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水たまりで息をする の商品レビュー

3.6

103件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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2025/02/04

やー面白い。 水道水が気持ちが悪いとお風呂に入らなくなってしまった夫。しまいにはペットボトルの水で体を洗うことさえしなくなり、雨が降った際に打たれるようになる。 私はお風呂大好き人間で、お風呂入らない人と絶対に一緒にいられないので、主人公の女性をすごいと思う一方で、彼女のそれが...

やー面白い。 水道水が気持ちが悪いとお風呂に入らなくなってしまった夫。しまいにはペットボトルの水で体を洗うことさえしなくなり、雨が降った際に打たれるようになる。 私はお風呂大好き人間で、お風呂入らない人と絶対に一緒にいられないので、主人公の女性をすごいと思う一方で、彼女のそれがただひとえに旦那を愛しているから、というわけでもないのが面白い。世間体を気にしているわけでもすごく強い思いがあるわけでもなく、言うなれば水に流されていってるような感じでいつまでも他人事みたい。 個人的に匂いや汚れに気を使うのは、自分のためでなく他人のためにすべきだとは思うけれど、そういう当たり前がどうしてもできなくなってしまう人はいるんだと思う。もちろんそれがその人の本質ってわけではないんだろうが、いざ自分がそんな環境に置かれたら何ができるか? 今の私には自分や自分の大切な人がそうなっていない現状を幸運に思うことしかできない、、。

Posted byブクログ

2025/02/01

突然、風呂に入らなくなった夫。 「風呂に入らない」という行為だけ見ると、大したことないというか、大袈裟なものでもないけど、社会や日常の中にある"当たり前"をしない(出来ない?)ことの異常性みたいなものを感じた。たったそれだけのことで、いわゆる"普通&...

突然、風呂に入らなくなった夫。 「風呂に入らない」という行為だけ見ると、大したことないというか、大袈裟なものでもないけど、社会や日常の中にある"当たり前"をしない(出来ない?)ことの異常性みたいなものを感じた。たったそれだけのことで、いわゆる"普通"からは大きく離脱してしまう。 夫に対して妻・衣津実は、割と落ち着いていて、そうなったことの原因や、何かの病気ではないのか?ということを案じながらも、あまり深くまで踏み込んだりはしなかった。「それって冷たくないか?」と感じることすらあるが、そもそもこの夫婦の関係はドライというか合理的というか、むしろ1人の人間としての夫を尊重できているようにも見えた。夫婦だろうが、他人はどこまでいっても他人だし。

Posted byブクログ

2025/01/27

ある日突然、夫が「風呂には、入らないことにした」と宣言した。結婚して10年、これからも平穏な日々が過ごせると思っていたのに。夫婦の前に思いがけない困難がふりかかる。台風で増水した河原で、水が引いたあとの水たまりに逃げ遅れた魚が生き残っている如く、世間の主流から溢れた人が僅かな居場...

ある日突然、夫が「風呂には、入らないことにした」と宣言した。結婚して10年、これからも平穏な日々が過ごせると思っていたのに。夫婦の前に思いがけない困難がふりかかる。台風で増水した河原で、水が引いたあとの水たまりに逃げ遅れた魚が生き残っている如く、世間の主流から溢れた人が僅かな居場所で生き長らえようとする姿を描き出している。すっきりとはしないけど、なんだか気になって読んでしまう。モヤモヤするけどこの人たちのしんどさが無視できない。 なんとかうまく生き延びてほしいと願いつつ読んでいたのですが…。 川ではなくて温泉ではダメなんですかね? 世の中には、大抵の誰もが普通に出来ることが、ある人には無理っていうことがあるかもしれませんよね。 そんな人が家族だったらしんどいですよね。 そういうしんどさを抱えた人を、変な人と言ったり、非難するのは簡単ではあるけど、寄り添うことは難しいのかな?彼らに寄り添って一緒に悩んでくれる人がいたなら事情は変わっていったかも。 タイトルからして生きることのしんどさが凄く伝わる小説でした。

Posted byブクログ

2025/01/25

著者の経歴が気になって読んでみた。 読んでいてイライラする。主人公(妻)視点で話が進行していくが夫が狂っていると思ったら、この主人公も結構狂っている。ラストは途中で出てくる魚と夫を重ねてるのだろうが、こういう作品は自分に合わない、読みたいと思えない、と改めて感じた。

Posted byブクログ

2025/01/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

夫が突然風呂に入らなくなった、臭い臭いという状態のなかで、妻視点で、人と社会のつながりを描いた小説。水道がだめ、洗剤系が受け付けられないが、それでは作中にも出てくる「垢太郎」が作れてしまうので、雨は大丈夫、川も大丈夫ということで、義実家の田舎の川を拠点に生活を始めるというストーリー。この無理ぽの単純設定でもこういう形で面白く小説が書けるのはなかなか。最後の夫の処理は何が言いたかったかわからないでもないが、文学的な効果が出てるとは思えない。

Posted byブクログ

2025/01/13

面白くて一気読み。高瀬作品は本当に全部好き 言語化がすごい、物語のリズム?進行がすごく心地いい。主人公はずっと何かを考えていてそれが全部言葉に表されていてその感覚がすごくわかる。主題、起きていることはしんどいのに一線引いたところからのセリフは湿り気がなくてただ生きていってしまって...

面白くて一気読み。高瀬作品は本当に全部好き 言語化がすごい、物語のリズム?進行がすごく心地いい。主人公はずっと何かを考えていてそれが全部言葉に表されていてその感覚がすごくわかる。主題、起きていることはしんどいのに一線引いたところからのセリフは湿り気がなくてただ生きていってしまっていることを感じさせられる。解説もすごく良かった。弱くない、生き延びられちゃう人間が弱い人を許せないイライラ、もどかしさ高瀬作品で扱われるテーマを言語化して伝えてくれてすごく納得いった。

Posted byブクログ

2025/01/09

私も夜お風呂入れなくて朝入ることあるし、読んだらお風呂に入れるようになるかな?とか安易なこと考えてたけど真逆だった。全然そんな生ぬるい話じゃなかった。 解釈少し難しかったなー。 で、結局夫ってどうなったの?って解説サイトはしごして、あぁそういうことか、と。 それでようやく、『台風...

私も夜お風呂入れなくて朝入ることあるし、読んだらお風呂に入れるようになるかな?とか安易なこと考えてたけど真逆だった。全然そんな生ぬるい話じゃなかった。 解釈少し難しかったなー。 で、結局夫ってどうなったの?って解説サイトはしごして、あぁそういうことか、と。 それでようやく、『台風ちゃん』と夫を重ね合わせてるのかなと思えた。 読んでるこっちも呼吸が浅くなりそうなそんな感覚を覚える本だった。 高瀬隼子さんの『おいしいごはんが食べられますように』も面白いそうなので読んでみたいと思う。

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2025/01/02

夫がある日いきなりお風呂に入らなくなるという、終始なんともいえない不気味なお話。だが、読み終えて得るものは確かにある。それがなにかは言葉に出来ない。

Posted byブクログ

2025/01/01

この小説を読んで自分だったら無理と感じたのは、自分が普通側の人間だからなのか、それとも愛情がないからなのか考えてしまった。 普通とは何か、愛するというのは何か、考えさせられた。

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2024/12/31

主人公の、「言えなさ」はどこから来るのか。 私ならもっと遠慮なく言っちゃうなと思うような場面は多くて、夫婦の閉鎖された関係が伝わってくる。 外との関係性も全然生き生きしていなくて、冗談にしたり、軽く愚痴を言ってみたりもない。人とのつながりの希薄さが際立つ。 何かを大切にできてい...

主人公の、「言えなさ」はどこから来るのか。 私ならもっと遠慮なく言っちゃうなと思うような場面は多くて、夫婦の閉鎖された関係が伝わってくる。 外との関係性も全然生き生きしていなくて、冗談にしたり、軽く愚痴を言ってみたりもない。人とのつながりの希薄さが際立つ。 何かを大切にできているなら自分の人間らしさにホッとするし、そうでなくてもスイスイと交わして生きていけてしまう。 自分は本当は人間じゃないのでは? そう感じることって怖いことだね。 面白かった。

Posted byブクログ