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関心領域
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関心領域

マーティン・エイミス(著者), 北田絵里子(訳者), 田野大輔(監修)

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関心領域

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 早川書房
発売年月日 2024/05/22
JAN 9784152103321

関心領域

¥2,750

商品レビュー

3.7

35件のお客様レビュー

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2025/12/19

冒頭、主人公の男が司令官の妻に恋に落ちる瞬間の鮮烈さに、一生記憶に残りそうなくらい強い衝撃を受けた。強制収容所の隣で繰り広げられる物語にまさかこのような描写があるとは思いもよらない。 "苦しいほどの憧れ。それに卑小で価値のない人間になった気分。" そんな感...

冒頭、主人公の男が司令官の妻に恋に落ちる瞬間の鮮烈さに、一生記憶に残りそうなくらい強い衝撃を受けた。強制収容所の隣で繰り広げられる物語にまさかこのような描写があるとは思いもよらない。 "苦しいほどの憧れ。それに卑小で価値のない人間になった気分。" そんな感情に包まれるトムゼンが、国家をあげての大虐殺に加担する傍ら(彼もまた歯車の一部でしかないが)、恋に現を抜かす様子に違和感と嫌悪感が止まらない。しかし、そんな彼を通して見えてくるものがあるというのが驚きだ。 映画とは全くの別物でそれにも驚いたが、映画を観た時同様に強烈なストレスを感じた。 この気持ちを忘れないようにしたい。

Posted by ブクログ

2025/10/22

かなり期待して読んだが,原文がこうなのか訳が悪いのか,どうにも物語として響いてこなかった. 映画化もされているので,そちらも見て判断したいところだが,どうやら映画には原作の中心人物がそもそも登場しないらしく,見る前から「なんだそりゃ?」という気分.その時点で意欲が半減してしまった...

かなり期待して読んだが,原文がこうなのか訳が悪いのか,どうにも物語として響いてこなかった. 映画化もされているので,そちらも見て判断したいところだが,どうやら映画には原作の中心人物がそもそも登場しないらしく,見る前から「なんだそりゃ?」という気分.その時点で意欲が半減してしまった. ホロコーストを「人間の本性を映す鏡」として描いているという触れ込みだが,正直,そこまでの深みは感じられなかった. ただし,ナチス関連の作品をいくつも読んできた中で,この作品の描き方はどれとも違っていた. ユダヤ人側の苦悩,ドイツ市民の葛藤,ヒトラー周辺の狂気――そういった視点ではなく,実際のホロコースト現場とその周辺の人々の“日常”を,こんな異様な角度から描いた小説には出会ったことがない. 歴史上最悪の大殺戮のただ中で,自分は「正常」だと思い込み続ける人間たち. 妻への嫉妬に狂う者,大量殺戮を「おぞましい」と知りながらもその片棒を担ぎ続ける者. 彼らの関心領域は,命の価値ではなく,愛憎やプライドのような極めて個人的な感情だった. 人間は結局,良くも悪くも「正常バイアス」に生かされているのだな,と思わされた. 最後に,ナチスの狂気からわずかに目を覚ます主人公たちの姿に,ほのかな希望も感じた. それこそが戦後ドイツの復活の“火種”になったのかもしれない. 正直,僕にとっては読みづらく,没入することはできなかった. それでも「人間の本性とは何か」をえぐり出そうとするこの試み自体には,大きな意義があると思う. 気がつけば,ナチス関連の作品を随分と読んできたものだ. 読むたびに胸が重くなるのに,それでも「知りたい」と思ってしまう. そんな僕自身の「関心領域」は,やはりこの問いに尽きるのだと思う. ――なぜナチスは,ここまで狂気に堕ちていったのか? どんなに考えても答えは見つからない.見つかる気配すらない. それでもなお,その答えを探ることが,人間とか,人生とか,漠然としていて掴みづらいものに,ほんの少しでも輪郭を与えるのだと思う. そして,「人の罪」としての戦争,飢餓,貧困,人種差別……そういったものがいつかこの世から無くなる日を迎えるための,わずかなヒントをかき集める行為なのだと思う.

Posted by ブクログ

2025/10/01

ユダヤ人強制収容所での「仕事」に従事している登場人物たちの日常や心情が、淡々と綴られていく。 この日常の一辺には殺戮への関与が確実に含まれているのに、物語で中心として描かれるのはそこではないことに不気味さを感じる。 強制収容所所長が少しずつ病んでいくのは、ひそかに彼のうちにある...

ユダヤ人強制収容所での「仕事」に従事している登場人物たちの日常や心情が、淡々と綴られていく。 この日常の一辺には殺戮への関与が確実に含まれているのに、物語で中心として描かれるのはそこではないことに不気味さを感じる。 強制収容所所長が少しずつ病んでいくのは、ひそかに彼のうちにある良心や倫理観の崩壊を表現しているようで、おかしな言い方だけれど、そこにわずかに救いを感じてしまった。 遠藤周作氏のエッセイのどこかで、やはり親衛隊将校についての記述があり、(昼はガス室で殺戮を繰り返す将校が、夜は我が子に頬ずりをして妻とモーツァルトの調べに酔いしれる、それが人間というものなのか、というような内容)、その寒々した記述に共通のなにかを感じた。

Posted by ブクログ