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破獄 の商品レビュー

4

148件のお客様レビュー

  1. 5つ

    44

  2. 4つ

    56

  3. 3つ

    30

  4. 2つ

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2023/11/12

戦前から戦後にかけて4回に渡り破獄を繰り返した無期刑囚佐久間清太郎の物語。ゴールデンカムイの白石のモデルである白鳥由栄がモデルと思われる。青森、秋田、網走、札幌の監獄をそれぞれ奇想天外な方法で脱獄をする。方法もすごいが最もすごいのは看守たちの心理をうまく読み取り手玉に取って行動し...

戦前から戦後にかけて4回に渡り破獄を繰り返した無期刑囚佐久間清太郎の物語。ゴールデンカムイの白石のモデルである白鳥由栄がモデルと思われる。青森、秋田、網走、札幌の監獄をそれぞれ奇想天外な方法で脱獄をする。方法もすごいが最もすごいのは看守たちの心理をうまく読み取り手玉に取って行動していたこと。戦争の時代背景も描かれており、戦時中の監獄がどのようなものなのかも描かれており面白かった。戦争が進むにつれ食糧が不足していき栄養不足で死ぬ囚人が増えてい様を読むと戦争なんてするもんじゃないなと思う。

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2023/11/07

表題の通り、戦前から戦後にかけ4度の脱獄に成功した佐久間(仮称)を話の中心に据え、刑務所内の人間関係を丁寧に描写しているが、国内情勢・司法環境の遷移を緻密な調査をもとに数十年のスケールで厚みのある肉付けがされている。ドキュメンタリーとして非の打ち所ない読み応えある作品である一方...

表題の通り、戦前から戦後にかけ4度の脱獄に成功した佐久間(仮称)を話の中心に据え、刑務所内の人間関係を丁寧に描写しているが、国内情勢・司法環境の遷移を緻密な調査をもとに数十年のスケールで厚みのある肉付けがされている。ドキュメンタリーとして非の打ち所ない読み応えある作品である一方、とにかく読み易さが目に付いた。『漂流』も名作だが、本作はドラスティックな展開に読み疲れも少なく非常に楽しめた。

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2023/11/02

戦前から戦後にかけて、4度の脱獄を実行した男の話。 囚人である主人公と看守との闘いは、秩序と感情のせめぎ合いのよう。 読み進めながら割り切れないモノを感じたが、最後は少しだけホッとした。 余談ながら、 戦時下で食料が不足する折、自分たちは食べる物が無くとも囚人たちの食事を確...

戦前から戦後にかけて、4度の脱獄を実行した男の話。 囚人である主人公と看守との闘いは、秩序と感情のせめぎ合いのよう。 読み進めながら割り切れないモノを感じたが、最後は少しだけホッとした。 余談ながら、 戦時下で食料が不足する折、自分たちは食べる物が無くとも囚人たちの食事を確保する看守の矜持に驚くと共に感心した。 あと、どうでもよさそうな事だが、 時系列が分かり辛い箇所があり、何度かページを遡る事があった。

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2023/10/04

昭和の脱獄王の話。 佐久間は人情に厚く、自分を人として扱ってくれた人に対しては礼を持って接するが、そうでないと感情を爆発させ破獄にはしる。 国家や社会に異常事態が発生した際に、囚人たちが懲役で軍務や労働力として関わっていたことを初めて知った。

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2023/09/08

すごい奴が世の中にはいるもんだ。最後は少し心が温かくなる。戦前から戦後にかけての混乱も感じ取れて、よかったです。

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2023/08/06

白鳥由栄と思って、読み進めた。 佐久間の人間性は特異かも知れないが、実はかなり今でも通じる人間の根底にあるものだと思う。 脱獄させないために手錠足錠をとること人間らしく扱うことが、更正につながる。この考えは、教育界にもつながると思う。

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2023/06/25

実話を元にした小説。 佐久間清太郎は秋田、青森刑務所を破獄し当時一番の体制の網走刑務所に移送される。 極寒の地、網走。破獄は不可能と思われた日、佐久間は破獄する。 捜索もかなわず見つからなかった佐久間。とても冬は越せず死んだと思われていた。 そして、終戦。 突然砂川で佐久...

実話を元にした小説。 佐久間清太郎は秋田、青森刑務所を破獄し当時一番の体制の網走刑務所に移送される。 極寒の地、網走。破獄は不可能と思われた日、佐久間は破獄する。 捜索もかなわず見つからなかった佐久間。とても冬は越せず死んだと思われていた。 そして、終戦。 突然砂川で佐久間が逮捕されたというニュースが入り、札幌刑務所に収監。 破獄の責任を回避したい進駐軍の考えもあり、府中刑務所に移送。 府中刑務所ではそれまでと違った破獄対策を佐久間に施す。

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2023/05/03

高校時代に友達に勧められて読みました。私のそれまでの読書遍歴に登場しなかったジャンルで非常に新鮮だったことを覚えています。 主人公は牢破りの犯罪者なのに憎めないキャラクターで次はどんな手口で脱獄するのかハラハラさせられます。追う側と追われる側の攻防戦。かと言ってエンタメに終わらな...

高校時代に友達に勧められて読みました。私のそれまでの読書遍歴に登場しなかったジャンルで非常に新鮮だったことを覚えています。 主人公は牢破りの犯罪者なのに憎めないキャラクターで次はどんな手口で脱獄するのかハラハラさせられます。追う側と追われる側の攻防戦。かと言ってエンタメに終わらない重厚感。 紹介してくれた友人に感謝。

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2023/05/02

実話に基づく小説。生涯で4回の脱獄を成功させた佐久間。中には、かの網走刑務所も含まれる。特製手錠を解錠したり、3.2メートル上の天井窓を破って逃げるなど、どのような技を使ったのか、興味深い。 戦争の経過に伴う日本の状況と刑務所事情の厳しさが背景にあり、囚人よりも看守の大変さに驚い...

実話に基づく小説。生涯で4回の脱獄を成功させた佐久間。中には、かの網走刑務所も含まれる。特製手錠を解錠したり、3.2メートル上の天井窓を破って逃げるなど、どのような技を使ったのか、興味深い。 戦争の経過に伴う日本の状況と刑務所事情の厳しさが背景にあり、囚人よりも看守の大変さに驚いた。看守、所長より何枚も上手の佐久間。そんな佐久間に破獄を断念させたのは、厳重に拘束するよりも人間らしく尊重して扱う事だった。 これほどの知恵と忍耐力があれば、まともに生きれば、何でもでき、大成功しただろうに、勿体無い。 でも破獄にしか用いられなかったからこそ、この物語を面白く、彼をさらに魅力的にしている。

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2023/03/20

「吉村昭」の長編小説『破獄』を読みました。 『新装版 逃亡』に続き、「吉村昭」作品です。 -----story------------- 驚くべき手口に、大胆な実行力で、四回の「脱獄」成功。  犯罪史上に残る無期刑囚を描いた「吉村」記録文学・畢生の大傑作。 昭和11年青森刑務...

「吉村昭」の長編小説『破獄』を読みました。 『新装版 逃亡』に続き、「吉村昭」作品です。 -----story------------- 驚くべき手口に、大胆な実行力で、四回の「脱獄」成功。  犯罪史上に残る無期刑囚を描いた「吉村」記録文学・畢生の大傑作。 昭和11年青森刑務所脱獄。 昭和17年秋田刑務所脱獄。 昭和19年網走刑務所脱獄。 昭和22年札幌刑務所脱獄。 犯罪史上未曽有の四度の脱獄を実行した無期刑囚「佐久間清太郎」。 その緻密な計画と大胆な行動力、超人的ともいえる手口を、戦中・戦後の混乱した時代背景に重ねて入念に追跡し、獄房で厳重な監視を受ける彼と、彼を閉じこめた男たちの息詰る闘いを描破した力編。 読売文学賞受賞作。 ----------------------- 1983年(昭和58年)に発表され第36回読売文学賞(小説部門)を受賞した作品… 1985年(昭和60年)と2017年(平成29年)にテレビドラマ化されたらしいです、、、 脱獄の常習犯である「佐久間清太郎」と、それを防ごうとする刑務官たちとの闘いを描いた犯罪小説… そして、戦前から戦後の混乱期にいたるまでの刑務所の実態を克明に描いた歴史小説でもありましたね。 四度の脱獄を実行した「佐久間清太郎」、大戦下から戦後へと変遷した社会、そして戦争と刑務所の係わり方… その三つの視点から展開していく物語、、、 脱獄を成し遂げた手法は彼でなければ実行できないものでしたね… 非凡な頭脳と行動力、そして看守たちの心理を鋭く見抜き、いつの間にか看守たちよりも優位に立ち、自分の思うままにコントロールしてしまう神業とも思える能力には感服しましたね。 戦争と刑務所の在り方については、知識もなかったし、考えたこともなかったので、とても興味深かったですね、、、 そして、イソップ寓話の『北風と太陽』を彷彿させる終盤の展開からは、人間関係の在り方の基本を教えられた感じがしました… 会社における上司と部下の関係もこんな感じなんですよね。きっと。 相変わらず「吉村昭」作品は面白いですね、、、 綿密な取材に基づくリアリティのある描写が魅力ですよね… 何とも言えない満足感に浸ることができました。 以下、主な登場人物です。 「佐久間 清太郎」  主人公。7月31日生まれ。準強盗致死罪による無期刑囚。  5尺2寸の小柄な体型だが、肩幅が広くて腕力がある。斜視。  幼いころ両親と死別して親戚に預けられ、成人した後魚の行商から豆腐店を営むようになっていた。  布団を頭からかぶって寝る癖があり、看守が注意しても直さない。 「桜井 均」  青森県警察部刑事課長。のちに青森警察署長。  昭和8年に発生した未解決の事件を独自に捜査。  粘り強い捜査により佐久間を逮捕するに至る。  佐久間の破獄との連絡を受けて、県下に住む妻子のもとに戻ると考え、部下を張り込ませる。 「板橋 長右衛門」  岩手県警察部刑事課長で、全国最古参の刑事課長。  面識のあった桜井の要請を受けて、別件で逮捕した佐久間を青森県に移送することを同意する。 「山本 銓吉」  網走刑務所長。  司法省の信頼に応えるため、移送されてきた佐久間に対して、厳重な管理をすることを決める。 「内野 敬太郎」  網走刑務所看守部長。柔道・剣道の有段者。  沿岸を防備する第31警備隊に依頼された道路工事のため、駆り出した囚人たちを監視する。  のちに人員不足のため、刑務所内の工場で働く200人の囚人を1人で監視することになる。 「亀岡 梅太郎」  札幌刑務所戒護課長。囚人監視の最高責任者。前職は網走刑務所看守長。  網走に在籍していたが、当時は庶務課長だったため、札幌で初めて佐久間を担当することになった。  慢性的な食糧不足と老朽化した建物、さらに進駐軍との交渉で苦労する。 「オックスフォード」  大尉。軍政部保安課長。  日本人は残酷であるとの考えから、当初は佐久間に対して同情的だったが、  実情を知るにつれて再び逃走されることを恐れ、府中刑務所に移送するように手続きを取る。 「鈴江 圭三郎」  府中刑務所長。  明治大学法学部卒業後司法省に入り、佐久間が収容される前の網走刑務所長、札幌刑務所長を歴任。  昭和22年8月から府中刑務所長に着任していた。  行刑局長から佐久間清太郎を府中刑務所に移管されることを告げられ、幹部職員と対策を立てることになる。

Posted byブクログ