陰翳礼讃 の商品レビュー
当時の状況と現在が違うとはいえ、比較に出す欧米の描写などが紋切り型で偏見があるやうな。やや説得力不足で、薦められて読みましたが少し物足りなかった。 けれど日本人であることを嬉しく感じることはできました。
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数年前に古本屋で購入して、読了後に、 「結構面白かったな」と思った本。 かの文豪を、彼が生きた時代を、もの凄く近くに感じられた。 だけど、その後に購入した「犯罪小説」にすっかり心を奪われて、内容を忘れてしまったので、近く読み返したいと思う。
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戦前の日本文化について、こんなに実感を持って触れられた本は初めてです。教科書などで学んでいた歴史をなんとなく遠く感じていた自分としては、身近な感じがしてきました。 闇の話や、女性美、マナーの問題、厠(お手洗い)の話と、作者の鋭い視点で過去を懐かしみ、その場にいるような語り口で伝...
戦前の日本文化について、こんなに実感を持って触れられた本は初めてです。教科書などで学んでいた歴史をなんとなく遠く感じていた自分としては、身近な感じがしてきました。 闇の話や、女性美、マナーの問題、厠(お手洗い)の話と、作者の鋭い視点で過去を懐かしみ、その場にいるような語り口で伝えてくれます。 震災以降、便利すぎた世の中を考え直していた時期に、過去をみつめるいい機会を得ました。
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谷崎がその時代の変化や西洋との対比を通して、自身の考え方を綴った本。食文化から女性についてまで様々。
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日本と西洋との比較として、日本にある「陰翳」の大切さ、意義を問いかけるもの。 日本人は、古来より、四季折々、自然との接し方に趣を以って、それを生活の中に取り込んできた。それが日本の文化を豊かにし、また、人々の心を豊かにしてきた。 現代人も、ふと立ち止まって、自分なりの「陰翳」の...
日本と西洋との比較として、日本にある「陰翳」の大切さ、意義を問いかけるもの。 日本人は、古来より、四季折々、自然との接し方に趣を以って、それを生活の中に取り込んできた。それが日本の文化を豊かにし、また、人々の心を豊かにしてきた。 現代人も、ふと立ち止まって、自分なりの「陰翳」の意味を考えるべきではないか。
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エッセイ集.タイトルにもなっている「陰翳礼賛」がすごい.特に,p.45 までの日本の伝統美を「陰翳」の視点からとらえた部分がすばらしい.何がすごいかといえば,感覚の世界をすくい取る言葉が非常に的確で読む者にその感覚がよみがえること.例えば,p.20の奉書や唐紙の「ふっくらと光線を...
エッセイ集.タイトルにもなっている「陰翳礼賛」がすごい.特に,p.45 までの日本の伝統美を「陰翳」の視点からとらえた部分がすばらしい.何がすごいかといえば,感覚の世界をすくい取る言葉が非常に的確で読む者にその感覚がよみがえること.例えば,p.20の奉書や唐紙の「ふっくらと光線を中へ吸い取る」という表現や,p.36の書院に障子を通して差し込む外光の描写などがその代表である.私が一番感心したのは,金を多く使った装飾品や屏風など美しさが陰翳のなかではじめて見いだされるという部分で,これまであまりよく思ったことがない金ぴかのものたちを違った眼で見ることができるようになるかもしれない. このエッセイが書かれて80年が経って,マンション育ちの子供たちからはすっかりこの陰翳の感覚がなくなっていることを想像すると,この間の時代の変化にため息が出てしまう.
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ぼんやりと自分が思っていたことを文豪がはっきり言葉にしてくれると力強いし、それを読むことで確固たる考えを持てる。
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あまり読まないジャンルの本ですが、名古屋で大学の先輩と飲んだ時に教えてもらったので、読んでみました。 谷崎潤一郎が文芸雑誌に寄稿したエッセイを再録したもの。 タイトルとなっている『陰翳礼讚』ほか、6篇の作品が納められています。 ユニークな視点と独特の感性で、日常のなんでもな...
あまり読まないジャンルの本ですが、名古屋で大学の先輩と飲んだ時に教えてもらったので、読んでみました。 谷崎潤一郎が文芸雑誌に寄稿したエッセイを再録したもの。 タイトルとなっている『陰翳礼讚』ほか、6篇の作品が納められています。 ユニークな視点と独特の感性で、日常のなんでもないことを切り刻んでいく。 特に『陰翳礼讚』での、闇や厠(かわや)に関する観察眼とその表現力の豊かさは、さすがに後世に名を残すだけの作家さん。 少し長いけど、一文だけ引用。 「日本の厠は実に精神が休まるように出来ている。それらは必ず母屋から離れて、青葉の匂や苔の匂のしてくるような植え込みの陰に設けてあり、廊下を伝わって行くのであるが、そのうすぐらい光線の中にうずくまって、ほんのり明るい障子の反射を受けながら瞑想に耽り、または窓外の庭のけしきを眺める気持ちは、何とも云えない。」 私の実家、建て替え前の便所は、ここまでのものではないですが、確かに瞑想に適した空間だった気がするし、そこにうずくまっているのが、好きだった記憶があります。 様々な便利を取り入れて、明るさを当たり前に享受しすぎてきた私たち。 その利便性の代償に無くしてしまったものの価値を、考え直すきっかけになる一冊だと思いました。 被災地の復興に向けて、日本が新しい一歩を踏み出す前に、新しいビジョンを描く際のひとつの視座として加えるべき価値観かも。
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谷崎潤一郎による随筆。170ページ弱のごく薄い本に、表題になっている「陰翳礼讃」他6編が収められている。 さて表題の「陰翳礼讃」だが、これは日本文化をひっそりと包み込んできた薄闇についての考察である。谷崎の筆を通して見ると、日本の美は薄暗がりの中に置いてこそ絢爛たる輝きを放つのが...
谷崎潤一郎による随筆。170ページ弱のごく薄い本に、表題になっている「陰翳礼讃」他6編が収められている。 さて表題の「陰翳礼讃」だが、これは日本文化をひっそりと包み込んできた薄闇についての考察である。谷崎の筆を通して見ると、日本の美は薄暗がりの中に置いてこそ絢爛たる輝きを放つのがわかる。 日本文化に興味はあるがこの本は未読、という方には、是非一読を勧めたい。
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わたしが考えていることはすなわちこれだなと思った。 文化とか日本人としての美とかゆったりした時間の流れを楽しむこととか。
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