商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 早川書房 |
発売年月日 | 2023/08/17 |
JAN | 9784152102645 |
- 書籍
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焔と雪
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焔と雪
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商品レビュー
3.6
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大正時代の京都が舞台。元警察官の探偵鯉城と、伯爵の血筋で蒲柳の質ゆえ屋敷に引きこもっている露木の安楽椅子探偵バディモノ……この手の連作短編集を読み慣れていない人ほど純粋に楽しめると思うんだが、悲しいかな、ミステリ読み慣れてる人ほど、途中から不穏な気配を気取って、これは途中からアレ...
大正時代の京都が舞台。元警察官の探偵鯉城と、伯爵の血筋で蒲柳の質ゆえ屋敷に引きこもっている露木の安楽椅子探偵バディモノ……この手の連作短編集を読み慣れていない人ほど純粋に楽しめると思うんだが、悲しいかな、ミステリ読み慣れてる人ほど、途中から不穏な気配を気取って、これは途中からアレがアレする奴では?みたいな勘ぐりが働き出すのが勿体ない(これは読者側の問題。私がそうなっちゃったので)。 東京創元社のシリーズが実在の人物も登場する史実寄りのミステリで、講談社の奴は現代のファンタジー要素も入れたライトな読み物路線。で、今回のハヤカワさんところのはなるほどこの路線で来たかーと。大正時代の男→男のクソデカ感情をここまで織り込んだ作品を仕上げてくるとは。BLかと言われるとそこまではいってないな、って感度ですが、ブロマンスバディものとは違う爆弾を抱えているこの二人の物語は本作のさらに続きを読んでみたいです。 四話のタイトルが秀逸でしたね。あれは、読み終わった後にあの話に登場する人物全員それぞれの視点で考えて、どれでも成立する良いタイトル……。そこで残酷で素晴らしいのが全て矢印の向きが一方通行なのだ……。
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大正時代の京都を舞台にした探偵バディもの。 元刑事の鯉城(りじょう)が調査を担当し、貴族の隠し子で病弱で家から出られない露木が安楽椅子探偵のように謎を解くという構図。 二人は共同経営者であるが幼馴染。鯉城にとって露木は謎を解き明かしてくれる名探偵であり彼の縁故もまた探偵事務所の経...
大正時代の京都を舞台にした探偵バディもの。 元刑事の鯉城(りじょう)が調査を担当し、貴族の隠し子で病弱で家から出られない露木が安楽椅子探偵のように謎を解くという構図。 二人は共同経営者であるが幼馴染。鯉城にとって露木は謎を解き明かしてくれる名探偵であり彼の縁故もまた探偵事務所の経営に一役買ってくれているのだが、露木にとってもまた鯉城との探偵業経営は外との世界を繋ぐものでもあり、また鯉城との絆を深めるものでもあった。 誰もいないのに騒ぎ声が聞こえる山荘。 ストーカーの焼身自殺。 浮気調査を受けた夫婦とその疑いを受けた男三人の斬殺事件。 社長夫人を脅迫する元夫と現夫の死。 男女の情念が絡んだ事件を、表向きの物語とは違う真相を露木が解き明かすのだが、それが本当の物語かどうかは分からない。 だがこの作品は推理が正しいのかどうかが本筋ではなく、鯉城と露木とのバディとしての物語。特に露木が謎解きをする意味は、露木のそれまでの人生もあって切ない気持ちになる。 それは露木の世話係である溝呂木にも通じるものがあって興味深い。 狭い世界で生きる露木と、外の世界で様々な人たちと交わりながら胸に抱える者もある鯉城との関係は個人的には好きなタイプなので面白く読んだ。 出来れば二人の今後も見たいが、何しろ虚弱体質の露木だけに難しいか。
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直線的で、簡単な真相では、本当の解決とはならないことがある。人が生きていくためには多層的な解釈を吟味していく必要がある。 そんなことを読み取らせてくれた。
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