コンスタンティノープルの陥落 の商品レビュー
コンスタンティノープルを興したビザンチン帝国は、4Cに創立、5-6Cに全盛期を迎えたが、11Cには大幅にその支配圏を縮小、15Cにオスマントルコに攻められ陥落したという。 合戦が本格的になってからの記述はエキサイティング。 イスタンブールのメジャーな観光施設である、アヤ・ソフィ...
コンスタンティノープルを興したビザンチン帝国は、4Cに創立、5-6Cに全盛期を迎えたが、11Cには大幅にその支配圏を縮小、15Cにオスマントルコに攻められ陥落したという。 合戦が本格的になってからの記述はエキサイティング。 イスタンブールのメジャーな観光施設である、アヤ・ソフィアやトプカプ宮殿が歴史的にどれだけ意味をもったランドマークであるか、というのも感じることができた。あるいはまたイスタンブール(コンスタンティノープル)という地が、長らく反映してきた帝国の都であったということも理解した。しかしこの本を読んでかえって強く感じたのは、この「陥落」こそが、キリスト教とイスラム教との交戦の発端になっているということや、キリスト教とギリシア正教との「統一」をももたらしたということ。もっと言えば、陥落してもなお、東西の世界の「分け目」という役割を果たし続けているのだ、ということを感じることができたのである。トルコを旅する人には必読。
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すーっごく面白い本だった。 最初の方はコンスタンティノープルの説明や登場人物の説明が多く、私は毎度のごとくそういうページを読むのが苦手なので、その章を越えるまでにすごく時間がかかってしまった。が、その章を越えると、ストーリーの流れに引き込まれて、一気に読んでしまった。 世界史の知識に乏しい私には、この本を読むのはすごく難しいと思われたのだが、本を読み進めるうちに、どんどん最初に書かれていたことが繋がっていった。やはり、ただ起こったことの羅列ではなく、ストーリーがある方が格段に歴史が頭に入ってくる、と思う。ということで、世界史がわからない人も楽しく読めます。 マホメッド2世は、駆け引き(交渉力?)や、言葉遣い、発想力に長けている人なのだろうか、とこの本を読んで思った。たとえば、他国の軍を騙してトルコの不正規軍にしたり、艦隊の陸越え、兵士の士気を上げるような言葉を選んだり。それだからこそ、十万もの軍を率いることができたのだろう。リーダーになるためには、ただバカ正直でいちゃダメなんだなあ。 解説の人が書いた、「現代の世界を理解するためには、この東の世界がつづった歴史をあらためてたどってみる必要がある。たとえば、ビザンチン帝国史である。ありはトルコがヨーロッパ世界に与えた衝撃である。その理解なくしては、今日の東欧やソ連、さらにはバルカン半島、中近東の文化や宗教や価値観を読み解くことが出来ない」という文章が、忘れられない。この人が書いているように、ビザンチンは日本人にとって、けっして親しいものではない。むしろ、日本史ばかりやっていた私のような者は特にだ。この本は、その東の世界のことを教えてくれる、きっかけのような本であった。 最後の終わり方が、もやもやっとさせる終わりではなく、どちらかと言うとすぱっという終わりで、読んでいてすっきりした。
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トルコに行く際に、歴史を知りたいなと思って買った本。1853年、ビザンツ帝国の首都・コンスタンティノープルの陥落を史実に基づいて描いたお話。旅行中、バス移動のなかでちょこちょこ読み進めていくのが楽しかった。 舞台は現在のイスタンブール。かつてのコンスタンティノープル、ヨーロッパ...
トルコに行く際に、歴史を知りたいなと思って買った本。1853年、ビザンツ帝国の首都・コンスタンティノープルの陥落を史実に基づいて描いたお話。旅行中、バス移動のなかでちょこちょこ読み進めていくのが楽しかった。 舞台は現在のイスタンブール。かつてのコンスタンティノープル、ヨーロッパとオリエントが混ざり合い独自の文化を築いた壮大な都。 キリスト教圏の都として栄えた街は、オスマン帝国の若いスルタンの野望によって奪い取られていく。西洋一の難攻不落と名高い城塞が陥落する日に向けてのカウントダウンが、コンスタンティヌス皇帝とマホメッド二世を中心とした様々な人々の視点から進んでいきます。 高校生のころ世界史の授業で勉強したはずだけど、単語しか覚えてなったから頭の整理にちょうどよかった! 古代ローマの母胎が崩壊していく様が悲しくも壮大。長い攻防の末、帝国に最期の瞬間が近づいてくるのが、なんとも切なかった。色んな時代の空気、色んな人々の感情、たくさんのものが混ざり合っているから、この街はこんなにも美しいのかもなあ。 イスタンブールには沈みゆく夕陽が似合う。
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【印象】 1453年。焦点、白熱、灰。 東ヨーロッパと西アジアの合する地で守る者と攻める者。 極めて対照的な諸々が交わり、その帰結。 【類別】 小説。史実は下敷き。 戦争、多少の群像劇の要素。 【構成等】 脚色が為されており、物語としての流れがあります。 従って歴史に全く疎い...
【印象】 1453年。焦点、白熱、灰。 東ヨーロッパと西アジアの合する地で守る者と攻める者。 極めて対照的な諸々が交わり、その帰結。 【類別】 小説。史実は下敷き。 戦争、多少の群像劇の要素。 【構成等】 脚色が為されており、物語としての流れがあります。 従って歴史に全く疎い人でも楽しめるものでしょう。 【表現】 平易です。 一部、語の選び方と配列が効果的ではない印象を受けました。
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ローマ帝国の最後、ビザンチン帝国の最後をつづった物語。国の最後、攻める側・守る側の双方から見た人々の想いと行動。ほんとうにその場にいるかのような詳細な記述と物語の進行には感服です。 ローマ人の物語を読んでいたので、感慨深く読めました。のこり2巻にも期待して読みたいと思います。
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コンスタンチープルからイスタンブールへ、 世界史的にも画期となった壮大な物語が、 比較的コンパクトに綴られた、たいへん読みやすい小説だ。 塩野七生の小説は外れがない。 読みはぐれていた、「海の都の物語」を読み始めた。 一生のうちに一度は、イスタンブールとベネチアに行ってみたい...
コンスタンチープルからイスタンブールへ、 世界史的にも画期となった壮大な物語が、 比較的コンパクトに綴られた、たいへん読みやすい小説だ。 塩野七生の小説は外れがない。 読みはぐれていた、「海の都の物語」を読み始めた。 一生のうちに一度は、イスタンブールとベネチアに行ってみたい。
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都市が死ぬのって人が死ぬよりドラマだなぁ。国が滅びるときは、人格者が治めていようが、実力のある家臣がいようが、滅ぶときは滅ぶって感じ。
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相変わらず面白い本だった。この本の面白さは、時代や背景・状況描写はもちろんのこと、登場人物の多さなのではないだろうか。 ビザンチン帝国の皇帝とオスマン・トルコの皇帝を中心に、皇帝の腹心の部下やスルタンの部下や侍従たち。ヴェネツィアの海軍士官や商人、ジェノヴァの商人、さらには、カトリックの司教と正教会の司教などなどたくさんの背景を持った人物が登場したが故の面白さであると思った。 また、この本というか戦いでは、その守りたい場所に対する思い入れの強さがバラバラであっては、いくら強くても、心理的に負けていってしまうということを伝えているようにもかんじた。
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トルコ出張中に読了。現イスタンブールの街を舞台に、トルコ帝国が攻め、ビザンチン帝国が護る。コンスタンチノープル最後の日に向けての、男たちの物語(女性面白いぐらい出てきません)。 ガラタ塔から夕日をながめては、迫りくるトルコ人を眺めたジェノバ人たちの心理を思い、アヤソフィアでは最...
トルコ出張中に読了。現イスタンブールの街を舞台に、トルコ帝国が攻め、ビザンチン帝国が護る。コンスタンチノープル最後の日に向けての、男たちの物語(女性面白いぐらい出てきません)。 ガラタ塔から夕日をながめては、迫りくるトルコ人を眺めたジェノバ人たちの心理を思い、アヤソフィアでは最後のミサに流れた空気を思い、城壁を見ては、勇猛果敢に壁をよじのぼったトルコ兵たちの汗と血がしみてんのか・・・と見入ってみたり。車窓からイスタンブールの街並みを眺めては、トルコ兵の布陣を思い出し、数百年前の攻防戦の影を重ねてみる。ちょっとでも歴史を知っていると、過ごす時間が深まって楽しい。想像でしかないのだけれど、旅って何も知らないで行くと吸収することで精一杯で、想像力働かす余地もないことが多いから(それがまた楽しいときもあるけども、仕事で行く国については想像力のスイッチも入れていきたいところ。) イスタンブールを訪れる方は、事前に読んでみてはいかがでしょうか。物語調なので歴史書苦手な私でもするっと読めました。この本が興味の火付け役となってくれたので、このあともう少し堅い歴史本で、ビザンチン帝国が弱体化するまでの歴史や、トルコの歴史についての知識を入れよう。
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再読。西暦330年から1123年間も続いたコンスタンティノープルの陥落を、何人もの同時代者の資料を駆使して再構成された壮大かつ細密な歴史物語。それは、ある意味では東洋(マホメット2世)と西洋(ヴェネツィア、ジェノヴァ、法王庁他)との対決でもあり、同時に中世騎士の世界の終りでもあっ...
再読。西暦330年から1123年間も続いたコンスタンティノープルの陥落を、何人もの同時代者の資料を駆使して再構成された壮大かつ細密な歴史物語。それは、ある意味では東洋(マホメット2世)と西洋(ヴェネツィア、ジェノヴァ、法王庁他)との対決でもあり、同時に中世騎士の世界の終りでもあった。
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