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夏の葬列 の商品レビュー

3.8

58件のお客様レビュー

  1. 5つ

    13

  2. 4つ

    20

  3. 3つ

    17

  4. 2つ

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2012/06/06
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ぜんぜん大したことない。 いくらショートショートとはいえ、「空襲のときに自分が突き飛ばした娘は死んではいなかった 自分は人殺しじゃない! と思ったらやっぱり娘は死んでましたー 写真は娘のお母さんでしたー」 なんてのはあまりにお粗末。こんな風に死をもてあそぶのはおよそ作家の感性ではないと感じる。 それに「彼」とか「彼女」という都合のいい三人称の使い方にも違和感。内省ばかりでほとんど一人称じゃん。と思いきや急に「彼女」視点に切り替わるのはもうやめてくれよと思う。 「他人の夏」で、自殺しかけていた女性をあらかじめ偶然知っていて、しかもその女性が「今日真赤なスポーツ・カー」に乗ってきた、「いきをのむほど美しい若い女」だった時には思わずFuckしかけた。 後二作はもう、「ハイハイ私小説私小説」という感じでなんらの感慨を得ない。自我の形成期における自己の苦悩や内省の云々なんてのは、もうちっともおもしろくない。 「きわめて地味で平凡な作家」そのとおり。

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2012/04/09
  • ネタバレ

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ブラックだよね~。 「夏の葬列」は人が死んだにもかかわらず「やった、殺していなかったんだ!」という異常なエコイズム。 でも戦争中は実際あったんじゃないかなぁ、なんて思ったりもした。 この本は短編集だが、残念ながら・・・ 時代が違いすぎるのか、全く良く分からず。 特に「煙突」は、途中で読むのをやめた。

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2012/03/05

#dks 山本方夫「夏の葬列」読んだ。読書会間に合わず。実際には彼が殺したのではないけど、所謂survivor's guilt に苛まれ、遭遇した葬列で罪の意識はWで決定的になってしまう。彼の感情推移の描写が見事。彼のその後の人生が気になる…「あなたのせいじゃないよ」と...

#dks 山本方夫「夏の葬列」読んだ。読書会間に合わず。実際には彼が殺したのではないけど、所謂survivor's guilt に苛まれ、遭遇した葬列で罪の意識はWで決定的になってしまう。彼の感情推移の描写が見事。彼のその後の人生が気になる…「あなたのせいじゃないよ」と言いたい あ、山川だった。

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2012/01/20
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2012 1/20読了。WonderGooで購入(古書)。 表題作「夏の葬列」ほかショート・ショート数編と、中編2編を収録。 学生時代に教科書で読んで忘れられないくらいにインパクトの強かった「夏の葬列」だが、他作品もそこまでではないもののやはりこうガシッとは。 著者の略歴を初めて知ったが、その短すぎる(それも新婚1年目の半ばで終わった)生涯も含めて考えると最後の「海岸公園」なんかもこう。のしっと。

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2011/11/09

短編集。タイトルのショート・ショートは人生の残酷さと哀しさが感じられます。 【宮崎大学】ペンネーム:チコリー

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2013/08/31

巻末の解説にもあるように、作者自身の状況の変化から、ラストの2作はそれまでと雰囲気が大きく変わる。 私は、前半のショート・ショートの方が好きである。 言葉の使い方が透明感があって、好きだなと感じた。 心にサクっと刺さって、スッと抜けていくような、一瞬の鮮烈な痛みと悲しみを感じさせ...

巻末の解説にもあるように、作者自身の状況の変化から、ラストの2作はそれまでと雰囲気が大きく変わる。 私は、前半のショート・ショートの方が好きである。 言葉の使い方が透明感があって、好きだなと感じた。 心にサクっと刺さって、スッと抜けていくような、一瞬の鮮烈な痛みと悲しみを感じさせるような印象。 http://preciousdays20xx.blog19.fc2.com/blog-entry-424.html

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2011/09/13

いつの頃の教科書か忘れたけど、夏の葬列が載っていた。 初めて読んだ時の記憶は覚えていないけど、記憶にあるということは読み流せない程度の衝撃があったんだと思う。 そして私が一番好きなのは朝のヨット。 少年と少女の淡い恋。 波の音、桃色の海、朝の静謐な香り。 清らかな夏の空を鳴いて...

いつの頃の教科書か忘れたけど、夏の葬列が載っていた。 初めて読んだ時の記憶は覚えていないけど、記憶にあるということは読み流せない程度の衝撃があったんだと思う。 そして私が一番好きなのは朝のヨット。 少年と少女の淡い恋。 波の音、桃色の海、朝の静謐な香り。 清らかな夏の空を鳴いて飛ぶ鷗。 なんて美しい物語なんだろう。 実はこの物語をずっと探していて。 高校の教科書に載ってたはずだと思って、同級生とか伝手を頼って現在高校生にも聞いてもらったりした。でもなくて。 んであきらめた頃に自分の本棚で見つけてしまったあの嬉しさったらなかった。 他にも良い作品が多い。 特に最後の海岸公園、家族の大黒柱になった男の未来への不安の話だと思うけどそれより爺さんと母親の罵り合いがいっそ小気味いい。 すごくいい文庫本だと思う。 驚いたのはこの文庫本に、高校の印が押されていたこと。 ごめんなさい、図書館に返し忘れて幾数年です。

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2011/06/23

「素直」な実行力とは、健康の同義語なのだ、とふいにぼくは思った。 「お前も、甘い顔さえしてれば、苦労が苦労にならず通りすぎていくと思い込んでるみたいなところがある。それが甘いところなんじゃ。そんなもんではお前、世の中はわたって行けはしないぜ。」

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2010/09/21

恥ずかしながら、山川方夫の名は「ああそういえば聞いたことある」程度の認知しかなかったが、本書を読んでこんな作家ならもっと早くに知っていたかったと心から思った。そして、なんと惜しい人を早くに亡くしていたのか、とも。 表題作「夏の葬列」は中学の教科書の題材として使われているらしい(...

恥ずかしながら、山川方夫の名は「ああそういえば聞いたことある」程度の認知しかなかったが、本書を読んでこんな作家ならもっと早くに知っていたかったと心から思った。そして、なんと惜しい人を早くに亡くしていたのか、とも。 表題作「夏の葬列」は中学の教科書の題材として使われているらしい(私の時はなかった…世代の違い…)し、「梶井基次郎や中島敦のような永遠に敬愛され繰り返し読まれるマイナー・ポエットの位置を得るのでは」と言われているのも納得できる。 鮮烈な印象を持ちつつ闇と苦悩をも秘めた、人を惹きつけてやまない作品群を読みながら、むしろ山川方夫という人物の奥底を覗いてみたくなるような、魅力のある作家だと思った。 表題作と、中篇の「煙突」が特によかった。 繰り返し、読みたくなるかもしれない。 最後にどうでもいいことだけれども、この文庫はなぜこのような装丁に? 中身とかけ離れている感じで違和感…。

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2010/08/26

 少し昔の映画的なショートショートと短編集。  モノクロから総天然色の、今にはない、ささやかだけど、情念を強く持っていた時代の本。  表題の夏の葬列は洗練だ。  ぎらりとする夏の日差しと、その影の濃さのコントラストが見事。  解説を読むと、作品単体もさることながら、わかくして...

 少し昔の映画的なショートショートと短編集。  モノクロから総天然色の、今にはない、ささやかだけど、情念を強く持っていた時代の本。  表題の夏の葬列は洗練だ。  ぎらりとする夏の日差しと、その影の濃さのコントラストが見事。  解説を読むと、作品単体もさることながら、わかくして亡くなった著者が愛されていたというか……個性的であったのだろうなと思わせる。  この著者が歳を経て熟成されたら、どんな作品を書いたんだろうか。  夜の海のような静謐さと、海の中の大きなうねりをもつような、すごいものがよめたのではなかろうか。

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