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寝煙草の危険
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寝煙草の危険

マリアーナ・エンリケス(著者), 宮﨑真紀(訳者)

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寝煙草の危険

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 国書刊行会
発売年月日 2023/05/22
JAN 9784336074652

寝煙草の危険

¥4,180

商品レビュー

3.7

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2025/12/29

このホラ大賞の短編集。 ラテンアメリカの香りはしつつ、ジェンダー・社会的な題材も取り扱う。 他のラ米文学と比べても突出した表現がなく、そこまでハマらなかった。脱糞やら嘔吐やらが好きなんだなと思った。 ちっちゃな天使を掘り返す 腐った赤ん坊を見つける話。 わたしは彼女の顔を覆って...

このホラ大賞の短編集。 ラテンアメリカの香りはしつつ、ジェンダー・社会的な題材も取り扱う。 他のラ米文学と比べても突出した表現がなく、そこまでハマらなかった。脱糞やら嘔吐やらが好きなんだなと思った。 ちっちゃな天使を掘り返す 腐った赤ん坊を見つける話。 わたしは彼女の顔を覆ってからリュックに詰め込み、一五番のバスでアベジャネダに向かった。 湧水池の聖母 なによ、偉そうに、ぺちゃんこお尻の色黒女!まぬけにもほどがある。そいつらはあたしの犬だよ! ショッピングカート 浮浪者をいじめて脱糞させた街からお金や電気食料などなどが消えていく話。 どこにあるの、心臓 異常心音を聞きたい女と聞かせたい男。 肉 死んだロックスターの肉を喰らうバンギャの鑑。 二人は棺を開け、エスピナの遺骸を吐き気を催しながらも熱心に食べたのだ。骨のまわりにあった嘔吐物が彼女たちの必死の努力を証明していた。 誕生会でも洗礼式でもなく 悪魔に取り憑かれたと言い張る女の子を撮影するカメラマン。 何より驚いたのが、出されたのがお茶だったことだ。性的倒錯者は絶対にお茶は出さないんだ、と彼は説明した。かならずコーヒーだし、夜なら赤ワインと相場が決まってる。 戻ってくる子供たち 行方不明になった子供達が一斉に帰ってくる。 わたしたちが死者と話していたとき ウィジャボードは危険が危ない。 井戸 悲しみの大通り 展望塔 寝煙草の危険

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2025/12/18

アルゼンチン作家のホラー短編集。ちっちゃな天使を掘り返す/湧水池の聖母/どこにあるの、心臓/肉が特に印象に残っています。幽霊、降霊術、悪魔、ゾンビといった類のものから、人間の嫌な部分、狂気の行き着く果てを描いた作品も。不穏でじわじわと足元から怖さが忍び寄る感覚。子どもや女性を主役...

アルゼンチン作家のホラー短編集。ちっちゃな天使を掘り返す/湧水池の聖母/どこにあるの、心臓/肉が特に印象に残っています。幽霊、降霊術、悪魔、ゾンビといった類のものから、人間の嫌な部分、狂気の行き着く果てを描いた作品も。不穏でじわじわと足元から怖さが忍び寄る感覚。子どもや女性を主役に据えた作品が多い。面白いです!

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2025/11/10

貧困と社会不安から湧き上がってくるホラーを、ドライで簡素でありながらマジカルな筆致で描きだした短篇集。 評判はかねがね聞いていたのでどんなものかと探る気持ちで読み始めた。「展望塔」辺りまでは語り口がスタイリッシュな今風のホラーだなくらいに思っていたら、「どこにあるの、心臓」以...

貧困と社会不安から湧き上がってくるホラーを、ドライで簡素でありながらマジカルな筆致で描きだした短篇集。 評判はかねがね聞いていたのでどんなものかと探る気持ちで読み始めた。「展望塔」辺りまでは語り口がスタイリッシュな今風のホラーだなくらいに思っていたら、「どこにあるの、心臓」以降キレ味鋭い作品がズラッと並んでいてすっかり参った。 あけすけな語り口で身も蓋もないことがサクッと言葉にされているので、一瞬気づかず通り過ぎたあと二度見してギョッとする、みたいな文章が持ち味なのだが、エンリケスはジャーナリスト出身だそうでとても納得した。その身も蓋もなさには、どこかルシア・ベルリンのような味わいもある。以下、印象に残った作品の感想。 ◆「ちっちゃな天使を掘り返す」 結末に、確かに成仏って生者本位のシステムなのかもなぁと納得して笑ってしまった。語り手のヤケクソ具合も相まってコントのよう。 ◆「湧水池の聖母」 洋画・洋ドラを見ていると10代のドラッグとセックス問題が繰り返し描かれるので、ンモーこいつらも本当は何も楽しくないだろとうんざりだったのだが、この小説の少女たちが語る「湧水池の冷たい水で体を濡らしたまま、狭い浜辺で横になっている彼と代わるがわるセックスしながら、池の主がいつ発砲してくるかと待つ。そして、銃弾の雨が降る中を、半裸のまま幹線道路をめざして一目散に走るのだ」というスリリングな欲望は叶わないからこそ鮮烈で、私がうんざりしていたティーン表象をも説明してくれている気がしてストンと腑に落ちた。 ◆「哀しみの大通り」 腐臭の描写が上手くて嫌。政治的にはクリーンになったはずの都市にストリート・チルドレンの霊魂がうようよと犇めいているというイメージはかなり歌舞伎町っぽく、読みながらトー横ホラーという概念が頭に浮かんだ。この辺からエンリケスは物凄く絶妙なタイミングで物語をぶった切る天才だと気づく。 ◆「どこにあるの、心臓」 乙一の『GOTH』を初めて読んだときを思いだした。これ以降の三作は日本の90~00年代の青春ホラーと共通する空気が漂っていると思う。インターネット時代のゴスの生態。薄暗い熱病のようなフェティシズムと性描写の身も蓋もなさ。 ◆「肉」 夭折したスターとそのファンダムを聖書になぞらえて描いためっちゃ今っぽい話。スターの死にざまとその後の死肉食らいシーンは収録作中でも一番ゴアだが、カリカチュアライズされているせいか他の作品よりポップでもある。男性アイドルオタクとしては、ファンダム内の力関係でトップ2にいる二人が手を繋いで墓荒らしするという設定にリアリティが感じられて嫌だった(笑)。男性スターを人身御供に捧げて勃興するシスターフッド。津原泰水の『妖都』も思いだす。 ◆「誕生会でも洗礼式でもなく」 悪魔憑きを訴えるティーンの女の子を説得するため、ハメ撮り専門カメラマンを雇う母、という構図がもうダメなんだけど、父親による性的虐待の可能性に語り手が最後まで一切触れないのが一番不気味。この人の作風からして明らかに故意だろう。カメラマン本人ではなく彼の女友だちの視点から描くことで、悪魔憑きの女の子への好奇心ではなく彼女を取り囲む状況の不穏さに焦点を当てている。 ◆「戻ってくる子供たち」 これは本当に怖かったし居心地悪かったしマジで容赦ないな~~と思った。第一に、子どもたちの失踪にまつわる現実的な背景が恐ろしすぎる。児童保護施設に勤めながらも、記録庫の管理係という壁一枚隔てたところにいる語り手は、ジャーナリストに資料を差しだしながらも直接深入りしようとはしない冷淡さも卑近でリアルで、身に覚えのある感情だからこそ怖かった。この子どもたちのゾンビは「哀しみの大通り」の幽霊たちと同じで、個々人が蘇ったというより全員の意識を共有した、社会的な罪悪感の擬人化のようなものなのだろう。ホラーというエンタメが持つ、生者と死者の別れを切なく演出するためのロマンティックな甘さがこの作品には全くない。実録犯罪もののような緊迫した読み味。 ◆「わたしたちが死者と話していたとき」 こっくりさんをしながら知り合いに失踪者が何人いるかを自慢していく女の子たちの会話がリアルだなと感心していたが、解説で社会的な背景を知ると余計に恐ろしい。そして一番怖いところでスパッと終わる。最近はホラーでも腑に落ちるオチがあったり伏線回収したりするのが人気だけど、やっぱり無差別に襲い掛かる理不尽ほど恐ろしいものはない。そして、その点では幽霊も悪魔も邪神も犯罪組織も一緒なんだよな。

Posted by ブクログ