初秋 の商品レビュー
スペンサーシリーズ7…
スペンサーシリーズ7作目。ハードボイルドの心を新たな局面で感動的に謳い上げた傑作。スペンサーと少年の交流が素敵です。
文庫OFF
毎年この季節になると読みたくなる。ちょうどリトルダンサーのデジタルリマスターを映画館で観たことがまた手に取るきっかけとなった。そしていつもここからまたジムで筋トレしたくなる。
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スペンサーシリーズ。 帯によるとこの時スペンサーは40代半ば。出版は1981年 今生きているとすると88歳ぐらいか? この世代が長命であることと、スペンサーが健康オタクだったことからすると 恨みをもった昔の敵から命を奪われることがなければ間違いなく存命中だろう。 そんなことを思い...
スペンサーシリーズ。 帯によるとこの時スペンサーは40代半ば。出版は1981年 今生きているとすると88歳ぐらいか? この世代が長命であることと、スペンサーが健康オタクだったことからすると 恨みをもった昔の敵から命を奪われることがなければ間違いなく存命中だろう。 そんなことを思いながら読んだ。あまりにも身勝手な両親から駆け引きの道具に 使われている少年を救い出すために自立させるための教育を見返りを求めずに 実行する。その理由を恋人から質問されても明確には答えていないが、読者には 理解できるのだ。スペンサーならそうするだろうと。 ただ、現代の考え方からすると彼のスーザンに対するつきあい方は自分都合が 強すぎないかと思う。むかしは感じなかった読後感だ。 年老いたスペンサーはいまも変わらずにいるのだろうか。 手書き風の帯には早川書房女子社員のオススメ本とあっていまもこういう強引な男が好まれているらしいことにも気づきがあった。
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先輩に教えてもらい、ロバートBパーカーのハードボイルド物を初めて読んだ。 チャンドラーも同じジャンルということらしいが、比較するとこちらの方がはるかに理解しやすい内容だった。 解説を読むと、スペンサーはハードボイルドにしては珍しくおしゃべりなんだとか。 料理をする描写や、筋トレに励む姿など、少し村上春樹の小説の主人公にも似ているとも思いながら読んだ。 スペンサーシリーズはたくさんあるようなので読む楽しみが増えた。
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「いいか、自分がコントロールできない事柄についてくよくよ考えたって、なんの益にもならないんだ」 ハードボイルドと呼ばれるジャンルの1作らしい。ハードボイルドと聞くと男らしさとか渋いとかそんなイメージあるけど、思ったより視点はフラットだな。 最初は読みづらさあるけど、慣れてくる...
「いいか、自分がコントロールできない事柄についてくよくよ考えたって、なんの益にもならないんだ」 ハードボイルドと呼ばれるジャンルの1作らしい。ハードボイルドと聞くと男らしさとか渋いとかそんなイメージあるけど、思ったより視点はフラットだな。 最初は読みづらさあるけど、慣れてくる後半にかけて面白くなってくる。内気な少年が自己を確立していく展開はやっぱり見てて気持ちが良い。
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「座右の銘」とゆうのがありますが、「座右の書」とゆうのもある、と聞いたことがあります。 僕の座右の書は、まちがいなくコレです。 (今のところ) もう6回ほど読んだかな。6回とも涙が止まらない。「思い出し笑い」とゆうのがありますが「思い出し泣き」とゆうのもあるのではないでしょうか。...
「座右の銘」とゆうのがありますが、「座右の書」とゆうのもある、と聞いたことがあります。 僕の座右の書は、まちがいなくコレです。 (今のところ) もう6回ほど読んだかな。6回とも涙が止まらない。「思い出し笑い」とゆうのがありますが「思い出し泣き」とゆうのもあるのではないでしょうか。 5回まではラストシーンで号泣。6回目は本編前にすでに号泣。それは何故か? 6回目は、息子が産まれた後に読んだからです。読めば解りマス。すべての男性に、すべての父親に、読んで欲しい作品。 ボクたち男は、時代の流れに、逆行するべきだ。
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映画「海辺の家」に似た父と子が家を建てる話のように思ったが、スペンサーと、親に見捨てられた子という設定は少し違った。 両親が自分の都合で、押し付けあったり 、取りあったりする家庭の中で育った息子は、当然普通でない。 そこに関わりあったスペンサーという探偵は、数ある探偵の枠には...
映画「海辺の家」に似た父と子が家を建てる話のように思ったが、スペンサーと、親に見捨てられた子という設定は少し違った。 両親が自分の都合で、押し付けあったり 、取りあったりする家庭の中で育った息子は、当然普通でない。 そこに関わりあったスペンサーという探偵は、数ある探偵の枠にははまらない。さまざまに個性的な探偵とは一味違った持ち味がある。スペンサーはごく普通の、真っ当な探偵で、私生活に乱れもない。体を鍛え、調理をして、生活はきちんと管理している。 それでも、彼の生きている世界はなかなかくせのある環境で、友達もそれなりに裏があったりするが、その中で智恵を働かせわなを仕掛け、それでも泳ぎ切っていると言うのが、スペンサーシリーズの面白くいいところだ。 そんな彼が、生きることに無関心で、周りに目もくれない少年をなんとか自立させようと思う。嫌な親に目も心も閉ざして、世界は自分の中だけだった15歳の男の子を引き取り、育てようとする。 離婚した両親には金に絡んだ思惑もあって、未だ金づるになる息子を手放そうとしない。 そこでスペンサーが探偵業を駆使して、両親の弱みを握り有無を言わさず追い詰める、なかなか胸のすくところ。 少年は、家を建てようというスペンサーに無関心だったが、彼は強引に自分の生き方を教え込む。男が未だ男らしかった頃の、男らしさを教え込むのが面白い。 しかし少年も、未だまっすぐなところが残っている。おしゃべりなスペンサーの話には難解な詩や文章が混じる。それを「どういうこと?」と聞くのがまたほほえましい。 少年の好奇心は、これも前向きでほほえましい。 家が建ち、少年は心身ともに成長する。背が伸び筋肉がつき若者らしい将来の目標も持つ。 読みやすく、おせっかいなスペンサーの面目躍如、感動的な一冊だった
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以前この書評( http://dain.cocolog-nifty.com/myblog/2011/02/post-b255.html )を読んでから読みたいと思っていて、ようやく読んだ。なかなか良かった。しかも海外の翻訳小説は久しぶり。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
高校を卒業して、浪人している頃、やはり同じように浪人している読書好きの近所の友人が、時折訪ねて来て、筒井康隆や大藪春彦を僕に頻りに勧めた。 僕は少し前に映画化された「野獣死すべし」を一度読んではいたのだが、あまり印象に残っていなかったが、再読して、大藪春彦に夢中になってしまった。 多分、浪人という抑圧された環境が、大藪の小説にカタルシスを求めたのだろう。 それから、チャンドラーやハメットなども齧ったが、いつの間にかハードボイルドから遠ざかり、様々な小説を読むようになった。 「ミレニアム1 」を読んだのがきっかけで、再び外国のエンタメ小説を読むようになった。 そして、やっと「初秋」である。 ハードボイルド小説は、登場人物の言動によってのみ、描写される小説なので、会話や行動から、人物の内面を想像しなければならない。 そして、僕だけかもしれないが、ハードボイルドを読むと、どうも影響を受けて、なんとなく行動的になったりする。 幸いスペンサーシリーズは、まだまだあるので、これから楽しみである。宝の山を見つけた気分だ。
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ハードボイルドは男根主義だ、という人もいるけれど、「古き良き」男性の生きづらさや悲哀を書いているものなのだと思う。男らしさにこだわるがゆえに、自分の得にならないことに命を賭けなくてはならない男たち。 それはそれとして、男だとか女だとか関係なしに、大人の道徳として、「ならぬもの...
ハードボイルドは男根主義だ、という人もいるけれど、「古き良き」男性の生きづらさや悲哀を書いているものなのだと思う。男らしさにこだわるがゆえに、自分の得にならないことに命を賭けなくてはならない男たち。 それはそれとして、男だとか女だとか関係なしに、大人の道徳として、「ならぬものはならぬ」「弱きは助けるべし」というテーゼは存在できる。男性という性別に限らなくても、「大人はつらいよ」というハードボイルドはありえるんじゃないか。 スペンサーという男はそれなりにマッチョイズムなのだけれど、彼が今回、依頼人の息子を自立させるために教えたことの数々は、性別とは関係なしに「生きること」「大人になること」の肝を掴んでいると思う。そういう意味では、この本は「大人はつらいよ」のハードボイルドだ。
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