生きるにあたって突きつけられる巨大なトピックをかなり本質に近いところで扱っている。 河合さんも村上さんも、職業的にも人柄的にもそこに対して バシッと答えるようなことはしないけれど、やはりかなり鋭い目線を持っていて、そういうことを認識しておくと、どういうことに自分が悩んでいるのか、突き当たるかという状況に対してメタ認知できる状態になるので、かなり良いと思った。
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