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台所のおと の商品レビュー

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70件のお客様レビュー

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音というのは耳だけで…

音というのは耳だけではなく肌でも感じ取っていることを、はっと気づかされる。人の優しさ、煩わしさ、寂しさを、職人らしい繊細な神経で捉え、感じ取っていく。是非、落着いた静かな処で、耳を澄ませて読みたい

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日々のあれこれを綴ったエッセイ集。何気ない日々の暮らしにも、彩があるのだと気づかせてくれた本です。

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病気のときほど、台所…

病気のときほど、台所で料理自宅をする音が恋しいことはありません。一人じゃないんだと思えます。

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2024/07/22

『父・こんなこと』を大学の同期に薦められてから、つかず離れず幸田文。 わが心をときどき訪れては、つとめて寡黙に、ぴしり。とお叱りを与えてくれる。 それと気づきつつも放っておいた習慣のたるみを締めるよう戒めてもらいたくて、ときどき、こわごわ著書に手を伸ばす。図書館で借りた本書『台所...

『父・こんなこと』を大学の同期に薦められてから、つかず離れず幸田文。 わが心をときどき訪れては、つとめて寡黙に、ぴしり。とお叱りを与えてくれる。 それと気づきつつも放っておいた習慣のたるみを締めるよう戒めてもらいたくて、ときどき、こわごわ著書に手を伸ばす。図書館で借りた本書『台所のおと』はもう彼女の名と題名を見ただけですみやかに決めた。そなたのお台所での振る舞いは果たして凛としているか? 音を聞く者の耳と心に障るものではないか? しっかとこちらの目を見据えて幸田は問う。ぴしり。ははあ。 彼女と似ている人物としてわたしは勝手に有本葉子さんを想定している。 有本は叱りはせず、優雅な姿を見せることを通じて感化するが、ぴし。と背筋を伸ばしたくなる点では幸田み。いいお台所を主宰できるよう精進します。

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2024/03/14

表題作だけでも読む価値あり。 どうやら作家の死後、世に出されたらしいですが、まったくもって凡人には想像もつかない。これが没になるとはどういうことなのか。 小説から音を通じて伝わる緊張感が堪らないです。 育ちなのか、持って生まれた資質なのか、どちらもあるのでしょうが、確かにこの作家...

表題作だけでも読む価値あり。 どうやら作家の死後、世に出されたらしいですが、まったくもって凡人には想像もつかない。これが没になるとはどういうことなのか。 小説から音を通じて伝わる緊張感が堪らないです。 育ちなのか、持って生まれた資質なのか、どちらもあるのでしょうが、確かにこの作家、現状の扱いはもうちょっとどうにかならんのか、というレベルかと。

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2024/02/12

表題作が良い。 男の気持ち、女の気持ち、お互いへの思いやりが音に出るとは。 今は隠居の身の女たちが過去を振り返って思い出す、あんなこと、こんなこと、それらも素敵だった。(濃紺、草履、雪もち) 病気や死や貧しさが絡み合うと凄まじい力が湧くのだろうか。もう離婚を考えていた配偶者の...

表題作が良い。 男の気持ち、女の気持ち、お互いへの思いやりが音に出るとは。 今は隠居の身の女たちが過去を振り返って思い出す、あんなこと、こんなこと、それらも素敵だった。(濃紺、草履、雪もち) 病気や死や貧しさが絡み合うと凄まじい力が湧くのだろうか。もう離婚を考えていた配偶者のために、あんなに尽くせるのだろうか。女の意地の一言で済ませられるものではないけれど。

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2023/01/23

難しい漢字や言葉使いで読みづらいと思ったけど、面白かったです。幸田文さんの生きた時代の女の生き方、在り方がリアルに伝わってきます。短編集です。 私が好きな作品は、『台所のおと』、『濃紺』、『食欲』、『祝辞』です。 『台所のおと』 夫婦の愛の話。夫が治らない病に罹ってしまいま...

難しい漢字や言葉使いで読みづらいと思ったけど、面白かったです。幸田文さんの生きた時代の女の生き方、在り方がリアルに伝わってきます。短編集です。 私が好きな作品は、『台所のおと』、『濃紺』、『食欲』、『祝辞』です。 『台所のおと』 夫婦の愛の話。夫が治らない病に罹ってしまいます。妻はそれを夫に悟られないように、夫はそれに何となく気づいても妻に悟られないようにします。途中で砥と刃の話が出てきますが、まさにこの夫婦の事を言っていると思いました。砥と刃が揃って包丁が切れるようになります。どちらかが欠けてはダメです。お互いを思い合っていてジーンときました。この話で知ったのが、昔は病気の告知は男親、男兄弟、息子にするのが当たり前だったそうです。奥さんたち女性には伝えなかった。どうしてかと言うと、女性はすぐに顔に出てわかってしまったり、落ち込んでしまうから伝えなかったみたいです。女性の方がそういう時、肝が据わるのでは?と私は思うんですけど。 『濃紺』 淡い恋の話。短い話だったけど、私は一番好きです。恋と言っていいのか分からないけど、主人公の女性は貰った下駄を大事に履いて、履けなくなったらずっと大切に押入れに思い出とともにしまってました。下駄をくれた人とは、店員とお客の関係だけだったけど、そこには恋心があったと思います。 『食欲』 離婚を考えてた妻。でもそんな時、夫が病気になり、夫の弱い姿を見て優越感に浸ってしまいます。そして良き妻を演じて(私はそう感じた)ピンチを乗り切ります。イライラさせられる夫の治療費のために頭を下げて金の工面をします。私だったらどうするのかな?なんて考えてしまいます。病気が快方に向かっていくと、また同じ日常になると思うんだけど、この妻はどうするのか?やっぱり離婚してしまうのか?気になりますね。 『祝辞』 お金のトラブルに巻き込まれて、家庭がギクシャクします。そんな時に妻が他の男性に気持ちがゆらゆら揺れてしまいます。でも、踏み止まって家庭を守ります。私はこの妻を「偉い。」と褒めてしまいました。 昔も今も変わらない事や、今ではあり得ない事が知れて良かったです。

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2022/08/06

前回は途中で断念したけれど今回はなんとか読了。古文が苦手な自分にはすんなり頭に入ってこない部分もあり読み返しながらだったけれど前回よりは理解が深まった。10年後に再読したらもっと感動するかもしれない。

Posted byブクログ

2019/10/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

日常の中の事件とそのことによる心のゆらぎとか感情とかがうまく書かれている。 「台所の音」のさわやかでおとなしい音、どんな音だろう? 「呼ばれる」「ひとり暮らし」雪もちもよかった。

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2016/03/22

本棚を整理していたら幸田文さんの「台所のおと」が出てきたので、布団の中に持っていって読み直す。やっぱり、この小説はすごくいい。私にとって、すごくすばらしい。志賀直哉の「小僧の神様」も大好きだが、同じような質のじーんと来方だ。いい小説って、こうして何度読んでも、すっかり初めてのよう...

本棚を整理していたら幸田文さんの「台所のおと」が出てきたので、布団の中に持っていって読み直す。やっぱり、この小説はすごくいい。私にとって、すごくすばらしい。志賀直哉の「小僧の神様」も大好きだが、同じような質のじーんと来方だ。いい小説って、こうして何度読んでも、すっかり初めてのように感動する。(高山なおみ)

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