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夜果つるところ
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夜果つるところ

恩田陸(著者)

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夜果つるところ

1,980

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 集英社
発売年月日 2023/06/26
JAN 9784087714319

夜果つるところ

¥1,980

商品レビュー

3.6

153件のお客様レビュー

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2026/03/03

昭和初期、山間の遊郭・墜月荘で、私は三人の母と共に生活していた。 産みの母・和江、育ての母・莢子、名義上の母・文子。館に訪れる軍人や客、下働きの男女たち…私の視点で紡がれるのは、不穏で耽美な空間。「鈍色幻視行」の核となる作中作。 浮き世離れしている作品。 主人公であるビイちゃん...

昭和初期、山間の遊郭・墜月荘で、私は三人の母と共に生活していた。 産みの母・和江、育ての母・莢子、名義上の母・文子。館に訪れる軍人や客、下働きの男女たち…私の視点で紡がれるのは、不穏で耽美な空間。「鈍色幻視行」の核となる作中作。 浮き世離れしている作品。 主人公であるビイちゃんがあまり主張してこないせいか、のっぺりした平板な印象を受ける。読者は、輪をかけて遠くから墜月荘を眺めているような気分にさせられ、終始視点は俯瞰だった。それをのめり込む事ができなかったと評価することもできるのだが、この奇妙な距離感があったおかげで、墜月荘の非日常感が色濃く演出できていたという見方もできる。非常に評価が難しい作品。 恩田陸ってやっぱりすごいな。 雰囲気の魔術師とでも言おうか、いつもどの作品でも雰囲気は必ずパーフェクト。この作品でもそれは顕著だ。これは、映像化したくなるな。 しかし、それ以上に私が感心したのは恐れずに自分に挑む姿勢だ。本作は「鈍色幻視行」において、多くの業界人が評価し、執着した幻の名著。自分が設定した名著を自分で書いちゃえるこの心意気!素晴らしすぎないか?自分のポテンシャル以上の設定を生み出す時(天才や現存しない技術等)、詳細を語らずぼかしたくなるところを、さくっと本作を書いてくる。これがあの「鈍色幻視行」で持て囃されていた名著ですよ、と。その姿勢に脱帽。 これはもう内容とかじゃない。 100%雰囲気で読むのが正しい読み方な気がする。この空気感が好きかどうか。むしろそれだけでいいのかもしれない。考察や伏線もあるのかもしれないが、それももはやいい。レビューを書くうちにそう思った。真相ももはやいい。これでいい。業界人垂涎の曰く付きの名著というお題で仕上げた作品としてはこれ以上の物はない。

Posted by ブクログ

2026/01/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

3人の母を持つ少女の奇妙な物語 少女は産みの親、育ての親、名義上の親がいる 少女が住む館には様々な奇妙な男たちが訪れる ここではいろんな人が死に、いなくなる かなり読みにくい文章ではあるが、独特な言い回しは面白く感じた

Posted by ブクログ

2025/12/10

【短評】 先日読んだ『鈍色幻視行』の中核を成す作中作『夜果つるところ』に挑戦である。 正直に言えば、ある種の「原作未読勢」として臨んだ『鈍色幻視行』が単体として満足に足る出来だったので、本作については敢えて曖昧模糊とした儘にするのも良いかと思っていた。しかしながら、ブクログで初め...

【短評】 先日読んだ『鈍色幻視行』の中核を成す作中作『夜果つるところ』に挑戦である。 正直に言えば、ある種の「原作未読勢」として臨んだ『鈍色幻視行』が単体として満足に足る出来だったので、本作については敢えて曖昧模糊とした儘にするのも良いかと思っていた。しかしながら、ブクログで初めて頂戴したコメントが本作をお勧めするものだったため、それもまた出会いであると思い直し、手に取った次第だ。 結果ーーいやぁ、大好きだった。本当に好みど真ん中。『鈍色幻視行』の存在を無視したとしても、十分魅力的な作品に仕上がっていると思う。 館は、その名を墜月荘(ついげつそう)といった。 昭和初期、山奥に建つ奇怪な遊郭・墜月荘を取り巻く人々と、彼らの凄惨な行く末を、「私」という子供の目線を以て回想する。そんな物語である。 読書遍歴或いは志向において、私は「耽美」という感覚を知り得なかったが、本作に纏わり付く独特の空気感がソレなのではないかと夢想した。物語の筋がどうこうというよりは、あの恩田陸が雰囲気に全振りすると、ここまでの作品が産まれるのかと、ただただ圧倒されていた。脳内にパッと咲く印象的なシーンの連続で、イメージの奔流に揺蕩っているうちに読了してしまった。レビューでこんな事を言うのは無粋だが、この系統の作品の魅力は、盤外からの紹介ではなく、実際に読み、触れ、感じないことには解することが出来ないだろう。 鳥籠を見詰める壊れた女郎。月観台から覗く「夜の終わり」。炎の中で舞う男。 全ての情景が心に染み付き、未だにリフレインされている。 さて。恩田陸/飯合梓(めしあいあずさ)の併記にて上梓された本作は、別作『鈍色幻視行』における重要なコンテクストである。同作には『夜果つるところ』に魅了された数々の好事家が登場するからして、本作は「人々を誘引する力を秘めた作品」という前提に立って書き上げる必要がある。ある意味、作品として最も強い制約を課せられている訳だが、そこに来て「これは語りたくもなるな」と思わせる作品を生み出すことが如何に凄まじいことか、嗚呼、私は声を大にして叫びたい。 【気に入った点】 ●情景描写が特異な作家が、情景に全振りしたような作品。立ち現れるシーンがただただ美しい。『鈍色幻視行』において、映画監督が「昭和に映画化しておくべきだった作品」である旨を述べていたが、その意見については首がもげる程に首肯したい。 ●瑕疵が無いとは言わない。終盤に掛かる怒涛の展開に追いつけない部分もあった。しかしながら「嗚呼、美しい」で全てを黙らせる力があった。波長の合う/合わないがある作品であるから、ハマらない場合とことんハマらないかもしれない。 【気になった点】 ●『鈍色幻視行』において、本作に関する重大なネタバレがある。作中屈指の見せ場をどうして先に言ってしまうのだと思わなかったといえば嘘になる。異なる二作品が連関する構造は興味深いが、それは少々やり過ぎでは無いかと思った。 最後に。 作者の意向とは異なるようだが、個人的には『夜果つるところ』→『鈍色幻視行』の順で読むことを推したい。事前知識無しで挑むほうが、余計なノイズ無しで楽しめると思う。(商業的には『鈍色』→『夜果つる』のほうが売れそう、とか穿った見方をしてしまった部分もあるが、長くなりそうなので割愛する) 貴方個人の感想を引っ提げて、クルーズ船に乗車してみて欲しい。 私には出来なかった体験が出来る貴方が実に羨ましい。

Posted by ブクログ