コンスタンティノープルの陥落 の商品レビュー
初めて塩野七生の本を読んだのは、「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」で、私は速攻ファンになった。今も繰り返して読みたい本の中には、その一冊は必ずはいっています。この本も同じくらい素敵だった。もっと早く読めばよかったと後悔しかない。学生の歴史の教科書に味気なく綴られ、...
初めて塩野七生の本を読んだのは、「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」で、私は速攻ファンになった。今も繰り返して読みたい本の中には、その一冊は必ずはいっています。この本も同じくらい素敵だった。もっと早く読めばよかったと後悔しかない。学生の歴史の教科書に味気なく綴られ、テストの為にいたしかなく暗記した事柄が、こんなにも肉厚で血流のかようロマンティックでドラマチックな現実だったとは。あの頃の私に薦めてあげたい一冊です。海戦三部作なので、次の「ロードス島攻防記」も否応なしに期待が高まりますね。
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若きスルタン、マホメッド二世によるビザンツ帝国首都コンスタンティノープル征服のお話です。 コンスタンティノープルがイスタンブールとなってからも変わらないのが、西欧、東欧、アジアの通商交通の拠点であり、東ローマ世界における最重要都市であることです。 経済的要所に加えて、東方正教会の...
若きスルタン、マホメッド二世によるビザンツ帝国首都コンスタンティノープル征服のお話です。 コンスタンティノープルがイスタンブールとなってからも変わらないのが、西欧、東欧、アジアの通商交通の拠点であり、東ローマ世界における最重要都市であることです。 経済的要所に加えて、東方正教会の総本山でもあります。 この都市の征服を実直に進めるトルコを止める力は、既にギリシア世界にもカトリック世界にもなかったのです。 斯くして、コンスタンティノープルはコンスタンティノス11世と共に滅びることになります。 その時代に翻弄される人々が生き生きと描かれた一冊。
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永遠の都にも終わりがきます。 世界史の中で3つの大きな出来事を挙げよ と言われたら間違いなくこの出来事が入ると高校時代に習いました。 それだけ、ローマ帝国という存在、コンスタンティノープルという存在は地中海世界に対して大きな影響があったのだと思います。
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ハラハラする展開、西欧諸国が少しでも違った動きをしていれば違った歴史になっていたのだなという、コンスタンティノープルの無念さも感じる。 ところで登場人物の名前が覚えられない。(覚えるほど印象に残らない人物が多い)地名も良くわからない。 歴史小説ということである程度知られていることが前提なのでしょうね、歴史小説は読み方が難しいと思った。
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1000年続いた東ローマ帝国ホテルがトルコの侵攻により滅亡した日を描いた歴史小説。登場人物が多くて背景や描写が緻密。読むとイスタンブールに行きたくなる。
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悲しいねえ オスマントルコの大群が時間をかけてコンスタンティノープルに襲いかかっているというのに、長期間に亘り持ち堪えているというのに、周辺国は見向いてくれないのだから。 古代ローマ時代は違ったよな、ガリアで反乱があっても、東方の属国で反乱があっても、挙国一致で防衛してたもんな...
悲しいねえ オスマントルコの大群が時間をかけてコンスタンティノープルに襲いかかっているというのに、長期間に亘り持ち堪えているというのに、周辺国は見向いてくれないのだから。 古代ローマ時代は違ったよな、ガリアで反乱があっても、東方の属国で反乱があっても、挙国一致で防衛してたもんなあ なぜだろう。国が違うだけじゃないだろう。 オスマントルコが強すぎたのか
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今回も再読、初読みは「ボルジア」と同じ20年くらい前です。 東ローマ帝国の首都として一千年余も栄えたコンスタンティノープル。独自の文化を誇ったこの都も、しかし次第に衰え、15世紀後半には、オスマン・トルコ皇帝マホメッド二世の攻撃の前に、ついにその最期を迎えようとしていた・・・。 (本著裏表紙あらすじより) 読了は2回目ですが主人公の一人、トルコ皇帝マホメッド二世の言葉「あの街をください」が非常に印象的で読み始める前から思い出していました。セリフの意味的に序盤で出てくる言葉なんですけど、この言葉は本当に印象的でした。 「ローマ人の物語」とは違いフィクションを多少織り交ぜているような、小説風な書き方をしている箇所が多く、改めて「ローマ人の物語」より読みやすく感じました。著者の作品は小説というよりも解説書に近いと常々思っていたんですが、初期の作品は小説的な部分も多かったんですよね。 そういう意味では著者作品の中で最初に読み始めるのには本作などは向いているかな、と思いました。
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「コンスタンティノープルの陥落」 塩野七生のだいぶ以前の著作で、昭和58年の刊行である。 「ローマ亡き後の地中海世界」にはコンスタンティノープルの陥落についてはこの著作に書いてあるので省略となっていたので読んでみた。 読んでみるとやはり「ローマ亡き後の地中海世界」とは書き方が少々...
「コンスタンティノープルの陥落」 塩野七生のだいぶ以前の著作で、昭和58年の刊行である。 「ローマ亡き後の地中海世界」にはコンスタンティノープルの陥落についてはこの著作に書いてあるので省略となっていたので読んでみた。 読んでみるとやはり「ローマ亡き後の地中海世界」とは書き方が少々違う。 「ローマ人の物語」のように大きな歴史をとらえるという感じではなく、コンスタンティノープルの陥落をビザンチン側とオスマントルコ側からそれぞれの人物を通して描いている。ヨーロッパ側の資料が多いせいかオスマントルコ側の記述がややあっさりしているように思う。 周りの陸地を囲まれ圧倒的に不利なビザンチン側の状況と強大な陸上兵力のトルコ側の戦いの様子がスリリングだ。海戦ではかなり有利なヴェネツィアの戦い方も、さすがに補給が断たれてはオスマントルコを押し戻すのは難しい。もう少し海上補給がうまくいけばオスマントルコも撤退したかも知れない。 また、当時の地中海世界の国際状況、ヴェネツィアとジェノバの海外覇権の争い、ヨーロッパとオスマントルコの外交関係が複雑で興味深い。現代とそれほど変わらないように感じる。 コンスタンティノープルで戦い、生き延びた人たちがその後どうなったのかを追っており、最後のエピソードが深い余韻を残し面白い。 そして、ビザンチン帝国がなくなったことでローマが終わったとヨーロッパでは考えられるようになり、いかにヨーロッパではローマの影響が大きかったのかよくわかる。
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現在イスタンブールと呼ばれているトルコ最大の都市は、かつてはコンスタンティノープルと呼ばれるビザンチン帝国の首都であった。 ビザンチン帝国は、ローマ帝国から派生したが、キリスト教を国教とし、ギリシア語を使うなどローマ帝国とは、非常に異なる文化として発展した。 また、非常に伝統主義...
現在イスタンブールと呼ばれているトルコ最大の都市は、かつてはコンスタンティノープルと呼ばれるビザンチン帝国の首都であった。 ビザンチン帝国は、ローマ帝国から派生したが、キリスト教を国教とし、ギリシア語を使うなどローマ帝国とは、非常に異なる文化として発展した。 また、非常に伝統主義かつ権威主義的でありであり様式化された儀式を重んじる特徴があった。 (英語の辞書で"Byzantine"と引くと"複雑で難解な"という意味の形容詞にもなっている) ローマが滅亡した後も約千年に渡り存続したが1453年トルコにより占領され、ビザンチン文明は、その幕を閉じた。 この物語は、コンスタンティノープル攻防を描いたドラマである。 作者は、様々な資料からこの事件に立ち会った人々の人物像を再構成し、この一つの文明の終焉のドラマを多様な人間の視点から活写している。 この攻防戦がどのような経緯で始まりそして終結したかが、まるでドキュメンタリーを見ているような感じで語られ、非常に分かりやすかった。 また、作者の想像で補っていると思われる部分のドラマも非常に良い感じで、物語としての面白さを増していると思う。 しかし、ローマもビザンチンも滅亡時の皇帝の名前が建国者と同じとは、なにか運命のようなものを感じさせる。
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イスタンブールへ向かう飛行機の中でこの本を読んでみた。面白い。世界史の授業では興味のもてなかったビザンツ帝国の最後。単に暗記することが求められた学生時代とは違って、旅をより楽しむために歴史を学ぶ。改めて世界史や地理を学び直したいと思う今日この頃。
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