町でいちばんの美女 の商品レビュー
醜く、悲しく、凶暴で…
醜く、悲しく、凶暴で、残酷な短編集。この作品群が「リアルである」人生を私は想像出来ませんが、時に胸を打つ美しさがあります。
文庫OFF
初めて読んだのは、高…
初めて読んだのは、高校生の時。よく理解できないと思ったし、理解できないのに衝撃でした。今読むと、また違った感想が出来そうです。
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ブコウスキーは放り投げる作家だ。 登場人物を放り投げる。描写で放り投げる。起承転結で放り投げる。 放り投げたあと、そのまま。その先に柔らかなクッションなど誂えたりしない。 けれど暗澹たる気持ちにもならない。 ブコウスキーは放り投げてはいるが、その眼差しは突き放しているわけで...
ブコウスキーは放り投げる作家だ。 登場人物を放り投げる。描写で放り投げる。起承転結で放り投げる。 放り投げたあと、そのまま。その先に柔らかなクッションなど誂えたりしない。 けれど暗澹たる気持ちにもならない。 ブコウスキーは放り投げてはいるが、その眼差しは突き放しているわけでも無関心でもないからだ。 人間ってそんなもの、どうしようもないから愛しいね、だからそのありのままを書く。 私にはそんなブコウスキーの声が聞こえてくる。 我々のほとんどは這いつくばって生を見つめている。きらびやかな生を謳歌している人なんて、一体どこにいるのだろう?ほんとうに? 氾濫するSNSが日常の一部となり、誰もが虚構に憧れるこの時代に、生々しい生をそのまま放り投げてよこすブコウスキーの視線は暖かく、心強い。
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恐ろしくイカれていて、クレイジーで、馬鹿馬鹿しくて、最低で、可笑しくて、愛おしくて、そして最高でした。 こんな作品は今じゃ表に出てこないんじゃないかと。
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もちろん性交がこれでもかと描かれるその筆致にもたじろぐが、同時に人間が脱糞する生き物であるということまでも思い出させてくれる(褒めてません)即物的な筆致に脱帽する。だが青野聰による、「私」という比較的透明度が高いともとれる一人称を通して読むと立ち上るのは「おれ」的なナルシシズム/...
もちろん性交がこれでもかと描かれるその筆致にもたじろぐが、同時に人間が脱糞する生き物であるということまでも思い出させてくれる(褒めてません)即物的な筆致に脱帽する。だが青野聰による、「私」という比較的透明度が高いともとれる一人称を通して読むと立ち上るのは「おれ」的なナルシシズム/自己陶酔ではなく、むしろそんなだらしなさに正直であろうと腹をくくった作家ならではの潔さではないかと思った。甘い見方だと言われればそれまでだが、この潔さこそが彼が単なる三文文士にとどまらない、今なお信頼に足るカリスマである所以だろう
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触れるには遅すぎた感覚があるし、おそらくブコウスキーの影響下にある作家をわりと読んだので既視感ならぬ既読感ありましたが、読んだというほど真剣でもなく、読んでないというほど飛ばさずに読みました。目を通したというニュアンスが近いか。感想らしい感想はないけど、表題作と卍あたりがバランス...
触れるには遅すぎた感覚があるし、おそらくブコウスキーの影響下にある作家をわりと読んだので既視感ならぬ既読感ありましたが、読んだというほど真剣でもなく、読んでないというほど飛ばさずに読みました。目を通したというニュアンスが近いか。感想らしい感想はないけど、表題作と卍あたりがバランス良かったです。
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原題 THE MOST BEAUTIFUL WOMAN IN TOWN AND OTHER STORIES R18で(笑) いわゆる社会の底辺における悲哀かな、と表題作を読んで思ったんだけど…一気に振り切ります。どうしようもない…まあ、こういうものだと諦めて。 そう思わせると...
原題 THE MOST BEAUTIFUL WOMAN IN TOWN AND OTHER STORIES R18で(笑) いわゆる社会の底辺における悲哀かな、と表題作を読んで思ったんだけど…一気に振り切ります。どうしようもない…まあ、こういうものだと諦めて。 そう思わせるところが、脈絡があるってことなのかなあ…ただの散文、でたらめな話とくくれないところが。 アメリカの懐の広さとか底のなさを感じます。 (わー、なんて曖昧な感想…)
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オブラートに包まず、その時々の感情を素のまま出しまくった自伝的短編集…と言ってしまってはつまらない。セックスと酒と暴力にまみれた自伝的短編集、と表現した方がこの本はふさわしい。でも、読後に吐き気をもよおすかと言うと、決してそんなことはない。 その理由は二つ。ひとつは、収められた3...
オブラートに包まず、その時々の感情を素のまま出しまくった自伝的短編集…と言ってしまってはつまらない。セックスと酒と暴力にまみれた自伝的短編集、と表現した方がこの本はふさわしい。でも、読後に吐き気をもよおすかと言うと、決してそんなことはない。 その理由は二つ。ひとつは、収められた30の短編がそれぞれ違う顔を見せていること。私小説だったり、文学的だったり、ファンタジーだったり、30編の持つ顔がそれぞれ違っている。だから、吐き気もなく、飽きることもなく、最後まで読み通すことに苦味は感じない。 もうひとつは、そこはかとない悲しみがこの短編集を貫いていること。それも、心の奥底に黒く重く沈んだように、簡単には取り出すことができない悲しみ。これを感じてしまったら、多少のセックスや酒や暴力も大目に見てやろうか、と言う気にもなる(と言ったら、少し言い過ぎか)。 そして、本書で忘れてならないのは「訳するにあたって二、三のこと」と題した秀逸な訳者あとがき。本書では、この訳者あとがきを読んでから本編に入るのが正解。
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人生どん底だったときにこの本を手に取ったのは運命としか言いようがない、永遠にブコウスキーは我々負け犬の心にどっしりと住みつく
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
10年ほど前に、電車の中で近くの席に座っていたお姉さんが、「15センチ」を読んでいた。うしろから見ていて結局ほとんど1話、お姉さんと一緒に読んでしまったのだが、あまりにも破廉恥かつ突拍子もない内容に、「一体この人は何を読んでいるんだ!?」と非常に印象に残っていた。 時は流れ・・・古本のワゴンセール(100円)でたまたま本書を入手した。読み始めて気が付いたのだが、私は要約再開したのだ。「15センチ」に。 この作品の中でもかなり異色と言える話だったのではないだろうか。他の話もハチャメチャで破廉恥ではあっても、ここまで説明のつかない話は出てこなかった。 「ファックマシーン」は切なくてよかった。 表題の「町で一番の美女」もちょっとしたすれ違いに思えて、絶対に助からなかった女、と、それを思いながら酒を飲む男、よかった。 とにかくどの作品にも言えることはとことん下品で最低でろくでもない人間の話なのだ。 競馬の話は正直つまらなかった。というか、前半に比べて、後半はかなりつまらなかった。なんでこの並びにしたのだろう。ファックマシーンはもっと後の方に持ってくればよかったのに。
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