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破獄 の商品レビュー

4

148件のお客様レビュー

  1. 5つ

    44

  2. 4つ

    56

  3. 3つ

    30

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

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2020/05/28

破獄する佐久間が主人公かと思ったらそんなことはなく、佐久間の気持ちや思いなど一切語られない。語られるのは、佐久間の周りの人たちの気持ちや思いと当時の日本の情勢。佐久間が周到に準備して、なんてことは一切でてこないので、佐久間はあっさり脱獄していく。 でも期待外れではなく、読み応えあ...

破獄する佐久間が主人公かと思ったらそんなことはなく、佐久間の気持ちや思いなど一切語られない。語られるのは、佐久間の周りの人たちの気持ちや思いと当時の日本の情勢。佐久間が周到に準備して、なんてことは一切でてこないので、佐久間はあっさり脱獄していく。 でも期待外れではなく、読み応えあり。よいと思う。 佐久間が人の心を操るところは示唆に富む。上ばかり見て上に注意を向けて、実は下に脱獄の策があったところとか。

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2019/09/20

四度の脱獄を繰り返した白鳥由栄をモデルとした、戦前から戦後占領期にかけての行刑を背景とした小説。 戦時中でも刑務所は六合の穀物が配給され、所員より食べてたというのは意外というか何というか。召集されるより刑務所の方がマシだったとか。

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2019/06/25

「昭和の脱獄王」と呼ばれた白鳥由栄(よしえ)がモデル。 戦中・戦後の混乱した国内、刑務所の状況などが丹念な調査から描かれている。人の心理を巧みに操る男。彼を脱獄に向かわせる動機、環境、処遇、関係、能力...。作中に出てくる新聞の風刺記事は、時代を組織を扱き下ろす。 ご都合主義が生...

「昭和の脱獄王」と呼ばれた白鳥由栄(よしえ)がモデル。 戦中・戦後の混乱した国内、刑務所の状況などが丹念な調査から描かれている。人の心理を巧みに操る男。彼を脱獄に向かわせる動機、環境、処遇、関係、能力...。作中に出てくる新聞の風刺記事は、時代を組織を扱き下ろす。 ご都合主義が生まれる背景・状況について、最後にサラッと切り込むのは流石。

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2019/05/20

刑務所から見た 昭和史としても 読める。脱獄犯を英雄視するのではなく、記録文学のように 淡々と記述されている ひとつひとつが細かく描かれているので、フィクションには感じないし、本の中で、看守や脱獄犯を追体験できる なぜ海外逃亡を図らなかったのか。脱獄に 価値を見出していたのだ...

刑務所から見た 昭和史としても 読める。脱獄犯を英雄視するのではなく、記録文学のように 淡々と記述されている ひとつひとつが細かく描かれているので、フィクションには感じないし、本の中で、看守や脱獄犯を追体験できる なぜ海外逃亡を図らなかったのか。脱獄に 価値を見出していたのだろうか

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2019/01/02

戦時中の脱獄犯の話。合計4回脱獄しており、その綿密な計画と並外れた身体能力は人間とは思えない離れ業。 少しプリズンブレイク的なところがあり、脱獄しては捕まり、なので中だるみが感じられた。 最後は、人間として扱ってくれた看守長への感謝を忘れない、という人間味が描かれた一冊。

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2018/11/28

・しかし、鈴江は、危惧される要素はあっても試みてみるべきだ、と思った。佐久間がどのような反応をしめすか予想はつきかねるが、今までつらぬきとおしてきた方針を推しすすめてみたかった

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2018/10/28

第36回読売文学賞、第35回芸術選奨文部大臣賞 著者:吉村昭(1927-2006、荒川区、小説家) 解説:磯田光一(1931-1987、横浜市、文芸評論家)

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2018/10/08

何度も脱獄を繰り返す佐久間と、閉じこめる側との戦い。そして、太平洋戦争中の日本の混乱が刑務所にどのような影響を与えていたかが描かれる。 味噌汁を使って脱獄…というのは衝撃的である。そして、看守に対して心理的に優位に立つ佐久間の頭脳、常人離れした発想、行動力には驚かされる。 物語は...

何度も脱獄を繰り返す佐久間と、閉じこめる側との戦い。そして、太平洋戦争中の日本の混乱が刑務所にどのような影響を与えていたかが描かれる。 味噌汁を使って脱獄…というのは衝撃的である。そして、看守に対して心理的に優位に立つ佐久間の頭脳、常人離れした発想、行動力には驚かされる。 物語は北風と太陽のような結末を迎える。破獄、というタイトルから想起されるようなスリルに満ちたハラハラドキドキする小説ではなく、淡々とした記録文学であるが、なかなかに面白かった。

Posted byブクログ

2018/09/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

社会人1年目の時に網走へ出張に行った際に、網走刑務所を脱獄した囚人の話として紹介された。 読んでみると、そこも脱獄してしまうのか、脱獄できないところはないのではないか、と思わせられる一方で、小説内にもあったが脱獄する能力(体力、知力、精神力)がもったいない、ほかに向けられればとも思う。 戦争により脱獄が可能になった一面もあり、解説にもあったが当時の世相が大きく影響しているんだとも思った。

Posted byブクログ

2018/07/17

とても読み応えがある!戦争を挟んだ時期に無期懲役囚が網走刑務を含めて4回脱獄する話し。最後は年齢などから脱獄の気力が失われかけていたところ、刑務所長の温情を受けて、模範囚となり、仮釈放を受けるストーリー。読み応えがあるのは、脱獄方法それ自体というよりは、戦前は戦争に役立つものを作...

とても読み応えがある!戦争を挟んだ時期に無期懲役囚が網走刑務を含めて4回脱獄する話し。最後は年齢などから脱獄の気力が失われかけていたところ、刑務所長の温情を受けて、模範囚となり、仮釈放を受けるストーリー。読み応えがあるのは、脱獄方法それ自体というよりは、戦前は戦争に役立つものを作り、自家農園で自給自足し、被爆した刑務所は囚人が脱走し、人で不足から囚人に刑務官をさせて無秩序になったり、戦後はアメリカ軍の指導監督を受け囚人への暴力を理由に殴られるなどし、これを知った囚人がアメリカ軍に言いつけると脅して、便宜を受けるなどという時代背景と刑務所の関連、囚人には自給した食べ物を与える一方、刑務官は少ない配給で我慢し、脱走時に備えて囚人よりも薄着でいたことなど、公務員としての高潔さも描かれており、盛りだくさんの内容

Posted byブクログ