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西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか
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西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか
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商品レビュー
4.7
21件のお客様レビュー
ウクライナ紛争の今後を予測する
発売日はアメリカ大統領選挙でトランプが勝利した日とほとんど重なったが、トッド氏は断言する。トランプが言うようにウクライナ戦争が24時間以内に終わるなどは有り得ない。ロシアが闘っている相手は「アメリカ大統領」ではなく「アメリカそのもの」であるからだ。さて、トッド氏が言う「欧州各国は...
発売日はアメリカ大統領選挙でトランプが勝利した日とほとんど重なったが、トッド氏は断言する。トランプが言うようにウクライナ戦争が24時間以内に終わるなどは有り得ない。ロシアが闘っている相手は「アメリカ大統領」ではなく「アメリカそのもの」であるからだ。さて、トッド氏が言う「欧州各国はすでに国民国家ではない」という認識は、EU官僚制が異常に膨張した事から容易に理解できる。しかし彼はアメリカも国民国家では既になくなっていると断言する。国家としての共通の価値観も喪失し、巨大な軍隊組織そのものがモンスター化しそれ自体だと述べている。これらに対してロシアは国民国家としての主権を保持している。すなわちこの戦争は「主権を喪失した西洋と国家主権を維持しているロシアとの」戦争であると規定する。もちろんトッド氏も私も、プーチン大統領の権威主義を賛美するものではない。しかし戦況が圧倒的にロシア有利であるという現実は認めなければならない。その原因をトッド氏は「アメリカの軍需産業自体の劣化」にあるという。ウクライナに十分な武器と弾薬を補充できていないアメリカの支援の枯渇が戦況悪化の原因だという。だがアメリカもすんなりと敗北を受け入れない。ロシアもそれを理解しているので最近軍事ドクトリンを大変革した。「戦術核の先制使用」を自らに許可したのだ。つまり、この戦争が際限なく拡大し人類の危機にまで達する危険性はむしろ増大している。日本も無関係ではいられない。
まだ第一章までしか読んでいない段階で、この本は驚くべき閃きと人類学的統計数字に表れた事実の重みを伝えてくれる。400ページもある割には装丁も簡素化して値段も控えめに設定されている。
奥田末治
ウクライナ侵攻の問題が日々動き続ける中で、ロシアやアメリカ、イギリス、そしてヨーロッパやスカンジナビアの歴史と宗教、階級や言語の問題などを俯瞰しつつ分かりやすく情勢分析を試みた一冊。全編にわたり、ウクライナという国が想像以上に脆弱な国だということが読み取れた。私の個人的な知識不足...
ウクライナ侵攻の問題が日々動き続ける中で、ロシアやアメリカ、イギリス、そしてヨーロッパやスカンジナビアの歴史と宗教、階級や言語の問題などを俯瞰しつつ分かりやすく情勢分析を試みた一冊。全編にわたり、ウクライナという国が想像以上に脆弱な国だということが読み取れた。私の個人的な知識不足は言うまでもないけれど、毎度著者の本を読むたびに、統計の読み方と解釈に目からウロコ、なことが多い。 キリスト教、特にプロテスタンティズムの衰退に関する言及も多い。宗教が衰退し、いままで宗派が分断していたものが意味をなさなくなり、社会全体が迷走していると著者は解釈しているように見える。 西側陣営が自分たちこそが世界の主だという考えを変えずに行動し続け、メディアも自分たちだけからなる「国際社会」に固執した、という記述は、ロシアのウクライナ侵攻後の各国の動きや躊躇を見ながら何となく感じていたことに、きちんとした言葉と裏付けをもって説明してくれた部分で、すっきりした。 アメリカの衰退、西洋の敗北の中に、西側陣営の日本も含まれているわけで、著者が「その他の国」と表現する国々を経済的な意味で“搾取”しながら生きながらえている欺瞞が自覚できる。倫理資本主義を掲げるマルクス・ガブリエル氏の著書を思い返しつつ、トッド氏の言う「プロテスタンティズム・ゼロ状態」への対処法というのはあるのだろうかと考えた。
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特にトランプ二期政権誕生後、目まぐるしく転回する世界情勢で「いったい何が起きているのか?」と疑問だらけの一般人として、本書は各ニュースを裏側から読む眼を与えてくれる。 「無謀な侵略戦争に踏み切った独裁者プーチン」「ウクライナを見捨てると次はポーランドやバルト三国が」という日本でも...
特にトランプ二期政権誕生後、目まぐるしく転回する世界情勢で「いったい何が起きているのか?」と疑問だらけの一般人として、本書は各ニュースを裏側から読む眼を与えてくれる。 「無謀な侵略戦争に踏み切った独裁者プーチン」「ウクライナを見捨てると次はポーランドやバルト三国が」という日本でも喧伝される「疑うべからざる真実」に対して「本当にそうなのか?」と本書の人類学的、地政学的、経済学的分析の歩みをたどるのはこの混迷極まる事態において決して無駄ではなかったと思う。その他世界からの西洋の見え方についても、日々マスコミで保守的であると攻撃される価値観の側からの感じ方が見事にすくい取られておりリアリティがある。 アメリカの保護国の一住民からすれば日頃耳に馴染んでいる「正論」からはかけ離れた議論も多く、眉に唾するところもあるが、全体として実際に起きている事態を総体として説明しうる破綻のない道筋が示されていると感じた。
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