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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2024/01/31 |
JAN | 9784105901929 |
- 書籍
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この村にとどまる
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この村にとどまる
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北イタリア・チロル地方のドイツ語圏の小さな村クロン村に暮らすトリーナは、友人たちと教師になることを望む平凡な女の子だった。しかし、ちょうど学校を卒業した頃、村はムッソリーニ率いるファシストなイタリアに併合され、イタリア語を強制される。やがて、戦争が始り今度はナチズムが村を取り囲む...
北イタリア・チロル地方のドイツ語圏の小さな村クロン村に暮らすトリーナは、友人たちと教師になることを望む平凡な女の子だった。しかし、ちょうど学校を卒業した頃、村はムッソリーニ率いるファシストなイタリアに併合され、イタリア語を強制される。やがて、戦争が始り今度はナチズムが村を取り囲む。加えて、電力発電のためのダムが建設され、村は湖底に沈むことになる。 トリーナが、イタリア化を強制される過程で生き別れとなった娘に宛てて書いた手紙という形で物語は進む。 次々と襲う過酷な環境。夫エーリヒと共に歩んだトリーナの人生は感銘を与える。 村の教会の鐘楼だけが湖の上に現れている風景は、モデルとなった実際の湖があるそうだ。
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イタリア北部にある、ドイツ語圏の小さな村に起こった出来事をベースにした物語。 ファシズムの波に押されて母国語を失い、ヒトラーの移住政策で分断、湖に沈んだ村。そこで生きるトリーナの半生。→ 生まれ故郷に対する愛着を持たない私にはエーリヒの気持ちはわからないし、娘がいない私にはトリ...
イタリア北部にある、ドイツ語圏の小さな村に起こった出来事をベースにした物語。 ファシズムの波に押されて母国語を失い、ヒトラーの移住政策で分断、湖に沈んだ村。そこで生きるトリーナの半生。→ 生まれ故郷に対する愛着を持たない私にはエーリヒの気持ちはわからないし、娘がいない私にはトリーナの気持ちはわからない。 でも、エーリヒが戦争はもう嫌だ、という気持ちはとてもわかるし、息子ミヒャエルがヒトラーに心酔してドイツ軍に入隊するという時に何も言えないトリーナの気持ちもわかる→ その辺りが読んでいてとても辛くて、歴史を知る者として息が詰まる気持ちだった。 ダムも戦争も、結果を知っているからこそ作中の彼らの感情に揺さぶられる。 そして、クライマックスは何度も本を閉じて装丁を見た。 面白いか否かはわからないが、読んで良かったとは思う、そんな物語。
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オーストリア、イタリア、スイス三国の国境沿いにあるレジア村を舞台にした作品。オーストリア帝国時代は国境なぞを意識せずに自由に行き来した村人たちが、帝国の解体後、イタリアに編入され、ムッソリーニの同化政策に抗う。その後、ナチスドイツによってドイツ領になり、ドイツへの移住、もしくはイ...
オーストリア、イタリア、スイス三国の国境沿いにあるレジア村を舞台にした作品。オーストリア帝国時代は国境なぞを意識せずに自由に行き来した村人たちが、帝国の解体後、イタリアに編入され、ムッソリーニの同化政策に抗う。その後、ナチスドイツによってドイツ領になり、ドイツへの移住、もしくはイタリアへの帰属を迫られる。ナチスの迫害から逃れる逃避行は本書の山場の一つを成している。ついにファシズムとナチスからの迫害から逃れたと思った戦後、今度は資本主義の力によって村はダム底に沈められる。何たる悲劇と思うのだけれど、村人たちは想像するほどに抵抗せずに、徐々に現実に屈服していく。そこには意思を持った主体は登場せず、工事を遂行する帽子を被った現場の責任者しか登場しない。巨大な権力、官僚機構を前にしたときの抵抗運動の虚しさたるや。徐々に村人たちが分断され、村から離れる様などは、福島や、いま能登半島・輪島などで現在進行形で進んでいる話であり、決して他人事ではない。 現代のレジア湖の写真がGoogle MAPで見られるけれど、非常に美しく教会の鐘楼だけが昔の村の存在を主張しているように見える。ウィンドサーフィンをしている人の姿も見られ、レジャー産業が村の収益源となっていることも伺える。過去を悼みながら一度は訪れてみたい場所である。
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