1,800円以上の注文で送料無料

中国行きのスロウ・ボート の商品レビュー

3.8

235件のお客様レビュー

  1. 5つ

    51

  2. 4つ

    70

  3. 3つ

    65

  4. 2つ

    11

  5. 1つ

    1

レビューを投稿

2023/08/24

中国行きのスローボート 貧乏な叔母さんの話 ニューヨーク炭鉱の悲劇 葬式でスーツ借りるやつ カンガルー通信 やばい男の手紙 午後の最後の芝生 これが一番好き 土の中の彼女の小さな犬 リゾート・ホテルの感じが良い シドニーのグリーン・ストリート 羊男 水丸さんの絵がいいよね

Posted byブクログ

2023/08/20

ライトなんだけど、全てが飛び去らずに残った感情が何とも言えない。生真面目や不安定さからくる秩序を傷つけてしまった罪悪感、失うべくして失った喪失感。気怠さを気怠さで流す感じがリアルに、精神や身体のダメージを生きている証として、呼び起こしてくれる感じがする。村上春樹の小説はあらすじと...

ライトなんだけど、全てが飛び去らずに残った感情が何とも言えない。生真面目や不安定さからくる秩序を傷つけてしまった罪悪感、失うべくして失った喪失感。気怠さを気怠さで流す感じがリアルに、精神や身体のダメージを生きている証として、呼び起こしてくれる感じがする。村上春樹の小説はあらすじとして説明はできないのだけれど、読んだというよりは何かを経験したという手応えを残してくれるのは、長編短編関わらず、村上春樹の小説の好きなところだ。

Posted byブクログ

2023/08/07

 こちらは紙の本。Kindleがないのだ。短編集。 「中国行きのスロウ・ボート」  なんだかスッキリしない、出口のない後味だった。近寄りたいし近寄れそうだけど、なんだか違うというようなちぐはぐさ。当時の中国という国に対する説明できない雰囲気が村上春樹的に料理されたというところか...

 こちらは紙の本。Kindleがないのだ。短編集。 「中国行きのスロウ・ボート」  なんだかスッキリしない、出口のない後味だった。近寄りたいし近寄れそうだけど、なんだか違うというようなちぐはぐさ。当時の中国という国に対する説明できない雰囲気が村上春樹的に料理されたというところかな。 「貧乏な叔母さんの話」  不思議系ストーリー。主人公から離れた貧乏な叔母さんは、帽子を弟から取り返して叱られた女の子の側にいるのかな。貧乏な叔母さんじゃなくなって。 「ニューヨーク炭鉱の悲劇」  ずっと死のモチーフ。死がつきまとっている。最期の段落は差し迫った死。 「カンガルー通信」  なんだかほのぼのしているけど、大分危ない人だな(笑) 「午後の最後の芝生」  雰囲気がすごく素敵。芝刈りを丁寧にやる主人公の気持ちがなんだかわかる。その丁寧さに惹かれる人たちが来るのも。なにごともそういうことだよな。 「土の中の彼女の小さな犬」  死の匂いって消えないんだろうか。 「シドニーのグリーン・ストリート」  おお!羊男だ!世界中にいるのか・・・。  異なるテーマの短編だが、村上ワールドを満喫できる。

Posted byブクログ

2023/06/19

「午後の最後の芝生」が面白かった。 見たことのない昭和の夏を、 鮮明に思い描くことが出来た。 羊男/羊博士… まだ他の作品でも出てくるのだろうか? 表紙も素敵で飾っておきたくなる。

Posted byブクログ

2023/06/07

結構ゆるめな、村上春樹の初めての短編集。1983年に、中国とは。先見の明?いや、たまたま、かな。(笑)

Posted byブクログ

2023/06/07

「午後の最後の芝生」における、恋人から別れを告げられて煙草を六本吸ってビールを飲んでまた煙草を吸うくだりがもっとも心に残った。それというのはなんというかこういう、恋人に突然振られた時って、マジでこの文章みたいな無軌道でしどろもどろなことをしてしまうよなという感覚があって、だけど私...

「午後の最後の芝生」における、恋人から別れを告げられて煙草を六本吸ってビールを飲んでまた煙草を吸うくだりがもっとも心に残った。それというのはなんというかこういう、恋人に突然振られた時って、マジでこの文章みたいな無軌道でしどろもどろなことをしてしまうよなという感覚があって、だけど私のこの気持ちは強い意志で共感ではないと主張したい。共感を絶対にしないという要重の仕方もある。しどろもどろの姿は当人だけのものだから。 煙草をたくさん吸ってからビール飲んで煙草を吸うっていうしどろもどろ描写それ自体の無意味さの中にはその後の「仕事に出かける」っていう、自分のリズムを取り戻して生活サイクルへの恢復をどうにかして図ろうとする、その無意識さが内包されていて、そういう姿を想像すると本当に泣けてくる。 しかし、これは共感ではないのだ。これが難しくて説明できないのだけれど……とにかく……。

Posted byブクログ

2023/04/22

本屋で平積みされていたのが目につき、購入。 読んでみて思った この本で一番よかったのは、中身じゃなく表紙の絵だ。 600円払って表紙の絵を買ったと思ったほうが断然納得できる自分がいました。

Posted byブクログ

2023/05/22

「中国行きのスローボート」 僕が出会った中国人について考える。 模擬試験の監督官、バイト先で知り合った女子大生、高校時代の知り合い(中国人相手に百科事典を売っている。) そして、港の石段に腰を下ろし、空白の水平線上にいつか姿を現すかもしれないスロウ・ボートを待とう。そして中国の光...

「中国行きのスローボート」 僕が出会った中国人について考える。 模擬試験の監督官、バイト先で知り合った女子大生、高校時代の知り合い(中国人相手に百科事典を売っている。) そして、港の石段に腰を下ろし、空白の水平線上にいつか姿を現すかもしれないスロウ・ボートを待とう。そして中国の光輝く屋根を想い、その緑なす草原を想おう。 友よ、中国はあまりにも遠い。 「貧乏な叔母さんの話」 広場の公園で、一角獣の銅像を見上げながら、隣に座っていた彼女に、貧乏な叔母さんの話を書きたいと宣言する。その日から貧乏な叔母さんは僕の背中に棲みついた。僕には叔母さんの姿は見えないが、見る人によって叔母さんは姿を変える。そしてある秋の終わりの日、叔母さんは僕の背中を離れていった。 —-あなただって誰かの結婚式で、貧乏な叔母さんの姿ぐらいは見かけたことがあるだろう。どんな本棚にも長いあいだ読み残された一冊の本があるように、どんな洋服ダンスにもほとんど袖をとおされたことのない一着のシャツがあるように、どんな結婚式にも一人の貧乏な叔母さんがいる。 「ニューヨーク炭鉱の悲劇」 「みんな、なるべく息をするんじゃない。残りの空気が少ないんだ。」生き埋めになった炭鉱夫の差し迫った状況が最後の一節にほんの少し書かれている。それまでの話は炭鉱夫とまったくつながらない。台風の日にビールを持って動物園に出かけていく男。その男から喪服を借りる僕。実際その年はなんと5回も喪服を借りた。28歳の歳である。その年の終わりにパーティがあり女の子に声をかけられる。‥そして、なんの脈絡もなく炭鉱のシーン。‥それが村上ワールド。 ※ウォーレンベイティーがピアノ弾きをやった映画は「この愛に全てを」です。 (2023.5.22再読) 若き日の春樹先生は生と死、夢(非現実)と現実の違いについて大いに考えを巡らせている。(そしてその課題は今も彼の頭の中をぐるぐる駆け巡っている。)死は死でしかない。リモコンでTVを消すように突然ブラックアウトする。 「カンガルー通信」 商品を間違えて買ってしまい、交換を求めたところ断られたと苦情の手紙をよこした女性に対し、返事を手紙ではなく録音という形で送った。ほぼセクハラな内容。支離滅裂。動物園で4匹のカンガルーを眺めてるうちにあなたに手紙を出したくなりました? 「午後の最後の芝生」 学生時代、芝刈りのアルバイトをしていた。もう辞めようと決めて最後の仕事は、体の大きな50代ぐらいの女性の家の庭。彼女は朝からウイスキーを飲み、僕にもやたらとビールを勧めた。最後の仕事を終えた後、僕を娘の部屋へ連れて行き、どう思うか感想を聞いた。僕はビールとウォッカトニックを飲んで帰った。‥今の時代なら飲酒運転、完全アウトだよね。 記憶というのは小説に似ている。あるいは小説というのは記憶に似ている。どれだけきちんとした形に整えようと努力してみても、文脈はあっちに行ったりこっちに行ったりして、最後には文脈ですらなくなってしまう。まるでぐったりした子猫を積みかさねたみたいだ。生あたたかくて、しかも不安定だ。目がさめて自分たちがキャンプ・ファイアのまきみたいに積みあけられていることを発見した時、子猫たちはどんな風に考えるだろう?あれ、なんか変だな、と思うくらいかもしれない。もしそうだとしたらーその程度だとしたらー僕は少しは救われるだろう。 「土の中の彼女の小さな犬」 梅雨時の人気のないリゾートホテルで、ひとりの女性に出会った。彼女と言葉を交わすうちに、彼女の死んだ愛犬と一緒に庭に埋めた預金通帳の話を聞いた。 昔は活気に満ちていたであろう古い高級リゾートホテルに彼女のヒールの音が響く。内容はともかく、いちいち、と言ってもいいぐらいの細かい描写。ホテルの佇まい、彼女の服、仕草、雨の振り方、食堂の什器の説明、朝食に食べたもの、夕食に食べたものの説明、他の客の服装‥村上作品はだいたい描写が多いけど、特に感じた作品。 「シドニーのグリーン・ストリート」 シドニーにある、ひどくしけた通りに僕は私立探偵事務所を構える。面白い事件しか引き受けない。貯金はたんまりあるから別に暇でもいいのだ。そこへ羊男と名乗る人物がやってきた。着ぐるみの耳を羊博士に持っていかれたので探して取り返して欲しいと。 この話によると、世界中に約三千人の羊男が住んでるらしい。

Posted byブクログ

2023/01/21

初期の短編集ですが、ストーリー性は希薄で、どこか客観的に世界を見てる主人公の視点が心地よいですね。 「午後の最後の芝生」もそうですが、一見涼しげな展開ながら、血に染まるような痛みが見え隠れします。 今回読み返して、電車に乗る方向を逆に教えてしまったエピソードが刺さりました。 ...

初期の短編集ですが、ストーリー性は希薄で、どこか客観的に世界を見てる主人公の視点が心地よいですね。 「午後の最後の芝生」もそうですが、一見涼しげな展開ながら、血に染まるような痛みが見え隠れします。 今回読み返して、電車に乗る方向を逆に教えてしまったエピソードが刺さりました。

Posted byブクログ

2023/01/28

午後の最後の芝生が好きだ。人気の作品らしい。皆多かれ少なかれ夏をイメージするのが好きだからではないだろうか。あそこまで皮膚感覚や喉の渇きを思い起こす夏の描写は中々ない。

Posted byブクログ