哲学の謎 の商品レビュー
『語りえぬものを語る』と大筋は同じだった(出版年度を見ると、あちらの方が後なので、この本が参考に土台になっているか)が、こちらはより平易に書かれていた気がする。 薄くて、読みやすく、値段も手頃で、それでいて考えるきっかけを与えてくれるので、友人らに薦めたい一冊。
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少し物足りなかったのは、対話の主がまるで別々の個体として終わってしまっているところかな?と思われる。その個体が統合されたり、あるいは分離したり、視点がずれたり、とかそういう展開を期待していたのだけれども。もちろん、それがなかったことで本著の価値が落ちるわけではないのだけれども、そ...
少し物足りなかったのは、対話の主がまるで別々の個体として終わってしまっているところかな?と思われる。その個体が統合されたり、あるいは分離したり、視点がずれたり、とかそういう展開を期待していたのだけれども。もちろん、それがなかったことで本著の価値が落ちるわけではないのだけれども、そういう精神分裂的なことをしないのならば、わざわざあのよにどちらがどちらかわかりにくいようなことはしなければよかったのではないか?と思われる。とはいえ、あとがきを観ていたらやはり自分自身と会話、とあったのだから、そういうその個体の統合と分裂が加えられていたならばなあと思わずにはいられない。 本著の内容は二人による対話形式でひたすら進んでいくことになる。哲学的な問題に考察を加えながら、次へ次へと進んでいく。解決するものもあれば、解決しないものもあれば、次の章へと持ち越されるものもある。本著の意義は、それを平易な言葉で書いていることだが実はそれは瑣末なことであって、本著の優れているところは、「ひたすら、現実的かつ具体的に考えていることである」。哲学は観念的に一人歩きすることが多く、それが現実場面で具体的に現れるとしたらどういうことになるか?といったところを考えずに進んでいくことが多い。哲学者から言わせればそういったことは一人ひとり勝手に考えてくれ、ということなのだろう。逆に言えば日常的に哲学的な命題を考えられる人ならば、そういうことは自然とやってきているはずなのであって、それが哲学的なセンスとも言えるものなのだろう。それを生きにくいと考えるか、愉しいと考えるかは、本人の性格と本人を囲む環境とに起因するのだろうが。しかし、ラストはなかなか面白い。決定論と、決定的な世界に持ち込まれる、虚構の絡まり合いによって世界を説明しようとしている。世界はあらかじめ決定されているが、しかしその決定をもう少し詳しく見てみれば、そこにはいくつかの意志が挟まる要素がある。その意思は虚構の絡まり合いや積み重ねによって作り出されたものに過ぎないが、しかしそこに確かに意志が介在している。そこにどのような解釈を見出すかはそれぞれの自由だろう。それを希望と捉える人もいれば、そのような考え方に憤慨する人もいるだろうし、絶望する人もいるのだろう。だが、所詮われわれは観測者でしかありえないのだろう。だから、われわれは所詮意味を見出すことしかできないのだとも言える。そして、それは言語によってである。それは広義の言語であり、非言語も含めての言語である。
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「時の流れ」の章は面白かった。タイムマシンで過去に行けたとしても「いま、江戸時代に着いた」と言う。そうすると今の世界こそ中心の「独今論」に辿り着くが、「時の流れ」というモノと共存出来ない。 など、まあ最終的には頭から煙が出ます。半分読んで断念。もうちょっと時間置いてから読も。
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「日常への多くの疑問。言語、時間とはそもそもなにか。整合が合わないままギクシャクしているところで、立ち止まり考える。それが哲学。」と始まるこの哲学の本は、人間の言語化とでもいえるかもしれない。解決などはないが、人間に迫る、自分に潜る道具である。個人的には私的体験についての議論に白...
「日常への多くの疑問。言語、時間とはそもそもなにか。整合が合わないままギクシャクしているところで、立ち止まり考える。それが哲学。」と始まるこの哲学の本は、人間の言語化とでもいえるかもしれない。解決などはないが、人間に迫る、自分に潜る道具である。個人的には私的体験についての議論に白熱した。
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哲学についての基本的なことについての対話となっているが、残念ながら自分のニーズにあまりあっていなかった。 確かに哲学が何をするのか、どのような考え方があるのか全く知らない人であれば、アラカルト式でよいのかもしれないが、個人的にはもう少し深めた対話(議論)を読みたかった。 この...
哲学についての基本的なことについての対話となっているが、残念ながら自分のニーズにあまりあっていなかった。 確かに哲学が何をするのか、どのような考え方があるのか全く知らない人であれば、アラカルト式でよいのかもしれないが、個人的にはもう少し深めた対話(議論)を読みたかった。 この手の本は、読者のレベルによって評価が分かれると思う。その意味では、他の読者であればよいのかもしれない。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
意識、時間、認識、自由などの哲学的な問題について、小説風の対話形式で解説した本。ソクラテス以来の哲学の筋道に立ち返るという狙いがあるのだろうか。 内容は、 「人類がいなくなっても、夕日は赤いままなのか」 「時間というものは、流れているものなのか」 など刺激的な主題が多い。全体としては、今自分が認識していることが疑う余地のない事実であるとは限らず、自分の置かれた状況に懐疑の目を向けてみることが重要であると思った。
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生命保険;私の死という絶対に経験しえない虚無点でもって私の生を照らしだす仕方(P.24) この表現は重い保険の話をしていた場合、緩衝材として使用できそう。
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全然わからない~ 哲学的な素養がないのか、対話形式という比較的わかりやすい形で執筆されているにもかかわらず、さっぱり頭にはいってこない! 人間がいなくなってもやっぱり夕陽は赤いのか、記憶はたった今、5分前、3分前に作られた?
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哲学とはなんなのか。どういうことを哲学というのか。そんな疑問に応えてくれる一冊。哲学的思考に慣れていないと読みにくい部分もあるが、焦らずゆっくりと噛み砕くように読んでいけば、哲学の面白さが伝わってくる。対話形式で難解な用語も出てこない。哲学って響きがなんかかっこいいけど、わけわか...
哲学とはなんなのか。どういうことを哲学というのか。そんな疑問に応えてくれる一冊。哲学的思考に慣れていないと読みにくい部分もあるが、焦らずゆっくりと噛み砕くように読んでいけば、哲学の面白さが伝わってくる。対話形式で難解な用語も出てこない。哲学って響きがなんかかっこいいけど、わけわからないからいいやと思っていた人にはぜひ読んでほしい。著者の野矢茂樹さんはヴィトゲンシュタインの研究をしている(?)人ので、その視点からの発言が多いかも。
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