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万延元年のフットボール の商品レビュー

4.1

73件のお客様レビュー

  1. 5つ

    35

  2. 4つ

    8

  3. 3つ

    13

  4. 2つ

    4

  5. 1つ

    2

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2013/02/07

古典文学を再度チャレンジしてみたが、数十頁で断念。どうしてこう暗い心理描写が続き読みづらいものか。。

Posted byブクログ

2012/08/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

親友の死と暗い過去を背負う男と、障害を持った子供の養育を放棄した妻、アメリカへの遊学から帰国した弟の3人が、故郷である四国で生活を始めるところから物語が始まる。 行動派の弟は、早速彼の二人の親衛隊とともに、若者を集めてフットボールチームを作る。彼ら兄弟の先祖は100年前、村の一揆の指導者であった。弟はそれを倣い、若者たちと次々と政治運動を起こす。 語り手である兄は、対照的にぼうっとしていてる傍観者だ。 後半は次々と事件が起こり、物語がめまぐるしく展開されていく。 何と言っても、倉屋敷で弟が兄に過去の過ちを告白するシーンが見所。 全体的に常にどんよりとブラックな雰囲気が流れる。そして戦争という裏テーマもあるだけに、目をつぶりたくなるような描写もある。(字だけでも私は映像のように頭で再現してしまう) そして、ほぼ主人公の一人称で進行していくため、台詞も少なく、改行もなく、頁数も結構なものであり、かなり読み終わるのに時間がかかってしまった。 弟に妻を寝取ってしまったのに平然としすぎな兄には心底腹がたったが、やはり多くの文献を参考にしただけあって、とても濃密な作品。 ただ、もうすこし改行してください。。

Posted byブクログ

2012/05/15

障害を持つ子どもを抱える兄とアメリカ帰りの弟が高知県の村へ移り住み、曽祖父が起こしたという万延元年の一揆を現代に起こそうとする。ノーベル文学賞作家大江健三郎の代表作。又吉のおじいちゃんを思い出すらしい。

Posted byブクログ

2011/12/17

 戦後日本文学史における最大の跳躍点は、大江健三郎から村上春樹への過程なんじゃないだろうか、これが読了後の正直な感想。別に間に中上健二を挟んでもいいかもしれないけど。  ノーベル文学賞受賞者でもある著者の最高傑作ともいわれる本書において重要な要素は3つ。一つは、戦後民主主義の一つ...

 戦後日本文学史における最大の跳躍点は、大江健三郎から村上春樹への過程なんじゃないだろうか、これが読了後の正直な感想。別に間に中上健二を挟んでもいいかもしれないけど。  ノーベル文学賞受賞者でもある著者の最高傑作ともいわれる本書において重要な要素は3つ。一つは、戦後民主主義の一つの沸点である安保闘争の挫折という政治的要素。二つ目が、万延元年?つまり、発表された1967年よりおよそ100年前から伝承されている先祖の話や兄弟関係といった、血縁関係。最後の一つが、舞台となる主人公の故郷である、四国の山奥という土着的共同体という社会。この、政治・家族・社会という3つの要素が絡まり合う重層的な寓話であることが、60年代という沸点を示していると同時にどこか"過去の小説"という印象を与えてしまうのだ。  そして、村上春樹だ。彼が1980年に発表した2作目のタイトルは本書をもじった『1973年のピンボール』。そこには"翻訳家"、"鼠"といった本書と同様のモチーフが扱われている。ただし、最大の相違点として、村上春樹は上記で示した"政治・家族・社会"というエレメントについて、全く触れる事はない。そこで書かれるのは都会的な生活を営む家族関係が不明な主人公が他者との関係をいかに築くかという点であり、社会的とか人生と言うものは幻想なのだとすっと出している(イメージで書いてます)。そして僕等はそのような物語にこそ、共感しやすい文化で暮らしている。  もちろん、これはどちらが良くてどちらが悪いという話じゃない。ただ、このようなパラダイムの変化に無自覚でいると、本当に面白い物に気が付かないままでいるよ、って話。こっちの方が楽しいよ。

Posted byブクログ

2011/08/22

カラマーゾフ読み終わってから毎日ベローチェに通ってます。 気持の入った読書の時間じゃないと、とっつきにくかったかもしれないなと思いました。僕には難解なところも多かった。 「期待」のない主人公がアメリカから帰ってくる弟、その親衛隊、障害を持った子供を産んだ妻とともに「草の家」「新...

カラマーゾフ読み終わってから毎日ベローチェに通ってます。 気持の入った読書の時間じゃないと、とっつきにくかったかもしれないなと思いました。僕には難解なところも多かった。 「期待」のない主人公がアメリカから帰ってくる弟、その親衛隊、障害を持った子供を産んだ妻とともに「草の家」「新しい生活」を見つけるべく森に入る。 万延元年の一揆の首謀者である曾祖父の弟に自分を重ね合わせる、弟。それを客観的にとらえる主人公。 精緻な構成に、圧倒されました。「本当のこと」に引き裂かれる弟の描写、結び付けられていく事実。非常に面白かったです。 読後の感情をうまく文章化できるんじゃないかと期待して、時間をおいてもう一度読み直したい。 嘲弄っていう言葉を使いだしそう

Posted byブクログ

2011/06/04

題もそうですけど「スーパーマーケットの天皇」とか、やっぱり大江さんはなんというか言葉の選び方が独特です。 高橋源一郎さんが、「大江さんは偉大な無意識の作家」みたいなことをおっしゃっていますが、なるほどと思った。またその視点で読み直したい。

Posted byブクログ

2011/05/29

大江健三郎の文は最初で引き込まれる。特に哲学めいたことが好きな人にはたまらない。 ただ、入り口が分からないと全く入れない。 入るとたまらない。 文に頭が焼かれる。 なんで、この作品はあまり文庫なんかでも出版が少ないんだろうと思わされる。 こんなに迷作なのに。 ただ、大江健三郎...

大江健三郎の文は最初で引き込まれる。特に哲学めいたことが好きな人にはたまらない。 ただ、入り口が分からないと全く入れない。 入るとたまらない。 文に頭が焼かれる。 なんで、この作品はあまり文庫なんかでも出版が少ないんだろうと思わされる。 こんなに迷作なのに。 ただ、大江健三郎は駄作もある。 特に悪い意味で知的ぶった作品なんかは読むに耐えない。 ただ、万延元年は、文学好きならマスト本だと自信を持っておすすめできる。 そういうこと。

Posted byブクログ

2011/03/25

私のアイデンティティというものについて、自分なりに消化できたところが、あったような気がする。ちゃんと読書感想文を書きたい。 ・「恥」のコミュニティに生きる人々の内面と行動について ・蜜三朗の心持ちと連動するかのような、文体 ・はたから見ると宙ぶらりんのようで、でも主人公にとって...

私のアイデンティティというものについて、自分なりに消化できたところが、あったような気がする。ちゃんと読書感想文を書きたい。 ・「恥」のコミュニティに生きる人々の内面と行動について ・蜜三朗の心持ちと連動するかのような、文体 ・はたから見ると宙ぶらりんのようで、でも主人公にとっては確実な、ラストの一歩の、しっくり感 ・最後の解説がまた一層織りなしてて素晴らしい P93「uprootedという言葉をアメリカでたびたび聴いたんだが、おれは自分の根を確かめてみようとして谷間に戻って来て、結局おれの根が、もうすっかり引きぬかれていて、自分は根なし草なんだと感じはじめたよ、おれこそuprootedだ。」 P164「私たちが蜜のいうとおりに、とりかえしがつかないと認める時が来たら、私たちはお互いにもっと優しくなるかもしれないわ」 P320「それは蔵屋敷の高みから谷間を見おろしている厭世家の、誤った展望にすぎないよ、蜜」 P368「『暴動』の日、かれらはその『恥』そのものを正面から引き受けることによって破壊力を獲得し、お互いに結びつきあったのだ。」 P395「昨夜ずっと考えているうちに、私たちがその勇気さえ持てば、ともかくやり始めることはできると思えてきたのよ、蜜」

Posted byブクログ

2011/01/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ノーベル文学賞を受賞した作家の作品とはどのような作品なのかということに関心をもって本書を読んでみた。話の序盤では、苦渋に満ちた登場人物たちが四国の村を目指すシーンがあり、そこでは軽快ささえ感じられる。しかしクライマックスはあまりにも衝撃的なものだった。難解な文章をくぐり抜けこれほどまでに印象深い結末を迎えるとは予想もしなかった。

Posted byブクログ

2011/01/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

大江健三郎の代表作といってもいい作品。村上春樹の本を読んでいた自分が、この本を読むことで、一気に大江の大ファンになった。裏表紙には、上手いこと書いてあるが、内容は極めて、下品さと道徳の崩壊を記してある。この本も、実存主義の本であり、鷹が死ぬとき、猛烈なクライマックスを迎える。音が実際に響いてくるような本だった。

Posted byブクログ