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陰翳礼讃 の商品レビュー

4.1

293件のお客様レビュー

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    101

  2. 4つ

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  3. 3つ

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  4. 2つ

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2012/01/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

谷崎潤一郎が、日本人の美的感覚についてあれこれと書いたエッセイ。 (要約)元来日本人は暗闇の中に、幽玄や妖気を感じ美しさを見出す民族であった。しかし明治維新からこの方、おしなべて欧米式の文化が礼讃され、その一つとしてもたらされた電灯が、家の中から・街の中から暗闇を排除してしまった。これは単に文明器機の導入に留まらず、日本人特有の美的感覚をも追逐する結果となり、新しい文明に慣れきってしまった今日の人々の間で、日本人が千年間築き上げてきた「美」の世界は忘れ去られようとしている。 そもそも日本家屋は大きな屋根が突出し、居住空間には昼間でも光がわずかに差し込むだけの薄暗い造りであった。その空間で、書画・婦人の化粧・食器あらゆるものが最も美しく見えるように工夫されてきたわけだから、今の煌々としたライトの下ではそれらの魅力が半減どころの話ではない、という著者の主張ではっとさせられた。 すべからく日本の芸術は、作品そのものに美を見出すというよりも、それを置くことで空間全体を演出するインスタレーションの芸術であることを改めて意識した。化粧でさえも例外ではなく、真っ白なおしろいを塗った女性の顔が美しいとされたのは、暗闇の中でわずかばかりに浮かび上がる蠱惑の白い肌が演出されたためで、あからさまに全部見えてしまえば元も子もない。 ひいては、博物館に行ってもガラスケースに等間隔に並べられるような欧米式の展示の仕方では、日本の芸術品の真の姿はとうていお目にかかることはできないだろう。

Posted byブクログ

2012/01/22

日本人って?という問いについて、白を基調にする欧米文化などと比較しながら一つの見識を拡げてくれる本。有名な羊羹の話以外にもエアートイレやマイナー旅行のススメなど、古い文体だけど谷崎の少し者に構えたユーモアみたいなのも身近に感じさせてくれました。 文化人も技術者も料理家もデザイナー...

日本人って?という問いについて、白を基調にする欧米文化などと比較しながら一つの見識を拡げてくれる本。有名な羊羹の話以外にもエアートイレやマイナー旅行のススメなど、古い文体だけど谷崎の少し者に構えたユーモアみたいなのも身近に感じさせてくれました。 文化人も技術者も料理家もデザイナーも、いろいろな人が物事を見つめるのに参考になると思います。

Posted byブクログ

2012/01/20

日本の美しさは陰翳から生まれる。 西洋の照明が影無く明るく照らす為に存在するのに対し、日本は暗闇の中に仄かな明を際立たせる。 谷崎潤一郎は、近代化の過程でこうした陰翳が消えつつある事を憂いているけれど、本作が今でも多くの人に読まれているということが、現代の日本人も陰翳を美しいと...

日本の美しさは陰翳から生まれる。 西洋の照明が影無く明るく照らす為に存在するのに対し、日本は暗闇の中に仄かな明を際立たせる。 谷崎潤一郎は、近代化の過程でこうした陰翳が消えつつある事を憂いているけれど、本作が今でも多くの人に読まれているということが、現代の日本人も陰翳を美しいと感じる感性を持っているという証拠だと思う。

Posted byブクログ

2011/12/28

やっぱりよかった。陰翳礼讃。 高校の教科書に抜粋が載ってて、初めて「耽美派ってこういうことか!」と知って、以来ずっと読みたかった本。やっと読めました。 陰翳礼讃以外にもいろんなエッセーが入ってるけど、一番良かったのはやっぱこれですね。 『京都に「わらんじや」と云う有名な料理屋があ...

やっぱりよかった。陰翳礼讃。 高校の教科書に抜粋が載ってて、初めて「耽美派ってこういうことか!」と知って、以来ずっと読みたかった本。やっと読めました。 陰翳礼讃以外にもいろんなエッセーが入ってるけど、一番良かったのはやっぱこれですね。 『京都に「わらんじや」と云う有名な料理屋があって……』から始まる一節が一番好きです。漆の話。 ここの書き方はほんまに耽美極めてる。明々とした現代には気付かない漆の美しさに耽っていることを表す表現力がすごい。 「懶惰の説」では日本人の懶惰(=怠惰)な性質をずっと書いておきながら、シメが 『そう云う私自身が実はそんなに怠けものではなく、まずわれわれの仲間のうちでは勉強家の方であるあることは、友人諸氏が証明してくれるであろう。』 というのが笑えた(^ω^) あとの「客ぎらい」を読むと谷崎もかなり懶惰だと思いますが。 まぁ私も懶惰なのでおもしろかったです。

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2011/12/14

谷崎潤一郎好きだわーって思った。 どこかで内容は聞いたことがある人が多いだろうけれど、だからこそ読んでみる価値がある、と言える一冊。漆器、お歯黒、能浄瑠璃、障子、女etc. なるほど「陰翳」という視点で見れば、新しく見えるものがある。 他にも↓のような章があって、いずれも...

谷崎潤一郎好きだわーって思った。 どこかで内容は聞いたことがある人が多いだろうけれど、だからこそ読んでみる価値がある、と言える一冊。漆器、お歯黒、能浄瑠璃、障子、女etc. なるほど「陰翳」という視点で見れば、新しく見えるものがある。 他にも↓のような章があって、いずれも面白い。こういう本を二、三冊持って、ただぼんやり鈍行に乗るだけの旅行をしてみたいものです。 「懶惰の説」「恋愛および色情」「客嫌い」「旅のいろいろ」「厠のいろいろ」

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2011/12/10

日本文化の美しさを陰翳という視点から捉えた一冊。 風土や文化をいかして設計されてきた日本人の生活。 あらためてに気付かされてとても面白いなと思ったし、それぞれに納得できた。デザインってこうあるべきなのだなー また文体自体も読みやすいのに味わい深くて内容にぴったりである。 羊羹...

日本文化の美しさを陰翳という視点から捉えた一冊。 風土や文化をいかして設計されてきた日本人の生活。 あらためてに気付かされてとても面白いなと思ったし、それぞれに納得できた。デザインってこうあるべきなのだなー また文体自体も読みやすいのに味わい深くて内容にぴったりである。 羊羹や漆器、能など特に印象的。 形の歴史を紐解くことはとても面白い、そしてそれを味わい深くもユーモアありで教えてくれた。結局は超いい参考書って感じ!

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2011/12/09

以前学校の課題で読みました。 光と影、西洋と東洋(日本)の比較。 歌舞伎の化粧やお椀の話や空間の明かりの話など 薄暗さ・闇の中にこそ日本の美がある。 ここ最近は日本人も自国の文化に興味を持ち始めてるが でも、それって海外で注目されたり、 他国の人が目をつけてくれたり...

以前学校の課題で読みました。 光と影、西洋と東洋(日本)の比較。 歌舞伎の化粧やお椀の話や空間の明かりの話など 薄暗さ・闇の中にこそ日本の美がある。 ここ最近は日本人も自国の文化に興味を持ち始めてるが でも、それって海外で注目されたり、 他国の人が目をつけてくれたりしたせいじゃないかと思ったりする。 やっぱり日本人は欧米諸国に比べて自国の発信・輸出していく力が弱いのかもしれないと思う。 かといっても、やっぱりこう何でも手に入る時代に生まれちゃうと いろんな刺激が入ってくるから、 洋モノに気をとられがちなんだよなあ。 一日本人として、生活している中でこういう文化・美意識が根底にあるんだということを心のどこかに持っていたいと思います。 羊羹のくだりの描写がすごい美味しそうに描かれているんです。 普段和菓子をそこまで食べない私でも無性に羊羹食べたくなる。 これは日本の美を追求する上ではバイブルだと思います。 こういうことに気がつきながら、日々生活できたらなあと思う。

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2011/11/26

日本の文化が、暗がりの中でこそもっとも美しく見えるように設計されている、というのが著者の意見。 羊羹や蒔絵、漆器、能、歌舞伎など今は明るい中で見ることが多いものも、過去は暗がりの中でどう見えるかを前提に考えられていたというのは、新鮮な感覚だった。 西洋と日本の対比からエッセイが書...

日本の文化が、暗がりの中でこそもっとも美しく見えるように設計されている、というのが著者の意見。 羊羹や蒔絵、漆器、能、歌舞伎など今は明るい中で見ることが多いものも、過去は暗がりの中でどう見えるかを前提に考えられていたというのは、新鮮な感覚だった。 西洋と日本の対比からエッセイが書かれているが、現代との対比として読むこともできる。

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2011/11/14

生活の中の光と影をあまり意識したことのなかった私には衝撃的でした。 日本文化の理屈、美学をこの作品で学びました。 海外に行くと日本という国を俯瞰で眺めその良さに気が付いたりするけれど、 この作品からは時間軸で日本を俯瞰しその風土・文化の奥深さを 知ったように思います。 古いものを...

生活の中の光と影をあまり意識したことのなかった私には衝撃的でした。 日本文化の理屈、美学をこの作品で学びました。 海外に行くと日本という国を俯瞰で眺めその良さに気が付いたりするけれど、 この作品からは時間軸で日本を俯瞰しその風土・文化の奥深さを 知ったように思います。 古いものを大切にしながら新しいものを生み出す日本人でありたい。 そのためにも日本人は自分の国をもっとをよく知らなければ!

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2011/11/13

文壇最高峰の一人である谷崎潤一郎の陰翳を通した日本の美や、日本らしさの考察をエッセイ的に綴る名著。読んでいても味が染み出てくるような、優しくまろやかな文体で、これだけ年代を経てもなお感じるものがある。 「私はそう云う厠にあって、しとしと降る雨の音を聴くのを好む。」 トイレの話なん...

文壇最高峰の一人である谷崎潤一郎の陰翳を通した日本の美や、日本らしさの考察をエッセイ的に綴る名著。読んでいても味が染み出てくるような、優しくまろやかな文体で、これだけ年代を経てもなお感じるものがある。 「私はそう云う厠にあって、しとしと降る雨の音を聴くのを好む。」 トイレの話なんだけど、音や色なども含めた感性。金蒔絵についても陰翳を見る。豪華絢爛な模様の部屋にあって、あえて夜にすこしずつ底光りするのを見るために出来ているのだと。翳の美しさやそこしれない畏怖をもって美を語る。羊羹の色も夏目漱石曰く瞑想的だとか。 内容が深くて感性的なのでうまく言葉で表せないが、それくらい面白い。もう一度、読むことになるだろう一冊。

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