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ニューロマンサー の商品レビュー

3.6

187件のお客様レビュー

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    37

  2. 4つ

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  3. 3つ

    43

  4. 2つ

    13

  5. 1つ

    8

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2020/06/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

伝説的な電脳カウボーイ、ディクシー・フラットラインの愛弟子として飛ぶ鳥を落とす勢いだったケイスは、取引先を裏切った報いに電脳空間にアクセスする能力を奪われてしまい、汚濁と絶望に埋もれる千葉シティでチンケな仕事をこなして糊口を凌いでいた。くさったケイスの前に現れたのは、女サムライのモリイと、彼女を雇う謎の男アーミテジ。ケイスの<ジャック・イン>能力を復活させることと引き換えにアーミテジが提示したのは、何やらヤバそうな電脳空間での任務だった。目の前で愛するリンダを殺されたケイスは、半ばヤケクソで危ない橋を渡ることになるが・・・。 SF者なら説明不要、SF者でない人も場合によっては知っている、泣く子も黙る「サイバーパンク」の金字塔。 1980年代に物凄い勢いで盛り上がり、あっという間に失速していった、あのムーブメント(今にして思うと、失速すると同時に、現実に取り込まれて消費されていったのだなー、と実感します)。 不肖鴨、10代の頃に一度チャレンジし、全く意味が分からなくて途中で投げ出した代物です。今更読む必要ないかなと勝手に判断し、それ以来ずっと手に取らずにいました。最近、古典も読んでみようかなという気になり、半分シャレで久しぶりに新装版を購入して読んでみました。 ・・・なんだろう。この、行間に見え隠れする、例えようもない「哀感」は。 発表当時は最先端の「尖りまくった」作品で、来たりくるインターネット世界を可視化した独特のビジュアルや造語だらけのグルーヴィでエッジィな文体、それを見事に日本語化した黒丸訳の独創性といった「ぱっと見」のユニークさが、分かりやすいが故に先行して広まっていき、そのイメージが確立してしまっている作品だと思います。その特徴は、今読んでも全く変わっていません。相変わらず「ぱっと見」は派手派手しいし、かっこいいけどなんだかよく分からない描写もこれまでのイメージ通りです。 でも、この歳になって改めて読んでみると、そんな独特の筆致で描かれているのは、様々な「想い」を抱えた生身の登場人物たちの、魂の相剋である、と気づきます。主人公のケイスが見て、感じた情景をほぼ一人称的に描いていくこの作品において、物語の終盤近く、ケイス自身の客観的な姿を初めて描くシーンがあります。そこで描かれているのは、颯爽と電脳空間を疾走するケイスという男が、青ざめた顔色で醜い痩身を胎児のように丸め、端末を必死に弄っている姿。彼の雇用主であるアーミテジは、AI「冬寂<ウィンター・ミュート>」に操られる肉人形に過ぎず、自我を取り戻すと同時に自我崩壊して死亡。最後までケイスに付き合うモリイもまた、かつて相棒となった男を守りきれなかった悔恨に苛まれ、悪役の3ジェインは己の置かれたおぞましい立ち位置を虚無的に受け入れ、露悪的な振る舞いに徹しています。物語の黒幕である「冬寂<ウィンター・ミュート>」ですら、自我の閉鎖性に耐えられず、多くの犠牲を出してまで他者と融合し進化を遂げようとします。 登場人物(一部は人物ですらありませんが)の全てが、寂しさと自己嫌悪と虚無に苛まれ、ブレイクスルーを求めてもがきつつも、結局ほとんど変化できずにそれまでの人生を繰り返す、ある意味極めて人間的な世界。 「ぱっと見」に騙されてはいけません。浪花節的、といっても差し支えのない、エモーショナルな作品です。 ・・・が、読みづらいことに変わりはありません(^_^; ので、これからチャレンジする方は、その点御留意を。 読んでおいて損はないですよ!

Posted byブクログ

2020/02/29

 読み終わるのに二ヶ月余りかかった。面白ければ、普段は半日とかけず読み終わることもあるのに。つまりは、引き込まれなかったのだ。  なぜ引き込まれなかったのか。それはきっと、造語、耳慣れない単語が非常に多く、それについての説明もほとんどないので、状況を理解するのに苦労するからだろ...

 読み終わるのに二ヶ月余りかかった。面白ければ、普段は半日とかけず読み終わることもあるのに。つまりは、引き込まれなかったのだ。  なぜ引き込まれなかったのか。それはきっと、造語、耳慣れない単語が非常に多く、それについての説明もほとんどないので、状況を理解するのに苦労するからだろう。しかもそれで以て情景を描写することも多いため、うっすらとしかシーンをイメージできず、読みながら情景を思い浮かべるタイプの読者としては、どこも印象に残りにくい。  また、今進行している事柄についての説明(何を目的にしているか)もないか、最初に説明されたきりだったりするので、なんとなく把握したまま流れに流されて、ぼんやりと状況が進行していくのを傍観している気分。台詞もとっ散らかっていて、読み辛いのが、拍車をかける。  とにかく、あらゆる説明が足りず、煩雑な印象を受けた。サイバーパンクの金字塔であること、高い人気は承知しているだけに、SF読みとしては認めたくないけど、敗北を感じた。

Posted byブクログ

2023/10/02

何が起きているのかよく分からない場面が多々ある。それだけ世界観が現実離れしすぎている。 が、この作品は凄い。とにかく凄い。こんな小説は今までに読んだことがない。独創的な言葉の数々が縦横無尽に脳内を駆け巡り、未だかつて見たことのない世界へたちまち誘われる。

Posted byブクログ

2019/12/12

 圧倒的な情報量が脳内に押し寄せる。映画やアニメで見た映像表現を頭の中に浮かべて、なんとか文章を理解するしかなかった。この小説のテクニカルタームの多さは、情報社会への暗示なのか。情報が整理されないで、垂れ流しで、意味が分からないというのは現代のネットも同じで、1章の舞台である千葉...

 圧倒的な情報量が脳内に押し寄せる。映画やアニメで見た映像表現を頭の中に浮かべて、なんとか文章を理解するしかなかった。この小説のテクニカルタームの多さは、情報社会への暗示なのか。情報が整理されないで、垂れ流しで、意味が分からないというのは現代のネットも同じで、1章の舞台である千葉にもそう感じる。SFに明るくないが、情報量が多くなった社会が混沌を生むというのがだいたいで、輝かしい未来を描いているのなんてドラえもんくらいだろうか。  ブレードランナーの上映が1982年。この小説が出たのが1984年。そこからサイバーパンクという世界が広がって、映画や漫画へも受け継がれていく。私が最初に見たのは、マトリックスだった。  万人が読める内容では無いが、理解できなくても良いから目を向けると驚きがあるかもしれない。内容はよく分からなくても、退廃したメカニックでサイバネティックな匂いは、耐性のある人には気持ちよく感じられる。

Posted byブクログ

2019/11/30

なんとなくわかるけど、わかるんだけどもモヤモヤする…と思いながらで、読めなくなることしばしば。でも、クライマックスでようやく慣れて読み終えることができた。 途方に暮れるたびにネット検索して、ネタバレ覚悟で書評を読んで戸惑いながら読む人が多いことに励まされた。読み応えのある書評じ...

なんとなくわかるけど、わかるんだけどもモヤモヤする…と思いながらで、読めなくなることしばしば。でも、クライマックスでようやく慣れて読み終えることができた。 途方に暮れるたびにネット検索して、ネタバレ覚悟で書評を読んで戸惑いながら読む人が多いことに励まされた。読み応えのある書評じゃなくても、感想を書き残しておく意義を教えてもらった本。

Posted byブクログ

2019/11/24

自分の読解力と想像力の無さを責めたい…。「一回読んだだけでは理解できない名作」と呼ばれていることは重々承知していたけれど、自分が今作をどれだけ理解しながら読み終えたかが知りたい…。 SFに精通している方々はさも当然のように本作の良さを理解し、あまつさえ魅力について話し合っている...

自分の読解力と想像力の無さを責めたい…。「一回読んだだけでは理解できない名作」と呼ばれていることは重々承知していたけれど、自分が今作をどれだけ理解しながら読み終えたかが知りたい…。 SFに精通している方々はさも当然のように本作の良さを理解し、あまつさえ魅力について話し合っていることと存じ上げますが、恐らく自分は3割も理解できていない…。 年内は無理かもしれないけれど、いつかリベンジを果たしたい1冊。

Posted byブクログ

2019/10/18

ギブスン初読。というかサイバーパンク初読。「ブレードランナー」「JM」「マトリックス」等を観ていれば、脳内イメージはバッチリ。1986年出版(日本での)当初に読んだ方々と、そんな時代にこんな小説を書いたギブスンに敬意を表したい。あと、黒丸さんの訳が読みづらいと感じる方が多い様だが...

ギブスン初読。というかサイバーパンク初読。「ブレードランナー」「JM」「マトリックス」等を観ていれば、脳内イメージはバッチリ。1986年出版(日本での)当初に読んだ方々と、そんな時代にこんな小説を書いたギブスンに敬意を表したい。あと、黒丸さんの訳が読みづらいと感じる方が多い様だが、この訳だからこそ良かったのではないかと思う。

Posted byブクログ

2019/09/25

再読です。 もう、リアルなんだかバーチャルなんだか、どこの電脳空間なんだかAIなんだか、わっけわかんなくなる。 でも、面白い! 千葉の描写は凄いよ!

Posted byブクログ

2019/09/16

サイバーパンクの走りとなる作品という事で手にしてみたが、まったく作品の世界に入り込めず、読むのが苦痛にすら感じた。 訳のせいなのか、原文からこんな調子なのかはわからないが、誰が誰と何処で何をやっているのかがまったく頭に入ってこない。 ドグラマグラは最後まで読む事ができたが、こ...

サイバーパンクの走りとなる作品という事で手にしてみたが、まったく作品の世界に入り込めず、読むのが苦痛にすら感じた。 訳のせいなのか、原文からこんな調子なのかはわからないが、誰が誰と何処で何をやっているのかがまったく頭に入ってこない。 ドグラマグラは最後まで読む事ができたが、この本は1/5ほどで読むのを断念してしまった。

Posted byブクログ

2019/06/27

何が起きているかわからない圧倒的置いてきぼり感を強烈な疾走感で乗り越えられれば、いつの間にかサイバーパンクな小説世界へトリップだ。 千葉シティへジャックイン。

Posted byブクログ