蛍川・泥の河 の商品レビュー
日本語が美しすぎる……。薄い本なんだけど読むのがもったいなくて読み返し読み返しちょっとずつ読んでたらものすごい時間かかった。
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- ネタバレ
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共に映画化されており、既に観賞済み。『泥の河』では哀切感溢れるモノクロ映像が明確に残り続けているので、小説との比較を楽しめた。『蛍川』ではホタル狩りの場面しか覚えていなかったので、物語に耽ることができた。粗筋的には後の代表作『流転の海』の内容と大いに重なり、この短編をモチーフにあの大長編が生まれてことが分かる。 共に少年を主人公として、瑞々しい視点の中から戦後の混乱期に生きる大人たちの苦難を描写しております。
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好きな本を聞かれたら必ず名前をあげる作品。 戦後の混沌とした日本を明るく、でも悲しく描いた作品。 私はこれを読んで涙が止まらなかった。 戦後の日本とは言え、分かりやすい言葉で書かれた作品なので心に入ってきます。 何回も読みたい本。
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素晴らしく完成度の高い作品。 読み終わった後のなんとも口から漏れる溜息は心地よかった。 特に何が良いとかを感じるところはなかったのに、どっぷりとその世界で生きて来たような気持ちにさせてもらった。 文章に匂いと触り心地みたいなものを感じさせてもらった。
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日本文学。戦後の貧しい日本が生き生きとした姿で、描かれている。これは、中学受験とか高校受験とかの国語の問題の物語文でとてつもなく使われそうな作品だなあ、というのが率直な感想。力ない所謂一般大衆の姿を美しく捉える試み。それにしてもなんで、人間が色々なことを考えながらもがきながら生き...
日本文学。戦後の貧しい日本が生き生きとした姿で、描かれている。これは、中学受験とか高校受験とかの国語の問題の物語文でとてつもなく使われそうな作品だなあ、というのが率直な感想。力ない所謂一般大衆の姿を美しく捉える試み。それにしてもなんで、人間が色々なことを考えながらもがきながら生きる姿がこれほどまでに胸につまるんだろうとおもうと、ほんとうに、このくらいの死の近さとか、アスファルトで舗装されていない地面の土煙とか、そういうのが本来のあるべき姿であって、そこで毎日毎日生きるというのが本来の姿であって、それを失った哀しみが胸に迫ってくるのかとおもった。とにかく美しいけどかなしい。この本をイメージすると思い出すのは多分、まだ舗装されていない道路を荷馬車が通ったときにもくもくと舞い上がって様々なものをうす茶けた色に染めてゆく土煙。
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素晴らしい作品。 特に、蛍川が良かった。 流転の海のシリーズは完全にここらへんの流れを組んでるんだなぁ。
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「川三部作」の二編。 昭和30年代の大阪、河の畔に住む少年と廓舟に暮らす姉弟との短い交友を描く太宰治賞受賞作「泥の河」。デビュー作とは思えない老成感。 「お米、温いんやで」「お米がいっぱい詰まっている米櫃に手ェ入れて温もってるときが、いちばんしあわせや」生きることの厳しさ・悲しさ...
「川三部作」の二編。 昭和30年代の大阪、河の畔に住む少年と廓舟に暮らす姉弟との短い交友を描く太宰治賞受賞作「泥の河」。デビュー作とは思えない老成感。 「お米、温いんやで」「お米がいっぱい詰まっている米櫃に手ェ入れて温もってるときが、いちばんしあわせや」生きることの厳しさ・悲しさ、きつい小説。★★★★ 蛍の大群のあやなす光に命の輝きをみる芥川賞受賞作「蛍川」。 蛍の大群は「滝壺の底に寂莫と舞う微生物の屍のように、はかりしれない沈黙と死臭を孕んで光の澱と化し、天空へ天空へと光彩をぼかしながら冷たい火の粉状になって舞いあがっていた」こういう表現をするか。ラストの生々しさ、幻想的な描き方は目に浮かぶほどに見事。★★★★★
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久々に感動しました! ノスタルジックな小説はもともと好きですが、こちらはノスタルジックを通り越して、もの悲しいそれでいて何か考えさせられる一冊でした。またしばらくしたら繰り返し読みたい。。。
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蛍川・泥の河、どちらもとても良かった。 「泥の河」の人の死や別れや哀しさ、境遇が違うが故に割かれてしまう切なさにぐっとくる。 どちらも戦後の疲れ切った汗臭さや生活へのやるせなさがにじみ出ているような気がします。
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いつだって人を引きつける河は、じつは清流じゃなくて汚物まで呑みこんだ黄土色してる。 ガンジス、黄河、アマゾン川。聖なる河ってのはみ~んな、なんでも呑みこんで、流し込んで、底が見えない。 清流には生活感は感じない。それを見ている時ってのは、ちょっと疲れて気持ちを地面から離したい時...
いつだって人を引きつける河は、じつは清流じゃなくて汚物まで呑みこんだ黄土色してる。 ガンジス、黄河、アマゾン川。聖なる河ってのはみ~んな、なんでも呑みこんで、流し込んで、底が見えない。 清流には生活感は感じない。それを見ている時ってのは、ちょっと疲れて気持ちを地面から離したい時だよね。 「お前はここで現実に塗れて生きてる」って思わせるには、黄土色な河のほうが説得力があるんだよなぁ。 宮本輝を読んだのは中学だか高校だかに偶然『オレンジの壺』を手に取って以来。 その時読んだ印象は「なんだかお洒落な、いや、こんな田舎で暮らす俺には現実離れした物語だなぁ」って印象だった。 でも、そんな現実離れが心地よいような感じだったような……。 あの頃にこの泥の河を読んでいたら、たぶん「なんやねん。おもろくないわ」って思っていたかも。 当時は、泥の河が自分の現実に近い感じがしたろうから。 適度に離れているほうが、気持ちよく読める。 今、この本を手に取って読んだ時に感じるのは、なんとも言えない郷愁だったり、子供の頃の男の子特有の感覚だったりする。 漬け物と一緒。 昔は家で食卓に出ても手もつけなかった。当たり前にあったから。 けど今は、多少高くても、たまにすごく食べたくなるよねぇ。 読んだタイミングがよかったと思う。 昔の食卓を懐かしむみたいに、ページをめくってました。
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