陰翳礼讃 の商品レビュー
友人が「影響をうけた」と聞き、読書中。 作者の好みと自宅を建てた際の経験談からなる話。 時代背景が昭和頭ということもあり、今では当たり前となったガス・電気・水道などの便利設備を風流を乱すと感じる作者の数寄者としての心と、利便性や予算という現実との葛藤が面白い。 電気のあり方に...
友人が「影響をうけた」と聞き、読書中。 作者の好みと自宅を建てた際の経験談からなる話。 時代背景が昭和頭ということもあり、今では当たり前となったガス・電気・水道などの便利設備を風流を乱すと感じる作者の数寄者としての心と、利便性や予算という現実との葛藤が面白い。 電気のあり方について、考えさせらている今だからこそ 読むと面白い一冊だと思う。
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あえて、光や照明を抑え、影と闇を作り出す事で、陰影を味わい「奥ゆかしさ」を持ち続けた、かつての日本人像を問うた谷崎の思想。 節電が求められる現在にあって、生きる美意識なのかもしれない。 そして、チラリズムもしかり。
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ほの暗い中だからこそ、羊羹やお椀がおいしく感じられる。 人間の、日本人の感覚の豊かさについて気付きを得られる一冊です。
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日本人特有の美的感覚がここには全て詰まっている。ここにある「お手洗い」が最もその感覚が具現化されており、自宅もそうあって欲しいと願うばかり。 又、羊羹についての表現も素晴らしく、羊羹好きでなくても無性に食べたくなる。そのような文章に出会うことは、なかなか無い。 時折読み返し、...
日本人特有の美的感覚がここには全て詰まっている。ここにある「お手洗い」が最もその感覚が具現化されており、自宅もそうあって欲しいと願うばかり。 又、羊羹についての表現も素晴らしく、羊羹好きでなくても無性に食べたくなる。そのような文章に出会うことは、なかなか無い。 時折読み返し、忙しさなどにかまけて忘れてしまいがちな感覚を取り戻す。 そんな大切な一冊である。
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012048. 電球の明るさから始まり、東洋と西洋の文化比較まで話が及ぶ。他に旅やトイレについて。発展途上だった当時の日本の姿がうかがえる。
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照明の話に始まって、厠、銀食器や宝石、羊羹、漆器、着物、 女性、少年の肌まで、ありとあらゆりものに対する谷崎潤一郎と、 古き良き日本人の美意識に関するおはなし。 着物の金糸銀糸や、漆器などは、今のような煌々とした蛍光灯の下ではなく、灯籠のぼんやりとした明りの下で見るからこそ美しいし、 能楽のお化粧も、うすぼんやりした灯りの下でこそ映えるのだと。 日本人の黄色がかった、底に陰りのある肌も、 そういう灯りの中でこそ美しいのだし、 もともと、自分たちの肌の色に合わせて日本の文化は発展してきたのでは、というような。 タイトルの重々しさに手を伸ばせずにいたけれど、 中身はとても興味深くて、噛みしめて読んだ。 お寺やお庭、文化財なんかを観る際には、 当時の「灯り」に想いを馳せて観てみよう、と思った。
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日本人が持っていた美意識についてわかりやすく書かれている。明治維新から西洋の文化が一気に入ってきたが、西洋の文化は、それまでに培われていた日本文化と異なるものであるため、どうしてもお互いうまくなじまないところがある。それをわかりやすく筆者の見解で述べていておもしろかった。 以...
日本人が持っていた美意識についてわかりやすく書かれている。明治維新から西洋の文化が一気に入ってきたが、西洋の文化は、それまでに培われていた日本文化と異なるものであるため、どうしてもお互いうまくなじまないところがある。それをわかりやすく筆者の見解で述べていておもしろかった。 以前の日本人は陰影、闇をうまく利用していた。金屏風、漆器、おはぐろなど、暗い部屋で美しくみえるようなものは、現代のような明るい部屋では理解できない状況であることがよくわかった。
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日本家屋や女性観など、日本の古きよきものを愛しく語りながら しかし決して諸手をあげて日本賛美をするでない姿勢が、まず一線を画しているなと。 羊羹のくだりは痺れました…ああいう抑えのきいたぞくぞくする文章を書ける、本物がいた時代があったんですね。
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日本の美的感覚は暗闇や薄明かりの中にあると、陰翳(いんえい)の大切さを表現しています。 光るものが嫌いと云う訳ではないが、浅く冴えたものよりも、沈んだ翳(かげ)りのあるものを好む。 漆器の美しさは、蝋燭のぼんやりとした薄明かりの中においてこそ発揮される。 明るくて白くてピ...
日本の美的感覚は暗闇や薄明かりの中にあると、陰翳(いんえい)の大切さを表現しています。 光るものが嫌いと云う訳ではないが、浅く冴えたものよりも、沈んだ翳(かげ)りのあるものを好む。 漆器の美しさは、蝋燭のぼんやりとした薄明かりの中においてこそ発揮される。 明るくて白くてピカピカ光っているものが良いものとはかぎらない、逆にうすっぺらく見える。 濁りや手垢、慣れなどが深みのある光沢を生み出すと。 新しくて清浄なものもよいが、年数を重ねた趣の中にこそ日本の美意識があるのだと感じました。
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有名な陰翳礼讃は全体の3分の1程度の分量。どうもタイトルが重い印象とどうにも昔すぎる随筆。なので意味の取りにくい比較やたとえもあり、取っつきにくくなっている。これはまぁしかたがない。しかし文体は八十年前の戦前、昭和初期のいいまわしとか古臭さをかもしだす言い回しは一切ない。 いまで...
有名な陰翳礼讃は全体の3分の1程度の分量。どうもタイトルが重い印象とどうにも昔すぎる随筆。なので意味の取りにくい比較やたとえもあり、取っつきにくくなっている。これはまぁしかたがない。しかし文体は八十年前の戦前、昭和初期のいいまわしとか古臭さをかもしだす言い回しは一切ない。 いまでも、こういう汎用的、誰にでもどこにでも通じる日本語を書き、話したいと思う。そういう文章を見たい読みたい、目にしたいという人にはおすすめ。 後半に収録されている(分量的には陰翳礼讃より遙かに多い)のエッセイ風・読み物風の特に厠の話は。 陰翳礼讃とは関係なさそうなこの後半の随筆が本当は面白い。
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