亜愛一郎の狼狽 の商品レビュー
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泡坂妻夫による亜愛一郎の活躍を描くミステリ短編集。 普段はパッとしないくせに、人の話を聞いてその裏に隠された真相を推理する能力がずば抜けている亜愛一郎。亜愛一郎はいわゆる安楽椅子探偵で、その現場を見ていなくても人の話から推理を展開し、事件を解決に導く。 特に、収録作のひとつ「ホロボの神」では戦時中の南方の島で起こった現地人の酋長の自殺の謎を解き明かすが、最早その現場に愛一郎が立ち会うことなどできないにもかかわらず、話を聞くだけで真相に辿り着いてしまう。その論理的かつ他に考えようがない結論の提示は小気味良いほどだ。 推理を展開すると鋭い頭脳を披露するのに、普段はまるっきり頼りないというギャップも面白い。 ふるい作品だけに、現在ではあまりお勧めされない表現や、戦争の記憶が生々しく描かれているなど時代を感じさせる部分はもちろんあるが、作品の面白さは色褪せていない。
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シンプルで無駄のない文章で綴られるどこかとぼけた味わいのミステリ短編集。 突飛な真相に対し、伏線の貼り方が非常に上手く、物語が無理なくきれいにまとめられている。 淡々と進む物語ですが、一編一編に異なる味があり楽しめました。ユーモアがありリラックスして楽しんで読める作品。でもときに...
シンプルで無駄のない文章で綴られるどこかとぼけた味わいのミステリ短編集。 突飛な真相に対し、伏線の貼り方が非常に上手く、物語が無理なくきれいにまとめられている。 淡々と進む物語ですが、一編一編に異なる味があり楽しめました。ユーモアがありリラックスして楽しんで読める作品。でもときにはしんみりすることも。 探偵役はイケメンなのにどんくさいという亜愛一郎ですが、それぞれの作品で彼と出会う主人公的立ち位置の癖のある人々がいます。彼らと亜のコントのようなやり取りにニヤリ。 最後の三編「掘出された童話「ホロボの神」「黒い霧」が特に好みでした。
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収録短編全てがハイクオリティで、今まで読んだ短編集の中ではトップクラスの満足感でした。 中でも「DL2号機事件」「G線上の鼬」は誰でも考えうる思考を使い、ロジカルに犯罪を暴く、変則的な異形の理論を使った傑作短編です。 異形の理論で言えば「ホロボの神」も忘れてはいけないでしょう。非...
収録短編全てがハイクオリティで、今まで読んだ短編集の中ではトップクラスの満足感でした。 中でも「DL2号機事件」「G線上の鼬」は誰でも考えうる思考を使い、ロジカルに犯罪を暴く、変則的な異形の理論を使った傑作短編です。 異形の理論で言えば「ホロボの神」も忘れてはいけないでしょう。非文明人だからこそ成立するトリックで魅せてくれます。 他にも、伏線の妙が光る「曲がった部屋」や、作者の苦心が窺える暗号ミステリの秀作「掘出された童話」など奇術マニアだという作者らしい短編が揃っています。 そして何より、これらの事件を解決する探偵が魅力的。亜愛一郎なくしてこの作品は成立しないのではないかと思えてくるほどです。
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作者のデビュー作も含む、亜愛一郎シリーズ第一短編集。なんとなくもっとコメディタッチなのかなと勝手に思ってたんだけど、まあところどころ間の抜けた設定があってシリアスとは言えないという程度の印象(だからどうということもないけど)。 ミステリ的には、いずれの作品もちょっと変わった前提や...
作者のデビュー作も含む、亜愛一郎シリーズ第一短編集。なんとなくもっとコメディタッチなのかなと勝手に思ってたんだけど、まあところどころ間の抜けた設定があってシリアスとは言えないという程度の印象(だからどうということもないけど)。 ミステリ的には、いずれの作品もちょっと変わった前提や論理に基づいて謎解きが展開されているのが特徴かな。なので、アイディアとしては個性的で面白いんだけど、ちょっと飛躍しすぎなんじゃないのと思える部分も多い。 個人的ベストは、空中密室という魅力的な謎と大胆なトリックが楽しい「右腕山上空」。次点は悩むところだけど、本作品集でも一際ユニークな構成だと感じた「黒い霧」。
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今月の6冊目。今年の19冊目。 うーん、これは総じて面白くなかった。1つは面白いと思ったけど、その他はいまいち。文章が合わないのか、頭に全然背景とか風景が浮かんでこない。特に最初の短編は、正直これはなー…と思わざるをえなかった。
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一度この苗字を聞いたら 忘れることはないでしょう。 なにせ「あ」、あですからね。 (ちなみに実在しない苗字です) そんな手抜きな苗字(!)のせいなのか、 彼はどこか抜けているのです。 ドジをやらかすこともしょっちゅうですし、 行動もどこかぎこちがない。 だけれども、頭脳は素晴らしいものを 持っているのです。 現実に、暗号文が絡む謎も といていますからね。 どこか憎めないキャラでした。
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素人探偵・亜愛一郎が活躍する短編集。「DL2号機事件」「曲った部屋」「掌上の黄金仮面」が良かったです。難解な文章ではないのになぜか情景が頭に浮かびづらい箇所があり、これはおそらく自分の読解力のなさと相性だと思います。でも面白かった!
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「11枚のトランプ」を筆頭に、「乱れからくり」等数々の名作でわが国推理文壇に不動の地位を築いた泡坂妻夫が、この一作をもってデビューを飾った記念すべき作品-それが本書冒頭に収めた「DL2号機事件」である。ユニークなキャラクターの探偵、亜愛一郎とともにその飄々とした姿を現した著者の、...
「11枚のトランプ」を筆頭に、「乱れからくり」等数々の名作でわが国推理文壇に不動の地位を築いた泡坂妻夫が、この一作をもってデビューを飾った記念すべき作品-それが本書冒頭に収めた「DL2号機事件」である。ユニークなキャラクターの探偵、亜愛一郎とともにその飄々とした姿を現した著者の、会心の笑みが聞こえてきそうな、秀作揃いの作品集。亜愛一郎三部作の開幕!
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長身で整った端麗な顔立ち、ファッションセンスも抜群なカメラマン・亜愛一郎。 が、見かけと違ってかなりどんくさい。撮っている写真も雲や珍しい虫ばかり。 そんな彼が様々な事件に遭遇し、抜群の推理力で謎を解く。 亜愛一郎シリーズ第一弾となる短編集。 著者の作品を今回初めてだったのですが、はまりました。 難しいというよりは一風変わっているというか・・・考えもしない発想が飛び出して唸ってしまった。「DL2号機事件」では特にそれを感じました。 他「G線上の鼬」「掘出された童話」がお気に入り。 それにしても、毎度登場する”三角形の顔をした小柄な洋装の老婦人”がとても気になる。と、思っていたら・・・ シリーズ第3弾の「亜愛一郎の逃亡」で謎が明かされるようなので、そちらもぜひ読んでみたい。
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不思議な主人公に不思議な事件の数々。 さらっと読める短編集でした。 市川猿之助丈が、推薦していた理由が思い出せない… 主人公に感心があったように記憶しているんだけど、私には人物像がよくわからない主人公でした。
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