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蛍川・泥の河 の商品レビュー

4.1

210件のお客様レビュー

  1. 5つ

    68

  2. 4つ

    77

  3. 3つ

    39

  4. 2つ

    7

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2022/01/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『戦後の貧しさの中で…力強く生き抜く子どもたち』 太宰治賞作品「泥の河」 芥川賞作品「螢川」 どちらも、昭和の薫り漂う時代背景のもと、子どもの視点から見た大人の世界、生と死、恋心を精緻な描写で描きだす。 戦後間もない貧しい環境の中、必死に生き抜く力強さを感じた。

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2021/12/23

文学的表現が美しく、内容も素晴らしい。 こんな文学に出会えて良かったと心から思います。 泥の河 太宰治賞 螢川  芥川賞  

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2021/11/29

敗戦後間もないまだ鬱蒼とした時代、川の畔の少年達の物語、中編2編。 太宰治賞「泥の河」 社会の底辺よりも底、泥の河で廓舟に暮らす母子と短い交流を持つ食堂の少年。日常が淡々と語られる。抵抗するでもなく、厳しい貧さを受け入れる母子。廓舟の友人の過ちを許せなかった少年。悲しみ辛さの心情...

敗戦後間もないまだ鬱蒼とした時代、川の畔の少年達の物語、中編2編。 太宰治賞「泥の河」 社会の底辺よりも底、泥の河で廓舟に暮らす母子と短い交流を持つ食堂の少年。日常が淡々と語られる。抵抗するでもなく、厳しい貧さを受け入れる母子。廓舟の友人の過ちを許せなかった少年。悲しみ辛さの心情を直接表現するものはないが、作品全体から悲しみが溢れる。 芥川賞「蛍川」 中学生という、これからの生き方が決まるであろう時期に父、友人の死に直面する少年。何かが終わろうとも、少年の生は続く。ラストの蛍の乱舞、少女にまとわりつ表現は、圧巻。

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2021/08/16

芥川賞を受賞した螢川、太宰治賞を受賞した泥の河の短編二部。 螢川では富山を舞台に中学3年生の主人公が経験する父の死の寂しさと初恋の淡さを螢の美しさで表現しており、泥の河では戦後まもない時代に食堂を営む両親の子である主人公が母、無口な姉と共に川で船上生活をする少年と出会い、別れを通...

芥川賞を受賞した螢川、太宰治賞を受賞した泥の河の短編二部。 螢川では富山を舞台に中学3年生の主人公が経験する父の死の寂しさと初恋の淡さを螢の美しさで表現しており、泥の河では戦後まもない時代に食堂を営む両親の子である主人公が母、無口な姉と共に川で船上生活をする少年と出会い、別れを通し、人間の影の部分を日常生活を通して描写した作品。

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2021/07/10

「泥の河」戦後高度成長期の裏で必死に生きている人々やその生活を読みながら、昔どこかで見たテレビや映画の暗い映像が思い起こされた。当時は遠い世界のように思っていたが、現実にあったのだと今は思う。 信雄の両親が喜一姉弟に優しく接する心の持ち主だという所が良い。お祭りの場面は昭和の情景...

「泥の河」戦後高度成長期の裏で必死に生きている人々やその生活を読みながら、昔どこかで見たテレビや映画の暗い映像が思い起こされた。当時は遠い世界のように思っていたが、現実にあったのだと今は思う。 信雄の両親が喜一姉弟に優しく接する心の持ち主だという所が良い。お祭りの場面は昭和の情景が鮮やかに蘇る。喜一母の行為を目撃してしまった信雄の衝撃から、喜一姉弟が抱えている心の闇、喜一の狂気に近い行動の理由が同時に分かって何とも言えない哀しい気持ちとなる。 終始暗いが心に重く強烈な印象が残る名作と思った。 「蛍川」主人公竜夫の思春期の恋心、友人が事故で死んだ衝撃、やはり死んでいく父への思いもさることながら、その母千代の心情描写も心に沁みる。 夫が死の直前に前妻の名前かと思われる言葉を呟いた事を心のわだかまりとしながら、夫の死後会いに来た前妻を前にした時の気持ちの遷移、蛍が出たら大阪に行こうと前向きな姿に変わっていく様が、蛍の大群に遭遇した鮮やかな描写と重なり合う。 母の出発点は竜夫の淡い恋の終わりでもあるが、新たな始まりでもあり、全体的に暗い中にも「泥の河」の読後感とは違ったものとなった。

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2021/07/07

螢川の圧巻のラストは忘れがたい。20年も前に読んだのに、様々なシーンが記憶に残る。日本の情緒を見事に捕らえている。

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2021/06/13

著者の初期を代表する「川三部作」のうち二編が収録されている。「泥の河」は太宰治賞、「蛍川」は芥川賞を受賞。 いずれの作品も貧しさによる閉塞感が主人公の周辺を包み、終始暗いトーンで進行する物語だが、未来へ向けて一歩踏み出そうとする人間の強さが描かれている。特に「蛍川」は富山の美しい...

著者の初期を代表する「川三部作」のうち二編が収録されている。「泥の河」は太宰治賞、「蛍川」は芥川賞を受賞。 いずれの作品も貧しさによる閉塞感が主人公の周辺を包み、終始暗いトーンで進行する物語だが、未来へ向けて一歩踏み出そうとする人間の強さが描かれている。特に「蛍川」は富山の美しい情景に心が癒される。蛍の大群を観に川へ向かう4人が見た夕暮れの描写が圧巻で息を飲むほど。

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2021/06/05

自分が若かりし頃の昔を思い出して なつかしく読みました あの頃はみんな貧乏だった 未来が唯一の希望だった。 そして、その希望が実現した 希望が実現した今となってみれば ああ、あの時代が懐かしいと思える

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2021/01/22

SNSでお薦め頂いた作品。芥川龍之介賞受賞作(含む)。在り来たりかもしれないが、フレーズに挙げた(p154.9行〜同.16行)一連の行動が妙に心に残った。竜夫の友を思う心情に感嘆たる思いを抱いた。最後の蛍のシーンは幻想的でエロティックですらあった(^^ 星三つ半。

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2021/01/11

『泥の河』は、如何にも高校生の模試の問題に出て来そうな文章。展開は『螢川』より分かりやすいと思う。 老人を飲み込んだお化け鯉が親子3人の船の後をついていくシーン。解説を読んで、ああそんな暗示にも読めるのかと思わされた。 『螢川』は、蛍のシーンが「綺麗だねー」と言うような想像でき...

『泥の河』は、如何にも高校生の模試の問題に出て来そうな文章。展開は『螢川』より分かりやすいと思う。 老人を飲み込んだお化け鯉が親子3人の船の後をついていくシーン。解説を読んで、ああそんな暗示にも読めるのかと思わされた。 『螢川』は、蛍のシーンが「綺麗だねー」と言うような想像できるお決まりの美しさじゃないのが良かった。 生きてまっせー!という熱気が鮮やか。 おまけ この本を薦めていた人が、「こんなん読んでる自分かっこいいですよね?ね?」という雰囲気を出していたのが腹立たしくて読んでやった。 絶対あいつ誰よりも中身分かってないぞ。

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