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水たまりで息をする 集英社文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 集英社 |
| 発売年月日 | 2024/05/21 |
| JAN | 9784087446463 |
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水たまりで息をする
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水たまりで息をする
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商品レビュー
3.7
263件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
新しい恋愛?みたいなタイトルの短編集が行きつけの書店で平積みされているのを見かけて気になっていた作家だったので、いちばんあらすじが面白そうだった本作を手始めにと買って読んでみた。めちゃくちゃカジュアルな言い方をすれば風呂キャンセル界隈になってしまった夫と接する妻の話なのだけれど、こういう概要ではまったく表せない独特の味わいがある。話という話もないし、やけに熟れない一人称のような三人称文体も変なのだけれど、なんだか読ませる力がある小説でぐっと引き込まれて一気に読んでしまった。とても面白かった。 いろんな語りしろのある作品だとは思うのだが、僕がいちばん「わかるなあ」と思ったのは、同書で義母、夫の会社、地元に帰った後の人々の噂などとの関係を通じて描かれる「自分は夫がこうでもいいのだが、他人が許してくれないことで、うっすら嫌な思いをする」という感覚。 まあそれはもしかしたら自分の夫に対する許しがたさを転嫁しているだけかもしれないし(実際許しているけど許せないという矛盾する感情を抱えているのだろう)、狂ってしまったかもしれない──そしてシンプルに臭すぎる──夫を嫌がる気持ちは彼女自身にもあるだろうし、離婚のことだってわりと考えたのだろう。 だが一方で、自分たち二人だけの関係なら許せることが第三者、もっといえば社会によって許容されないときに生じる痛々しい気持ちというか、「自分的には全然風呂なんか入らなくてもいいし、この人のことが好きなのになぁ」「でもそれを嫌がる人たちの気持ちが自分の中にもあって、それが彼らの影響で強くなっちゃう瞬間がきついなぁ」とか、そういう複雑な切なさというか、悲しさというか、そこには大いに共感するところがあった。二人でいるだけなら成り立つ愛の形が、社会に歪められてしまったり、そもそも成り立つ前に社会を通り抜けることで屈折してしまったりするつらさ。 という観点でいくと、巻末解説の視点自体はうまい切り取り方だなあと思うものの、水上さんのこの作品に対する感じ方には違和感があって、僕はあんまり衣津実を残酷には感じないというか、むしろ優しいなあと思ったし、夫のことを愛しているんだなあと思った。まあ、たぶんそれは彼女の複雑な感情をどっちの面から見るかということからくる違いなのだろう。ともかく個人的には、確かにここで描かれている夫婦愛には残酷なところはあるけど、それはまあそもそも人間の愛情というのはそういうもので、彼女は充分に(充分にという言葉が適切なのかはわからないが、それでも充分に)夫のことが好きじゃないかと、温かい気持ちになりさえした。そんな明るい話ではもちろんないんだけど……。 少し本編とズレる話だが、この作品のAmazonレビューで「セックスの表現は要らない」という旨の書き込みがあったことにはびっくりした。夫の体臭がキツくなっていく話で夫婦間のセックスに言及しない小説ってむしろどんなだよ、と僕などは思ってしまう(実際、中盤くらいまでまったく性生活への言及がないので、どういう夫婦なんだよこれ、と思いながら読んでいた)。題材のせいかもしれないが、巻末解説もそうだけど、けっこう人によって読んだときの印象が違うのかも。人の感想聞くのが面白いタイプの作品だと思うから、知人にも勧めてみようかな。
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高瀬先生の作品は、日々の中で当たり前に流れていくことを流さず、むしろそれらに対して、もし、なんで、を掬うのが秀逸だなぁと思います。 ある日突然、お風呂に入らなくなった旦那の隣にいる奥さんが見ている日々のお話で、さっぱりしているように感じる部分もあれば、生々しいほど人間らしさを感...
高瀬先生の作品は、日々の中で当たり前に流れていくことを流さず、むしろそれらに対して、もし、なんで、を掬うのが秀逸だなぁと思います。 ある日突然、お風呂に入らなくなった旦那の隣にいる奥さんが見ている日々のお話で、さっぱりしているように感じる部分もあれば、生々しいほど人間らしさを感じる部分もあって、淡々とした文体にはきちんとした温度と、厚みが感じられました。 お風呂に入らなくなったからこそ、今まで見えてこなかった旦那の全てが綻んでくるようになった、と解釈するのは安直かもしれませんが、「許したくてしんどい」とこぼした一文に、夫婦の在り方や、自身の在り方や、当たり前に芽吹いては消えていく感情の濃度を感じられて、読めてよかったなぁと思えたお話でした。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ものすごく面白かった。こういう、現実世界に絶妙に空想が混じったシュルレアリスムっぽい雰囲気は、どこまでも空想と解釈が広がるので大好きです。 「夫が風呂に入らなくなった」という問題は、パートナーが世間的に批判されるような状況になったとき、あなたはどこまでその人を愛せるか?と問うているように感じた。義母から批判され、職場を失い、それでも風呂に入らない(入れない)夫を、あなたは責めるのか、それとも寄り添うのか。 ところどころ妻の圧倒的な生活に結びついた愛情を感じる言動があり、でも責めたい衝動と葛藤し、この人はほんとうに夫のことを愛しているんだなあと切ない気持ちになった。 終盤の台風の後のシーンは解釈がむずかしいなあ。夫が出てこないのも不思議だし、魚をまた飼おうとしているのも。捉え方によってはものすごくダークなように解釈できそう。
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