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照柿 の商品レビュー

3.6

64件のお客様レビュー

  1. 5つ

    14

  2. 4つ

    17

  3. 3つ

    19

  4. 2つ

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寝苦しい夜に読む一冊

脳裏に浮かぶのは照柿の色。全編を通じて、熱を感じさせる作品である。極限状態に追い込まれた3人の男女。情念がねっとりと絡み合いもつれあい、ひとを呑みこんでいく……。蒸し暑く寝苦しい夜に読む本としてお薦め。

TKS

2023/06/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

高村薫では、これが一番の名作と思う。 ヘンな人の度合いが最も小さい。 野田達夫や合田雄一郎の暴走への道のりも、素直に納得させられる。 佐野美保子ですらわからなくもない、ある意味魅力的に映る

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2022/03/13

久々に長編小説を読みましたよぉ。 読んだのは"高村薫"の『照柿』です。 クリックすると元のサイズで表示します 少し前に本を読みたい欲求が強まっていた時期があり、その時、古本屋の100円コーナーでみつけて購入したものです。 --------帯コピー------...

久々に長編小説を読みましたよぉ。 読んだのは"高村薫"の『照柿』です。 クリックすると元のサイズで表示します 少し前に本を読みたい欲求が強まっていた時期があり、その時、古本屋の100円コーナーでみつけて購入したものです。 --------帯コピー-------- 「野田達夫、35歳。17年働き続けてきた平凡な人生に、何が起こったのか。 達夫と逢引する女、佐野美保子はほんとうに亭主を刺したのか。 美保子と出会った瞬間、一目惚れの地獄に落ちた刑事合田雄一郎はあてもなく街へさまよい出る。 照柿の色に染まった、男二人と女一人の魂の炉。」 ----------------------- うーーーん、なかなか読む気をそそるコピーですよねぇ・・・ コピーと"高村薫"のイメージから、てっきりミステリー小説だと思い込んで読み始めたのですが、、、 事件や謎解きがありミステリーの要素もあるにはあるのですが、"合田雄一郎"と"野田達夫"の心の描写が中心でミステリーではなくヒューマンドラマでしたね。 それでも、読んでるうちにグイグイっと惹きつけられていって、500ページの内容を2週間程で読み切りました。 これだけのボリュームの物語を途中で飽きずに、こんなハイペースで読み続けたのって10数年振りなんじゃないかなぁ・・・ 久し振りに読書の醍醐味を味わうことができた作品です。 "高村薫"の他の小説も読みたくなりました。

Posted byブクログ

2019/10/28

内容 野田達夫、35歳。17年働き続けてきた平凡な人生に、何が起ったのか。達夫と逢引する女、佐野美保子はほんとうに亭主を刺したのか。美保子と出会った瞬間、一目惚れの地獄に落ちた刑事合田雄一郎はあてもなく街へさまよい出る。照柿の色に染まった男二人と女一人の魂の炉。

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2019/08/27

どうして男たちはこうも不機嫌なのか? 前作に続いて、イラつく男たちの日常が、炎天下の元描かれている。 約500ページにわたって男たちは不機嫌である。 作者の取材の産物なのだろうが、些末な描写が必要以上に濃密で重厚。 工場機械の描写、そこまで必要なのか?と言いたくなる。 賭場の...

どうして男たちはこうも不機嫌なのか? 前作に続いて、イラつく男たちの日常が、炎天下の元描かれている。 約500ページにわたって男たちは不機嫌である。 作者の取材の産物なのだろうが、些末な描写が必要以上に濃密で重厚。 工場機械の描写、そこまで必要なのか?と言いたくなる。 賭場の描写もしかり。 そこから醸し出される暑苦しさが本作に漂う猛暑の雰囲気を増長させているのだろう。 正直、本作で主人公の合田に対してはガッカリしたといわざるをえない。 「人間らしい」といえばそうかもしれないが、「ひとめぼれ」で片付けられてはちょっと・・・ねぇ。

Posted byブクログ

2019/08/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

夏におすすめ。じりじり暑い。ちてこ、今回で3回目かな、読むの。 合田は八王子ホステス殺人事件を捜査中。8月2日、電車での事故に遭う。ひき殺されたのは中国人留学女性。現場には、中国人を愛人にしている佐野と、その妻美保子。合田くん、ヒトメボレしてしまうのだな。 拝島の工場で働く野田。現場と管理者とのハザマでぼろぼろ。30時間勤務してしまう。今は妻子もいるけれど、昔は犯歴が残るほど問題おこしていた。美保子ともつきあっていた。で、工場の描写がうまいんだな。工場内の熱気も伝わってきて充分暑い。 ある日、幼馴染の合田に会う。その後、合田に美保子と会っているところを目撃される。嫉妬にかられる合田。警察官だからね、罪悪感にかられつつも、裏から手をまわして、野田を「栄転」させようと図る。 美保子。昔、夫を刺している。今回もナイフ持って行った。 暑さ、どうすればよいのか焦燥感、そんな中、美保子が夫を刺したことも明るみになりつつ、野田は衝動的に笹井画廊のオーナーを殺してしまう。 ずるずるとみんな落ちていく。ただ、合田だけは落ちながらも先がありそう。

Posted byブクログ

2019/07/01

濃い臙脂色に西日がさした時の、光の粉をふいたような色・・・作中にある「照柿(伝統色の一種)」である。 真夏の蒸し暑い空気の中で、例によって行き場をなくしている合田雄一郎。その息苦しさ、閉塞感といったものを、この色がよく表しているんだと思う。

Posted byブクログ

2019/09/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

男と女が恋に落ち、嫉妬に狂う熱病のような夏。殺人は起った。 野田達夫、35歳。17年働き続けてきた平凡な人生に、何が起ったのか。 達夫と逢引する女、佐野美保子はほんとうに亭主を刺したのか。 美保子と出会った瞬間、一目惚れの地獄に落ちた刑事合田雄一郎はあてもなく街へさまよい出る。照柿の色に染まった男二人と女一人の魂の炉。 「マースクの山」に続いて刑事の合田雄一郎が主人公です。 合田刑事の私情や内面も入り混じり、なかなかHeavyでした。 全体的に暗く重い内容で、合田刑事の苦悩が伝わってきます。 「照柿」という色に、情念の炎という印象を持ちました。 好き嫌いがハッキリ分かれる一冊だと思います。 たぶん、自分では購入しないジャンルですね。

Posted byブクログ

2018/12/22

合田雄一郎と野田達夫、幼馴染だった二人は異質だが似通った重暗い性格を背負って長じ、とある事故をきっかけに偶然出逢い物語は加速して走り出す! 1994年の作品だけどやはり迫力を持って読者に迫り来る力がありますねぇ。とても面白く読みました♪

Posted byブクログ

2018/11/09

合田警部補シリーズ2作目だと思います。 ハードボイルドな合田刑事が、一人の女性によって、自分の人生を踏み外しそうになるくらい狂わされてしまう。 人の持っている内なる怒りや信念、情を「照柿」という色に例えている。 物語としては大きな事件ではないが、登場人物の心模様が鮮明...

合田警部補シリーズ2作目だと思います。 ハードボイルドな合田刑事が、一人の女性によって、自分の人生を踏み外しそうになるくらい狂わされてしまう。 人の持っている内なる怒りや信念、情を「照柿」という色に例えている。 物語としては大きな事件ではないが、登場人物の心模様が鮮明且つ異常なほど硬質に描かれていると思います。 かなり読むのが疲れました

Posted byブクログ