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万延元年のフットボール の商品レビュー

4.1

69件のお客様レビュー

  1. 5つ

    33

  2. 4つ

    7

  3. 3つ

    13

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

    2

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すごい作品です。短編…

すごい作品です。短編以外では、個人的にはこれがベストです。

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純文学だから、と敬遠…

純文学だから、と敬遠している人もぜひ読んで欲しい。理屈ぬきに面白い!クセのある文章ですが、慣れてくるとハマリます。

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なんといっても、使わ…

なんといっても、使われている言葉が難しい!理解しながら読むのに時間がかかりました。哀しい兄弟愛がうまく描かれています。

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文学史に残る名作!!…

文学史に残る名作!!時代をうまく捉えた一作!!

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2024/03/27

再読。文体が合うかどうかでだいぶ印象が変わる小説だと思います。長く、やりすぎなほど長く続くセンテンスと、美しい比喩表現、そして登場人物の「翻訳口調」。どこを切り取っても常人では成し得ない高い技巧が凝らされており、読んでいて目眩がするほどです。特に1章にあたる部分ではその独特の文体...

再読。文体が合うかどうかでだいぶ印象が変わる小説だと思います。長く、やりすぎなほど長く続くセンテンスと、美しい比喩表現、そして登場人物の「翻訳口調」。どこを切り取っても常人では成し得ない高い技巧が凝らされており、読んでいて目眩がするほどです。特に1章にあたる部分ではその独特の文体が濃厚に発揮されていて、とぐろを巻くような言葉の連なりに酩酊感を覚えててしまう。2章以降はある一定のテンポが生まれ、上記した「翻訳口調」という部分が強調されてくるのですが、私この翻訳口調すごくすきなんですよねー。話の内容はまさしく”文学”って感じなのに、この口調のせいで妙な軽さ、そして奇妙さが備わっているのです。まるで邦画を観ながら翻訳された字幕を読んでいるとでもいうか、なんというか。中上健次のどろくさい文体とも、村上春樹の詩的(すぎる)な文体とも違う、この人にしか出せない「音」が文体から聞こえてくる気がします。 舞台となるのは1960年代の四国。谷間の村に妻と弟とともに訪れた”密三郎”を語り手として、この村で起きた一揆について綴られていく。学生運動に対する内省、戦後からの復興、朝鮮人、天皇、地方に浸透していくスーパーマーケット……。時代の転換点を見極め、作者自身が何事かに”ケリ”を付けるために書かれた本作は、熱量、完成度、文章の美しさ、読み物としての純粋な面白さ、すべてが高水準であり、そりゃノーベル賞だって取っちゃうよなあと感じます。 むかし読んだときはひどく暴力的で凄惨な展開が目に付いたのだけど、再読してみるとむしろ”密三郎”の思考の流れとか、”鷹四”との会話とか、文体の面白さとか、そういう内面的な方に魅力を感じたな。解像度があがるというのはこういうことなのだろうか。作者の真剣さが小説そのものに、言葉そのものに宿っており、読む側が真剣に読めば、それだけ多くのものが返ってくる。そんな豊潤さ。じっくり時間をかけて読み、頭がくたくたになりながらも、読み終わったときはしあわせな気持ちになっていた。これは神話ですね。現代を舞台とした神話。土俗的で政治的でありながら崇高さも持ち合わせているすごいやつ。こういうのを世界文学というのでしょう。 ちなみに私、大江健三郎の本はこれ一冊しか読んだことがなかったのですが、本書を再読してこれから他の本も読んでいきたいなーと思いました。一生かけて付き合っていってもいいと思える作者な気がするので。

Posted byブクログ

2024/02/15

難しくて断念。500ページくらいあります。読むの時間かかると思うので、図書館で借りるより、買った方がいいかもです。

Posted byブクログ

2024/01/27

「死者の奢り・飼育」が面白かったので、文学YouTubeでおすすめされていた本作を手に取ってみた。 冒頭から度肝を抜かれ、圧倒される。謎だらけの不思議な読み心地。登場人物の誰にも共感できない。なのにぐいぐい引き込まれる。 後半は怒涛の展開で、怖さもあった。 読了後は呆然。難解で解...

「死者の奢り・飼育」が面白かったので、文学YouTubeでおすすめされていた本作を手に取ってみた。 冒頭から度肝を抜かれ、圧倒される。謎だらけの不思議な読み心地。登場人物の誰にも共感できない。なのにぐいぐい引き込まれる。 後半は怒涛の展開で、怖さもあった。 読了後は呆然。難解で解説や書評を読み漁っている状況だ。 友人の凄まじい死に接し、無気力に穴に閉じこもる兄。障がいの赤子を産み、アルコールに溺れるその妻。 それに対して行動的で、人に影響を与え求心力を持つ弟。  1960年代の四国の谷間の村を舞台に 弟は谷間の若者を集め、フットボールを始め、組織化し暴動を起こすまでに至る。 お祭りのような感覚。 それを冷ややかに見つめ、批判する兄。 過去の思い出も記憶に違いが出てくるが、素直に認め合う事はせず、弟の美しい記憶を傷つけていく兄。兄の執拗な弟に対する言葉による攻撃が、次第に効いてくる。 100年前、万延元年に起きた一揆の真実に迫りながら、生き方を探していく。 戦後の復興、学生運動の終焉、土地買収、スーパーの進出、日本人と朝鮮人の対立、田舎の閉塞感、息苦しさ、生活の変化、過剰なエネルギーを持つ若者、集団の狂気、洗脳、病む若者、障がいのある子を持つという事… 拾いきれない。多くのテーマが描かれている。 読了後、この小説の意味をずっと考えている。 ただただ衝撃的で、圧倒された。 簡単ではない。答えは出ない。でも考え続ける行為を含め感じればいいのかなぁ、と思い始めている。 大江文学の転換期となった本作。とても深い。 貴重な読書体験となった。

Posted byブクログ

2023/10/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読後の衝撃たるや。それは深部に残り続けるだろうと思います。 友人の不可解な死に導かれ、夜明けの穴にうずくまる僕・根所蜜三郎。 地獄の憂悶を抱え、安保闘争で傷ついた弟の鷹四。 僕の妻・菜採子は、重度の精神障害児を出産してから、アルコールに溺れるようになった。 アメリカでの放浪を終えた鷹四が帰国したのを機に、苦悩に満ちた彼らは故郷・四国の谷間の村を目指して軽快に出発した。 鬱積したエネルギーを発散する鷹四は彼を支持する若者らの信奉を得て、谷間でフットボール・チームを結成する。やがて鷹四に率いられた青年グループを中心に、万延元年(1860年)の一揆をなぞるような暴動が神話の森に起こり…。 大江健三郎の最高傑作とも評されるのも頷ける長編。生硬かつ濃密な文体で綴られる、生きる苦しみ。 ひたすらに内省的な僕「蜜」は、27歳にしてすでに諦観の境地に達したか。 対照的に、その弟「鷹」は、自我を引き裂かれた怪物のような青年で、幕末の一揆を彷彿とさせる暴動を先導する。 「新生活」を始めるため、彼らは故郷・四国の谷間の村に行ったが、地元の青年たちの支持を集めてカリスマ性を発揮する鷹に対し、蜜は倉屋敷に閉じこもり思索に沈む。 内向的すぎてもはや何の行動も起こさない蜜にとって、鷹は血を分けた弟とはいえ、到底理解できる相手ではなく、憎悪の対象でしかない。 たしかに、幕末の一揆を引き起こした曾祖父の弟に自分を重ね、自己陶酔に浸る鷹は恐ろしい存在ですし、絶縁して当然ですが、蜜は弟の暴走を止める対話をできたのでは?しかし、そこは妻がずばり指摘してましたね。 それらすべてを抱え、蜜は再生に踏み出せるか。深遠な問いに読者も道連れにされる、果てしなく重い作品でした。

Posted byブクログ

2023/09/30

積読5年、意を決して3ヶ月かけて読了。 フットボールの祭典が終わった後のような、達成感と疲労感。 雪の降り始めとともに起こった暴動が、雪が溶け始めるとともに崩壊に向かう。難解な文体にようやく慣れた頃に、その文学的表現に気づいて鳥肌が立つ。 愛媛の松山から宇和島までJR予讃線で...

積読5年、意を決して3ヶ月かけて読了。 フットボールの祭典が終わった後のような、達成感と疲労感。 雪の降り始めとともに起こった暴動が、雪が溶け始めるとともに崩壊に向かう。難解な文体にようやく慣れた頃に、その文学的表現に気づいて鳥肌が立つ。 愛媛の松山から宇和島までJR予讃線で旅をして、内子駅も通過。その車中でもこの本を読んでいたのだが、「谷間の村」が内子のさらに奥にあったとは!

Posted byブクログ

2023/09/09

大江健三郎さんの最高傑作との呼び声がある、この「万延元年のフットボール」を読了。難解と評判あったので、楽しく読了できるか不安だったが、独特の考えられた美しい比喩を交えた長い文体(悪くいえばまどろっこしいけど)に最初は戸惑うが、だんだんそれが病み付きになってくる。 もうこれは、ノー...

大江健三郎さんの最高傑作との呼び声がある、この「万延元年のフットボール」を読了。難解と評判あったので、楽しく読了できるか不安だったが、独特の考えられた美しい比喩を交えた長い文体(悪くいえばまどろっこしいけど)に最初は戸惑うが、だんだんそれが病み付きになってくる。 もうこれは、ノーベル文学賞を取るべくして取ったとしか言いようがない。 四国の万延時代の一揆と現代の暴動をクロスさせ、独特の登場人物たちが繰り広げるリアリティな物語に飲み込まれてしまった。後半の展開は衝撃すぎて言葉もない。ラストわずかな希望で終われたのはとても救いがあった。

Posted byブクログ