蛍川・泥の河 の商品レビュー
読んでいることイコール情景を眺めていることのような感覚がした古き良き日の日本を彷彿させる芥川賞受賞作品。父の死、友人の死、借金に追われる生活、少女に抱く淡い恋心など、主人公の少年が直面するリアルな現実の世界を見てきた後のラストシーンで何万何十万の蛍が舞っている幻想的な光景を想像さ...
読んでいることイコール情景を眺めていることのような感覚がした古き良き日の日本を彷彿させる芥川賞受賞作品。父の死、友人の死、借金に追われる生活、少女に抱く淡い恋心など、主人公の少年が直面するリアルな現実の世界を見てきた後のラストシーンで何万何十万の蛍が舞っている幻想的な光景を想像させたまま幕を閉じ、温かい心地良い余韻に浸れる。(07年6月22日)
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感動に震えた作品。 現実でもどうしようもないことって多いけど、その縮図といった感じで、やるせなさが悲しくて美しくて。 両作品とも方言をよく研究(?)してるなあという感じ。 「蛍川」より「泥の河」が好きv
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「価値観ドンピシャ」と、フミヤ氏が言ってたので即読んでみました。 私にも…ドンピシャ。 読み進むたびに、目の前にそんな光景がぶわーっと浮かんで、ちょびっと胸が痛くなる物語。 いろんな人の、優しいこころがかすかにからみあって、最後は涙を流させました、私に。
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小学生くらいのとき、国語の教材で部分だけ読んで、全部よみたくて本屋さんで見つけて、読んで、せつなくなった。生きることについて考えてみたり。
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芥川賞受賞作。そう言った概念に囚われることなく物語りに入っていける作品。若さの中の甘い恋を思わせてくれる。
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『泥の河』について・・・ 信雄の家族の温かさと喜一の家族が抱える暗さが描かれている。そんな対照的にみえる家族も実は、同じ現実を生き抜こうともがいてる姿は共通している。泥の河を舞台に様々な現実を知っていく信雄を中心に描かれた世界はノスタルジックで、忘れていた何かを思い出させてくれる...
『泥の河』について・・・ 信雄の家族の温かさと喜一の家族が抱える暗さが描かれている。そんな対照的にみえる家族も実は、同じ現実を生き抜こうともがいてる姿は共通している。泥の河を舞台に様々な現実を知っていく信雄を中心に描かれた世界はノスタルジックで、忘れていた何かを思い出させてくれるような、人を引き込む魅力を持っている。川は流れていくことで、時間を象徴し、出会いと別れをも表す。宮本輝の緻密に計算された文章は読む人の心を離さない強さを持っていると思う。 『蛍川』について・・・ 蛍の大群の幻想的な世界が目の前に広がるような文章が美しい。竜夫の栄子への気持ち、そして父親への気持ちが、中学生の素直になれないもどかしさを持っていて何となく懐かしい気持ちになった。
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「泥の河」は非常によい物語。出会いは偶然、別れは必然。そんな物寂しさも、健気に生きる廓舟の親子は意識させず、清々しく思えた。そして、物語に何度か登場する得体の知れないお化け鯉。弱きものと巨大な化け物のコントラストがこの小説の隠れたテーマではないかと思う。「蛍川」は最後に登場する蛍...
「泥の河」は非常によい物語。出会いは偶然、別れは必然。そんな物寂しさも、健気に生きる廓舟の親子は意識させず、清々しく思えた。そして、物語に何度か登場する得体の知れないお化け鯉。弱きものと巨大な化け物のコントラストがこの小説の隠れたテーマではないかと思う。「蛍川」は最後に登場する蛍の大群の描写がとても美しい。人生の哀しみや儚さも、山奥で一瞬の閃光を放つ蛍たちの輝きの前では、とても小さなことに思えてくる。高校1年生のときに読んでとても感銘を受けた小説。ぜひお勧め。
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宮本輝氏の小説です。蛍川は芥川賞受賞作だったような…? 関西が舞台の作品が多い宮本氏の作風がよくわかる一冊だと思います。(昭和の香りがする作品です)泥の川はどこか不思議な感じがします。蛍川の描写は美しいと思いました。
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私が生まれる前の日本を舞台に、人と人との繋がりを描いた秀作。宮本輝の作品は、方言がすごくいいと思う。
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現実に近い形で文章が迫ってくる。 死とは思いがけないもの。決して特別なものではない。 でもそんな形で訪れるから悲しさは一層である。全部受け入れられないから感情は麻痺する。でも悲しんでばかりはいられなくて、残された人々はそれでも前進していかなければならなくて、色んな選択肢に悩み悩み...
現実に近い形で文章が迫ってくる。 死とは思いがけないもの。決して特別なものではない。 でもそんな形で訪れるから悲しさは一層である。全部受け入れられないから感情は麻痺する。でも悲しんでばかりはいられなくて、残された人々はそれでも前進していかなければならなくて、色んな選択肢に悩み悩み、どんな道を行くのかを選んでいかなければならない。 冬の日本海へ行ってみたい。宮本さんの描写は目に浮かぶようで、突き刺さるような寒さや全てを覆い隠すような雪景色、見てみたい。 (もちろん美味しい地酒も飲みたいのだけれど。ってむしろこっちが第一目的かな?笑)
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