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寝煙草の危険 の商品レビュー

4.1

12件のお客様レビュー

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2024/09/18

ついにキターーー!やっと図書館の順番が回ってきたよ(一冊4000円強の訳書なので貧乏学生にはさすがに買えないでふ…) 「このホラーがすごい!」で海外部門1位だった寝煙草の危険、どんな話かお手並み拝見させてもらおうじゃないの 途中まで読んだ 面白いんだけど、訳書だからどうしても読...

ついにキターーー!やっと図書館の順番が回ってきたよ(一冊4000円強の訳書なので貧乏学生にはさすがに買えないでふ…) 「このホラーがすごい!」で海外部門1位だった寝煙草の危険、どんな話かお手並み拝見させてもらおうじゃないの 途中まで読んだ 面白いんだけど、訳書だからどうしても読みづらい、あとホラーではあるけど全く怖くない。 グロいシーンも少ないし。最初の一編くらいじゃないかな? 普通に少し暗い小説の短編集って感じ。 物語としてはホラー(ゴシックホラーってやつかな?)なんだけど、やっぱり西洋のホラーは全く怖くないな〜 自分がアジア人だからなのか、アジアンホラーが普遍的に怖いのか、どっちかわかんないね。(個人的には後者だと思ってる) ホラーとして読むとちっとも怖くはないけど、まあ、文学作品として読むと、感情の機微が丁寧に描かれてて、小説としてのオチはどの短編も基本的に面白いかな。ボキャ貧でごめん ホラーだからこう、人間の利己的で汚いところ、社会の闇みたいなのは結構描かれててよかった。あと例によって性格の悪い女性の解像度が高いですね。女性作家あるある。 エンタメとして完結してるんじゃなく、ちょっと社会派的なメッセージも込めてるタイプのホラーでもある ぼぎわんシリーズとかもちょっとそういうところあるけど ※一応読んだ短編のうち面白かったやつを記録しておく 井戸 いわゆるオチのあるホラーって感じで面白かったな 露悪的な感じも含めて 展望塔 同じくオチがあってよかった 悲しみの大通り 点と点が繋がる的な、ちょっと謎解き要素もある 友人の最後の一言がいいね わたしたちが死者と話していたとき あー、よせばいいのに禁忌に触れてしまったんですね とてもクラシックなホラーの展開 こういうことを面白半分でやってはいけませんね

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2024/08/03

2024/8/3 読了 外国が舞台の本は、文化が違うからか読みづらく感じる本が多いけど、これは違った。訳者の方が良いのか、つっかえることなく読めた。 少しグロテスクな内容で、性があけすけ?な感じが驚くと共に、ホラー感があり、別の本も読みたいなと思った

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2024/07/24

「アルゼンチンのホラー・プリンセス」と呼ばれる作者のホラー短編集。アルゼンチンというのはあまり馴染みのない国で、だから風習とか国の雰囲気とかそういう部分はすっと入って来にくい部分はありますが、それもまた作品の味わいとして印象的です。 お気に入りは「展望塔」。オーソドックスなゴシッ...

「アルゼンチンのホラー・プリンセス」と呼ばれる作者のホラー短編集。アルゼンチンというのはあまり馴染みのない国で、だから風習とか国の雰囲気とかそういう部分はすっと入って来にくい部分はありますが、それもまた作品の味わいとして印象的です。 お気に入りは「展望塔」。オーソドックスなゴシックホラーという感じの雰囲気がとても好きな一作です。これは際限なく連鎖していくのかも、と思わせられるところもまた恐怖。 「わたしたちが死者と話していたとき」もぞっとさせられる一篇でした。ウィジャボードは魅力的なアイテムなのですが、やはり底知れない恐ろしさを感じさせられます。しかもこの恐怖は予想外のところから来たなあ。 「どこにあるの、心臓」はタイトルの意味が一番気になった作品です。こんなジャンルがあったの? と驚いてしまうフェチズムの物語。どんな要素でも感じる人にとってはエロティックなんですね、というのが衝撃的です。

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2024/07/17

おすすめ資料 第589回 言語を超えて届く作品を味わう(2024.07.12) 図書館では、スペイン語圏の小説の日本語翻訳版を網羅的に集めています。 こちらの2冊は、今年の日本翻訳大賞の最終選考作品に選ばれ、また、英訳はブッカー国際賞の最終候補に入りました。 言語を超えて評...

おすすめ資料 第589回 言語を超えて届く作品を味わう(2024.07.12) 図書館では、スペイン語圏の小説の日本語翻訳版を網羅的に集めています。 こちらの2冊は、今年の日本翻訳大賞の最終選考作品に選ばれ、また、英訳はブッカー国際賞の最終候補に入りました。 言語を超えて評価された作品を味わってみませんか。 【神戸市外国語大学 図書館蔵書検索システム(所蔵詳細)へ】 https://library.kobe-cufs.ac.jp/opac/opac_link/bibid/BK00363114

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2024/07/15

現代を生きる若者たちを主に主人公に据えて、昔ながらの民間伝承や信仰を織り込み、現代の社会問題を絡めて描き出した味わい深いホラー短編集。不条理さと現実の不合理さが同時に味わえる、複雑な面白味のある話を楽しめました。 この短編集の中では、「戻ってくる子供たち」が一番印象的でした。一...

現代を生きる若者たちを主に主人公に据えて、昔ながらの民間伝承や信仰を織り込み、現代の社会問題を絡めて描き出した味わい深いホラー短編集。不条理さと現実の不合理さが同時に味わえる、複雑な面白味のある話を楽しめました。 この短編集の中では、「戻ってくる子供たち」が一番印象的でした。一見現代の社会問題を追っているような筋書きから、次第に不条理な不気味さが表に出てきて、現実を凌駕していく。けれどその不条理さは、辛く酷い現実を今生きている少年少女たちのどこへも表出しない辛みの別側面でもあるようで、けして絵空事だと軽んじて受け止められない重みを感じました。 多くの短編でこの短編のように貧困などに晒されて辛い現実を生きる少年少女の姿が描かれていて、それに向き合い切れていない国や社会の「不条理さ」を物語のかたちに変えて描いているような印象も受けました。 この地に足が付いた不可思議さを描く作風はとても好みでしたので、別の作品も読んでみたいです。

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2024/07/02

海外のホラー自体あまり読んで来なかったのですが、こちらはスパニッシュ・ホラー(スペイン語圏のホラー文芸)という馴染みのない本で、新鮮な読み心地でした。 心霊現象、呪い、降霊術といった、ホラー作品においてポピュラーな素材を使ってはいるものの、お国柄なのか、それとも作者の特性なのか、...

海外のホラー自体あまり読んで来なかったのですが、こちらはスパニッシュ・ホラー(スペイン語圏のホラー文芸)という馴染みのない本で、新鮮な読み心地でした。 心霊現象、呪い、降霊術といった、ホラー作品においてポピュラーな素材を使ってはいるものの、お国柄なのか、それとも作者の特性なのか、どこか乾いた空気感が常に漂っていて、暗い話というよりかは人間の”狂気”にフォーカスしている側面が強いように思います。 全12篇の短編集であり、10ページくらいでサクッと終わる話もあれば50ページ近くの話もあります。不可思議なことが起こったときの反応は短編ごとにバリエーションがあって、例えば「ちっちゃな天使を掘り返す」では赤ん坊の頃に死んでしまった祖母の姉妹が霊となって出てくる話なのだけど、主人公がさほど怖がっておらず、手のかかる子どもに接するくらいの距離感でいるのに情緒(と言って良いのかわからないけど)を感じました。 呪いをかける側の話、かけられる側の話どちらもあり、普段通りに日常生活をしていただけなのにポイッと絶望的な状況に落とし込まれるってこともしばしば。でも霊にしろ生者にしろ、嫉妬とか性欲とか後ろ暗い感情も併せて持っている場合が多いため、作品全体に「生気」が満ちています。てか変態っぽい登場人物が案外多いです。道ばたで脱糞する話が2回もありますし、恐さのベクトルが狂気寄り。アルゼンチンの歴史、あるいは女性性についてをホラーとして語ることを作風としているようで、政治性やメッセージ性は意外と強いです。が、それが作品のわかりづらさや難しさになってるということはなく、むしろ芯の通った話になっていると感じました。 あと「そこで終わるの!?」という短編がちらほらあって、もっと続きが読みたくなりました。でもたぶんあそこで終わらせるからこそ、物語の広がりとか恐怖感の持続に繋がってるんだろうなあとも。 お気に入りの短編は「ちっちゃな天使を掘り返す」「ショッピングカート」「肉」。タイトルから想像するものを超えたグロテスクな内容で、嫌な情景が脳にこびりついて離れません。

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2024/01/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

〈アルゼンチンのホラー・プリンセス〉による12編の悪夢。幽霊や魔女、呪いといったガジェットが登場するゴシック調ホラーに描かれるのは、現実のアルゼンチンが抱える過去の傷と病理。本書全体に漂う倦怠感と閉塞感、絶望、そしてグロテスクなまでに生々しい生への渇望。 ・小さな骨を庭から掘り出したことで赤子の幽霊に付き纏われる少女「ちっちゃな天使を掘り返す」。アンヘリータ(ちっちゃな天使)の望みとは一体何だったのか。 ・少女たちの憧れと嫉妬が残酷な結果を招く「涌水地の聖母」。この"少女たち"というワードもエンリケス作品の重要な要素なのかも。 ・住宅街に現れた酔いどれの老人はゴミを満載したショッピングカートを押していた「ショッピングカート」。呪い以上に怖いのは嫉妬……あるいはそれも呪いだったのか。 ・家族旅行からの帰宅後6歳の少女は"恐怖"を知った「井戸」。異様なまでの恐怖心を抱えた少女が辿り着いた悍ましい真相。結末は収録作で最も惨い。 ・5年ぶりにバルセロナを訪れた主人公が悪臭に付き纏われる「悲しみの大通り」。スペインも"陽光溢れる国"という顔だけではないということ。 ・ホテルの展望塔に棲む"彼女"「展望塔」。正調ゴシック怪談を45度ずらして描いたーといった趣き。 ・他人の心音に激しい興奮を覚える女性「どこにあるの、心臓」。フェティシズムの行き着く先。 ・異様な自死を遂げたロックスター。熱狂的ファンの少女2人が彼の歌に従った行為とは「肉」。凄惨な聖餐。 ・幻覚に苦しむ娘を撮影して欲しいとの依頼を受けた映像制作業の男が映したもの「誕生会でも洗礼式でもなく」。少女のいう"彼"とはエクソシスト的なものなのか、あるいは抑圧された精神によるヒステリーだったのか。 ※正直、この3編はどうも好みでないw ・行方不明の子供たちの情報を管理する部署に勤めるメチは、ファイル中の美しい14歳の少女に強い関心を覚える「戻ってくる子供たち」。収録作中最も長い(といっても70㌻弱)作品。アルゼンチンの抱える闇と不条理が色濃く描かれ、現実の恐怖と超自然的要素が相俟って恐怖度は作中随一。 ・自宅のベッドで煙草を吸い続ける女性のモノローグ「寝煙草の危険」。"倦み疲れる"という感覚が行間からじくじくと滲み出てくるような表題作は、超自然的要素はないが、本書で描かれた世界の肌触りと臭いを集約しているようにも―。 ・友人宅でウィジャボードに興じ、行方不明者を呼び出そうとした少女たち「わたしたちが死者と話していたとき」。いわゆる"こっくりさん"テーマなので馴染みはあるが、半世紀前の軍事政権下で起きた大量の行方不明事件という史実が織り込まれることで、単なる怪談に留まらない怖さを帯びている。

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2023/10/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

マリアーナ・エンリケスのデビュー作。 国書刊行会のスパニッシュ・ホラーシリーズ第2弾。 幻想味が強いエルビラ・ナバロと違い、純粋ホラーな作風。人間の怖さというより、呪術やゾンビ、幽霊などの怖さを描いた作品が多い。 わかりやすくホラーな分、読みやすかった。そしてエゲツない表現は共通。ある意味リアルなのだろうか。。。 (本体が高いこともあり)高級チョコのような味わい方で楽しませてもらった。第3弾が待ちきれない。 ○ちっちゃな天使を掘り返す ちっちゃな天使の正体がエグい。そして描写もグロい。だけどユーモアあふれるゴーストストーリーなのが不思議。 ○湧水池の聖母 気に食わない先輩と狙っていた男子が付き合い始め、全然面白くない女子グループの話。全員肉食系。あと呪い方法がエグい。 ○ショッピングカート ★おすすめ 追い出した浮浪者が置いていったショッピングカートから呪いが湧き出て、その区画の住人に不幸が襲いかかる話。悲惨。サラッと悲惨。 最後は誰の?という疑問と、ママも同列になったのでは、と思わせる終わり方。 ○井戸 ★おすすめ 子供の頃、呪い師の家に行った時から、何をするのも不安と恐怖でいっぱいになった女の子の話。救いもなく酷い話。 ○悲しみの大通り 友人の家がある通りの匂いが耐えきれない。その昔は治安の悪い、モラルがない通りだったが、今はきれいになっている。だけど上部だけで、死んだ子供たちの霊が徘徊している。子供たちの霊がエグい。 ○展望塔 古いホテルが舞台。恋人に捨てられたが、まだ連絡を待っている女と、それを見守るホテルの幽霊の話。思ったよりテンプレなゴーストストーリーか。 ○どこにあるの、心臓 ★おすすめ もうサイコパス。変態のサイコパス。変態しかいない。途中で着地点は読めるけど、それでもやっぱりキツい。 ○肉 ★おすすめ うん、ヤバい。短めな短編だが、「どこにあるの、心臓」を軽く超える狂気だった。二人の少女の究極のファン行為。 ○誕生会でも洗礼式でもなく 誕生会でも洗礼式でもなく、そういった普通のイベント以外での撮影を専門とする男が出会った少女の話。エクソシストか?それとも虚偽か?どうやら前作にも関連するキャラが出ていたようで。 ○戻ってくる子供たち ★おすすめ 少し長めの短編。行方不明になった少年少女が、行方不明になった時のまま戻ってくる話。チェンジリング。じわじわと蝕まれていく、ねちっこい怖さが良い。 ○寝煙草の危険 表題作。火に誘われる女の話。不感症?自殺願望?短いながらも、この短編集の性格をギュッと詰めた話だと感じた。 ○わたしたちが死者と話していたとき ウィジャボードで行方不明者と会話をする5人の少女の話。これも、割とテンプレートなゴーストストーリー。特に日本はコックリさんがあるから、見たことがあるストーリー展開かも。

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2023/09/23

・とっつきにくいかな?と思っていた読む前の印象と違い全然読みやすかった。訳が良い?のか?言葉も現代的なスラングも使われている所もあり、面白かった。 ・全体的に覆われる不穏感。ラテンアメリカ文学的は不思議さみたいのも感じるけど、何となく思っていたのは映画のJホラー的な不穏さ。何もま...

・とっつきにくいかな?と思っていた読む前の印象と違い全然読みやすかった。訳が良い?のか?言葉も現代的なスラングも使われている所もあり、面白かった。 ・全体的に覆われる不穏感。ラテンアメリカ文学的は不思議さみたいのも感じるけど、何となく思っていたのは映画のJホラー的な不穏さ。何もまだ起こってないのに何かが進行している様なドキドキ。日本的な環境とは明らかに違う場所での話なのにスッと入っていけるのは、その感覚の既視感があったから、かな?

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2023/08/06

★5 弱者の現実と奈落の底からの叫び声が聞こえる… アルゼンチン作家のホラー短編集 #寝煙草の危険 ■きっと読みたくなるレビュー アルゼンチンの作家、掌編・短編からなるホラー作品集。良い作品なので、しっかりと読みましょう。 テイストとしては文芸作品ですが、痛烈で狂気な描写が多...

★5 弱者の現実と奈落の底からの叫び声が聞こえる… アルゼンチン作家のホラー短編集 #寝煙草の危険 ■きっと読みたくなるレビュー アルゼンチンの作家、掌編・短編からなるホラー作品集。良い作品なので、しっかりと読みましょう。 テイストとしては文芸作品ですが、痛烈で狂気な描写が多く、アルゼンチンの歴史や現実も克明に記された内容。正直、治安と経済状況がいい日本に生まれたことを安堵してしまいました。 本作はあからさまな表現で豊富で、めっちゃメッセージ性が強い。そして気がついたら読み切ってしまうほど、熱中度が半端ないです。読めば読むほど味わい深く、すっかりエンリケスの沼にはまってしまいました。 〇ちっちゃな天使を掘り返す 可愛いんだけど怖いという矛盾に包まれる。哀愁も漂う美しい作品。 〇湧水池の聖母 惜しげもなく表現された女の嫉妬と業。冷酷さが怖すぎ。 〇ショッピングカート まさに絶望への階段…薄暗く不安定な恐怖を体験できる。 〇井戸【おススメ】 魂と狂気、井戸の底に見えたものは… 不安に包まれる少女の精神描写が力強く、心臓がつぶされる感覚になる。 〇悲しみの大通り 書かれている一文一文、何もかもが受け入れがたい。唯一救われるのは、友人の思いやりだけ。 〇展望塔 いわゆるこんな症状に侵されている人間の深淵を垣間見る。絶望すら生ぬるく、生気が全く感じられない。 〇どこにあるの、心臓【おススメ】 変態。あまりにも純粋すぎる変態。すべての描写がストレートで潔く、ラストも大好きな作品。 〇肉 アルゼンチンの推し燃ゆ+狂気。彼女たちがこうならないための手段はなかったのだろうか。 〇誕生会でも洗礼式でもなく 小児性愛の変態性すら霞む異常性、1ミリも理解できない。穢らわしい表現が読者の精神を蝕んでいく。 〇戻ってくる子供たち【おススメ】 本書の中では比較的長めの短編。全編にわたって現実から目をそむけたくなる。アルゼンチンの非業な歴史、辛辣な社会を感じさせる。意外な展開から結局どういうことなのか混乱するが、作者の言いたいことは最後の一文に現れている。 〇寝煙草の危険 弱弱しい生命の灯、それでも吸い寄せられてしまう光。虫けら同然の無為の人生に包まれる。 〇わたしたちが死者と話していたとき 交霊術の恐ろしい顛末。ウィジャボードからのメッセージが怖すぎる。これもアルゼンチンの悲しい歴史を感じさせる作品。 ■きっと共感できる書評 本作各編の主人公は、子ども、経済的に恵まれない人、病気の患っている人々など社会的弱者が多い。彼らの現実と奈落の底から聞こえる叫び声が、読者を追い込んでいくのです。 ある程度恵まれた国で生活している私たち。保身のために、彼らから目を背けてしまうますが、我々は手を差し伸べる勇気を持たければなりませんね。

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