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神の火(下) の商品レビュー

3.6

69件のお客様レビュー

  1. 5つ

    12

  2. 4つ

    24

  3. 3つ

    13

  4. 2つ

    9

  5. 1つ

    1

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2013/11/27

3.11がなければこの本は手にしなかったかもしれない。 後半原発に乗り込むシーンは迫力があり、読み応えがあった。 しかし、高村さんって男っぽい文章書きますよね。

Posted byブクログ

2013/05/15

北との交換劇、原発への襲撃など細かい描写のおかげでその場に居合わせているかのような臨場感があった。紆余曲折、と言っていいか分からないが、こんな人生もあり得るのだろうなと眺めさせてもらった。自分が同じ立場だったらどう行動するだろうか。

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2013/04/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

終了日:2010・6・21、今まで読んできた高村作品の中でもかなり暗い、個人的に何とも言えない、空疎が辛かった。 辛いってのも語弊があるが、どうも、かなしい、と連呼したくなる。 あのラストも、救いとは違うのだろうか。でも私はあれを一抹の希望と思いたい。泣くしかない。 レディ・ジョーカーの石灰や黄土色とは違う、何か白濁とした中に滲むほの暗さ、追憶の不確かさの滲む光、とにかく不透明な白銀が脳裏に浮かぶ。 確実に激情はあるのに、雪の描写に掻き消されて空虚さばかりが際立つ。やり切れなさの充満する余韻は、大半の高村作品に共通するのに、神の火 はどうも辛かった。読んでる間にちらちらと脳裏を走っていた、ああ、 黄金を抱いて飛べ に通ずるんだな、という感覚がいまやっと吹き出した。 (密林かなんかで神の火は黄金~の蘇生みたいなこと読んだことがあって、理解した) とにかく下巻の怒涛の展開はすごかった。 スロースターターである。 島田が最後に見たのは救いだったのだろうか。

Posted byブクログ

2013/01/28

原子力発電の必要性と、対するリスクが議論される今日において、原発に反対している人に支持される内容ではないだろうか。僕は原発以外のエネルギー源を支持するので、最後の原発襲撃は、現実にはあり得ない分、大変興味深く読んだ。過去に起きた原発事故と被害の甚大さに鑑み、僕たちは未来に向けて学...

原子力発電の必要性と、対するリスクが議論される今日において、原発に反対している人に支持される内容ではないだろうか。僕は原発以外のエネルギー源を支持するので、最後の原発襲撃は、現実にはあり得ない分、大変興味深く読んだ。過去に起きた原発事故と被害の甚大さに鑑み、僕たちは未来に向けて学ぶべきなのだ。

Posted byブクログ

2012/11/03

下巻では島田のスパイぶりを味わった。良と島田の再会が辛かった。 後半の原発襲撃まで、山で身を潜めているジリジリとした時間は読んでいるこちらも、もどかしく忍耐の要る時間であり、ふと島田もそんな感じか…と思ったりもした。 原発と原爆は違う。 俺らに侵入できたら安全やないいうことや...

下巻では島田のスパイぶりを味わった。良と島田の再会が辛かった。 後半の原発襲撃まで、山で身を潜めているジリジリとした時間は読んでいるこちらも、もどかしく忍耐の要る時間であり、ふと島田もそんな感じか…と思ったりもした。 原発と原爆は違う。 俺らに侵入できたら安全やないいうことや。 原子炉の蓋を開ける。 ↑単純だけども的を射た言葉で、何となく記憶に残った。 忠実で意思の堅い良。 本能で動く日野。 死ぬときまでダンディな江口。 気の毒なベティさん。 最後に幸せになれたであろう島田。 どのキャラクターも色々なモノを背負っている様が伝わり人間らしさを感じた。けれど皆寂しく、寒さ厳しい若狭の冬が更にそれを後押ししていた。

Posted byブクログ

2012/07/14

福島の「人災」をきっかけに、手にとった本。 もし震災からの一連の出来事がなければ、私は島田という人物に疑問しか抱かないまま、読み終えていたかもしれない。 チェルノブイリによって人生を定められた青年・「高塚良」という存在を、福島が生み出さないことを願わずにはいられない。

Posted byブクログ

2012/05/19

面白く読めるのは人質交換まで。その後は、冗長でスピード感ゼロ。話自体も、主人公の動機が理解できず、説得力がない。 読むのが苦痛。

Posted byブクログ

2012/05/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

震災、原発、放射線関連の本を読んで「人間は原子力を完全にはコントロールできない」という思いを強くしていたところで読んだ。人間の手には負えない禁断の領域。神の火。をめぐるスパイ?アクション?小説。 今回もディテールは徹底的。その上、「北」、CIA、ソヴィエト、日本政府、公安入り乱れ、軟弱脳の私は正直、主導権や切り札の入れ替わりについていくのが大変で、途中から男のロマン中心に意識をシフト。主な登場人物の男たちはみなそれぞれ心の空洞を持ち、つけたいけじめがあるんだけどちょっとそれぞれが散漫な印象…。構成は2/3は「トロイ計画」をめぐる諜報戦、最後の1/3が原発襲撃劇なんだけど、盛りだくさんすぎて少々おなかいっぱいなような逆にそれぞれが物足りないような。 主人公はなぜ原子力発電所を襲ったのか。原子炉の「蓋を開ける」ことにこだわったのか。 チェルノブイリで父を亡くし被曝した良。「世界で一番安全」な日本の原子力発電所を見たかった良。その真意を知り、「安全な原発」を作った技術者として、一方で「世界の悪意と暴力」に日本の原子力技術をさらし続けた「スパイ」として、安全神話の欺瞞、神の火を操れると思っている人間の傲慢さを暴きたかったのか。贖罪か。スパイとして生きてきた自分の空洞を埋めたかったのか、自分を縛ってきた神の火の呪縛から自由になりたかったのか。一度読んだだけでは図りかねた。黄金を抱いて翔べのような爽快感はないかな。 「いったん壊れたが最後、周辺地域が死滅するような技術の恩恵を、人間はどれほど受けてきたというのか。原子力は、人間にどれほど必要な代物だったというのか」など、作中、福島原発事故で明確になった原発不信を20年前に指摘していることに何度もはっとさせられた。 例によって文庫化にあたり改稿されてるようなので、単行本も探して読んでみたい。物語的には★3つ、原子力についての考察にもう一つで4つ。 以下は、婦人公論(’12年5月7日号)で作者が原子力について語っていたことが興味深かったので自分用メモ。 ・(小説を書いた当時、北の脅威にさらされている日本海側の原発について)「テロや戦争の脅威のあるところで原発なんか動かすんじゃないという思いであって、原子力と言う技術を否定したわけではありませんでした。」 ・「私も、チェルノブイリは格納容器がないような構造なので、よくこんなものを商業向けに作るなと思った覚えがあります。で、日本は格納容器があって、しかも多重防護のシステムが動いているから大丈夫だと、3・11までは思っていました。大丈夫でないなら、そんなもの動かしているはずがないという思いだったのです。」 ・「原子力をうごかしている人間の理性への信奉がありました」 ・「(今度の原発事故は)深いところをじわ~っとゆすぶられるような経験でした。要するに、自分が信じてはならないことを信じていたという感じです。」「科学者の理想、理性、良心」 ・「私は原発のことはよく知っているのですが、あの事故はすべて『まさか』でした。たとえば大切な非常用電源がタービン建屋にあるなんて、まさかそんな無茶苦茶なことになっているなんて知らなかったですもの。」 ・「一番根底にあるものが崩れたというのは、それなんです。不思議ですが、私は『まさか』なんです」「原子力は商業原発にしていいほどの技術的なレベルに達していなかった、と思っています。」

Posted byブクログ

2012/02/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

内容(「BOOK」データベースより) 〈トロイ計画〉の鍵を握るマイクロフィルムを島田は入手した。 CIA・KGB・北朝鮮情報部・日本公安警察… 4国の諜報機関の駆け引きが苛烈さを増す中、彼は追い詰められてゆく。 最後の頼みの取引も失敗した今、彼と日野は、プランなき「原発襲撃」へ動きだした―。 完璧な防御網を突破して、現代の神殿の奥深く、 静かに燃えるプロメテウスの火を、彼らは解き放つことができるか

Posted byブクログ

2012/01/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

今の時代読むべき重厚な一冊? 高村薫さんの作品を読むのにエンターテイメントとして読むと、 期待はあらゆる意味で外れてしまう とにかく重い、、読後が疲れる 心をえぐるような描写 のうのうと生きている自分を試されているような気持ちになってしまう さて、作品の背景はスパイ小説ながら、 主題は主人公の心の葛藤と解放 自分自身の過去に清算するために、主人公は原発に対するテロを起こそうとするのだが・・・ ものすごく克明な原発の描写は高村薫さんの構成力が見事だが、 その問題や存在意義などには強く踏み込んではいない そこは読者の判断にゆだねているのだと思う 特に印象に残った一節 「人間はこれからも核の時代が終わるのを戦々恐々として待つしかないのだ」 まさにそのとおりだった 10年前の作品とは思えない鮮烈な印象を残した まあ、でも娯楽としてはやっぱり重たすぎるかなあ 同じような心の葛藤としては、奥田英郎さんの作品のほうが、 読みやすいしエンターテイメントとしては心にくるところが多い 高村薫さんであればあとは『照柿』なんかも じわじわ面白かったので、もっかい読んで見ようとおもう

Posted byブクログ