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バリ山行
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バリ山行

松永K三蔵(著者)

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バリ山行

1,760

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 講談社
発売年月日 2024/07/29
JAN 9784065369609

バリ山行

¥1,760

商品レビュー

3.8

457件のお客様レビュー

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2025/05/15

人工物と自然のカオス、会社と趣味…

どこの会社にも一人はいるような先輩に連れられて、通常は登らないルートで山を登る…バリ山行。

ラストシーンは、むかしの少年漫画の最終回のように希望のあるもので、胸に迫るものがありました。

カクイマサトシ

2025/12/24

芥川賞受賞作品 難しいかと思いきや半日で引き込まれるように読めた作品。初めて読む作家さん。 バリ山行とは山登りの正規ルートでなく、バリエーションルートで山を登る危険を伴う山登り。山登りのシーンは描写が細かく、本当に道なき山を登っているような気持ちになれた。 この作品からわたしが...

芥川賞受賞作品 難しいかと思いきや半日で引き込まれるように読めた作品。初めて読む作家さん。 バリ山行とは山登りの正規ルートでなく、バリエーションルートで山を登る危険を伴う山登り。山登りのシーンは描写が細かく、本当に道なき山を登っているような気持ちになれた。 この作品からわたしが読み取った事は、日常の暮らしもバリ山行のようなもの、先は心配しても分からない。、分からないことに無駄に悩むくらいなら目の前の与えられた仕事を黙々とこなして行くだけだ。 最後の終わり方が絶妙に好きだった。

Posted by ブクログ

2025/12/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

歩かせてもらっていただけの登山から、興味本位でバリに足を踏み入れる主人公・波多。なぜ妻鹿さんはバリに行くのか。会社の内情は気にならないのか。リストラが怖くないのか……。そんな波多の疑問をよそに、妻鹿は鬱蒼とした茂みの先へと進んでいく。 短編でありながら、まるで自分も関西の低山にいるかのような感覚に陥った。 数年前、それもバリにぴったりな冬に、正規ルートから外れて必死に藪を漕ぎ、どうにか辿り着いた六甲山山頂のことを思い出した。私の山行は、主人公が感じた恐怖ほどのバリではなかったが、それでも整備された登山道に出た時は、緊張の糸がぷつりと切れてそのまま道に倒れ込みそうになった。この本からは、僅かに笹薮と土の臭いがした。 やはりバリエーションルートのバリか。表紙の赤い破線からも察するものがあった。 単独行の山屋、ましてやバリ屋が、下界で器用に生きていることなんてそうそうないだろう。偏見だが。内側に抱く悩みや葛藤などを全部バリにぶつけて、生命のヒリつきを感じながら山をやり、そしてそんな極大なバリと比べてしまえば、自分が思い悩んでいたことなんてちっぽけに思えてきて、身体の内にどっしりと図太い芯のようなものができていく。妻鹿さんは、決して社交性のある方ではない。だが妻鹿さんには信念があり、自分なりに仕事と向き合い、不器用ながらも真剣に働いていた。 妻鹿さんの言う「本当の危機」とは、「このバリと比べたら、会社での出来事なんてささやかなもんだろう?」という煽りのような、虚勢のような意味を持ったものなのだろうか。実際、滑落すれば死ぬような危険なルートではあるが、波多に向けて発したこの言葉には、そのような含みを感じた。それを敏感に感じ取った波多は、疲労感とストレスに加えてバリやバリをやる妻鹿への不満が募っていき、しまいには爆発させてしまった。 波多がバリをやるようになってから、最後に妻鹿と再会するオチだったらちょっと嫌だなと思っていたので、この結末は個人的にはとても気に入っている。

Posted by ブクログ