ホテル・アイリス の商品レビュー
好き嫌いの分かれそうな話ではあるが、清澄で濃密な空気の漂う文章はいかにも小川洋子。 倒錯的とでも言おうか。某サイトではSMと書かれているが他に比較対象を知らないのでなんとも。 主人公は17歳の少女。彼女の働くホテルに客としてやって来た老紳士に惹かれる。母の支配のもと狭い世界でだけ...
好き嫌いの分かれそうな話ではあるが、清澄で濃密な空気の漂う文章はいかにも小川洋子。 倒錯的とでも言おうか。某サイトではSMと書かれているが他に比較対象を知らないのでなんとも。 主人公は17歳の少女。彼女の働くホテルに客としてやって来た老紳士に惹かれる。母の支配のもと狭い世界でだけ生きてきた少女に訪れた老紳士との邂逅。非日常に憧れ徐々にのめり込んでいくさまは思春期の少女らしさが垣間見える。 少女然り老紳士然り、危ういというかギリギリのところで生きている。良くも悪くも小川洋子作品にはこういった人物がよく登場する。 ラストはあっさり。しかし決してハッピーエンドとは言えない。読んだ後は酩酊感。こりゃあ二日酔いだな。
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十代でありながら初老の男性にあこがれを抱く主人公マリの心境は何となく理解できるが、それに乗じてマリを性的に虐待する翻訳家の思考は全く理解できなかった。 もしかしたら、翻訳家は「得体の知れない不気味な存在」として、意図的に理解不能な言動をとるように描かれているのかもしれない。 閉塞...
十代でありながら初老の男性にあこがれを抱く主人公マリの心境は何となく理解できるが、それに乗じてマリを性的に虐待する翻訳家の思考は全く理解できなかった。 もしかしたら、翻訳家は「得体の知れない不気味な存在」として、意図的に理解不能な言動をとるように描かれているのかもしれない。 閉塞した世界観とさらりとした文体のコントラストも不気味で、何とも言えない読後感が残った。
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退廃的で心に響くものがなかった。 うっとりするような濃密な部分を求めると、この作品は成立しないのかもしれないけれど。
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純文学作家が描いた官能小説とあるが・・・。 表現は露骨ではなく、女性作家ならではと思わせるキレイな表現。 読感としては、この表紙とは対照的な世界感であると感じた。 嫌悪感を抱く感じではないのだが、 湿度が高く夏の日陰のような空気感。 この作品には、どんな音楽も合わず、 ただただ...
純文学作家が描いた官能小説とあるが・・・。 表現は露骨ではなく、女性作家ならではと思わせるキレイな表現。 読感としては、この表紙とは対照的な世界感であると感じた。 嫌悪感を抱く感じではないのだが、 湿度が高く夏の日陰のような空気感。 この作品には、どんな音楽も合わず、 ただただ、その世界に没頭するかのように淡々と綴られている。 官能小説と言えど、どちらかと言えば女性が好む作品であろう。
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これはエロ小説じゃないのか?! いや、エロ小説じゃなく美しい芸術作品なのだ。 ただ、中学生の姪っ子に、或いは年老いた母親に、おもしろかったと貸せないけど。
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海水浴場のホテルでひっそりと働く少女は とある老人と出会い二人は特殊な関係になっていく・・・ このエロティシズムは美しい。
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*ブログ感想あり* http://blog.livedoor.jp/marine0312/archives/2008-07.html
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今まで読んだのより少しさらさらしてる。登場人物のロシア語翻訳者は、きっと身近な人の死で豹変してしまったんだろうな。なんかロシア語の話も出てきたらおもしろいのになーと思いながら読み終わる。女性の立場から見たら、なんで抵抗しないんだああああっと叫びたくなるのだけど。
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どことなく不気味な感じを受けたが、このへんでやめようと思ってもページをめくる手が止められなかった。 カバーの後ろに書いてあるほど過激な場面がたくさんあるわけではないが、いつもの小川洋子さんの作品に慣れている私にとっては少し違和感があった。 読む人を選ぶ小説だろうな・・・とは思う。
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少女と老人の歪んだ純愛。いわゆるSM。 生々しい描写にたじろぎつつも、ドキドキした。 気持ち悪い場面も小川さんの独特な温度で静かに綴られると、不思議とそこまで不快にならない。 彼女の描くエロティシズムは好きだ。
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