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街とその不確かな壁
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街とその不確かな壁

村上春樹(著者)

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街とその不確かな壁

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 新潮社
発売年月日 2023/04/13
JAN 9784103534372

街とその不確かな壁

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商品レビュー

3.9

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2026/06/23
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p173 「耳を貸しちゃいけません」と影が背後で囁いた。「見るのも駄目です。こんなものただの幻影に過ぎません。街が俺たちに幻影を見せているんです。だから目をつぶって、そのまま突っ切るんです。相手の言うことを信じなければ、恐れなければ、壁なんて存在しません」 p368 〜駅近くのコーヒーショップでかかっていた、コール・ポーターのスタンダード曲の題名を。『Just One of Those Things(よくあることだけど)』だ。 p383 「本体と影とは本来表裏一体のものです」と子易さんは静かな声で言った。「本体と影とは、状況に応じて役割を入れ替えたりもします。そうすることによって人は苦境を乗り越え、生き延びていけるのです。何かをなぞることも、何かのふりをすることもときには大事なことかもしれません。気になさることはありません。なんといっても、今ここにいるあなたが、あなた自身なのですから」 p537「そういうこと」と彼女は言った。「私だけのちょっとした秘密の儀式なの。一日に一本の薄荷入り煙草と、一杯のシングル・モルト。ときどきにはワインになるけど」 「独身者にはそういうささやかな儀式が必要となる。一日いちにちをうまく送り出していくために」 「あなたにもそういう儀式みたいなものはあるのかしらか?」 「いくつか」と私は言った。 「たとえば?」 「アイロンをかける。スープストックを作る。腹筋を鍛える」 彼女はそれについて何か意見を述べたそうだったが、結局何も言わなかった。 p576「彼の語る物語の中では、現実と非現実とが、生きているものと死んだものとが、ひとつに入り混じっている」と彼女は言った。「まるで日常的な当たり前の出来事みたいに」 「そういうのをマジック・リアリズムと多くの人は呼んでいる」と私は言った。 「そうね。でも思うんだけど、そういう物語のあり方は批評的な基準では、マジック・リアリズムみたいになるかもしれないけど、ガルシア=マルケスさん自身にとってはごく普通のリアリズムだったんじゃないかしら。彼の住んでいた世界では、現実と非現実はごく日常的に混在していたし、そのような情景を見えるがままに書いていただけじゃないのかな」 p585 いったいどこが出発点であったのか、そして到達点と呼べる等なものがどこかに存在しているのか、いないのか、考えれば考えるほど、判断がつかなくなっていった。いや、途方に暮れる、というのが正しい表現だろう。きりっと澄んだ冷ややかな月の光が、雪解けの水を集めて賑やかな音を立てる川面を照らしていた。世界にはいろんな種類の水がある。そしてそれはすべて上から下へと流れていく。自明のこととして、何の迷いもなく。 p596 私の記憶と、私の現実とがそこで重なり合い、ひとつにつながって混じり合う。私はその様子を目で追っている。 p637 「本物でも偽物でも、そのへんはもうどちらでもいいことです。事実と真実とはまたべつのものです。〜その中にこんな記述があります。酋長は集まったみんなに向かって言います。『誰でも足を使って椰子の木に登るが、椰子の木よりも高く登った者は、まだ1人もいない』。〜 p638「しかし、酋長の話に逆らうようですが、ひとつこのように考えてみてはどうでしょう。つまり、椰子の木よりも高く椰子の木を登ってしまった人間は、まったくいないわけではないのだと、たとえばここにいるぼくとあなたは、まさにこのような人間ではないでしょうか」〜「つまり、ぼくらは樹木を離れて、虚空にいるということなのかな?掴むべきものが存在しないところに」  少年は小さく堅く頷いた。「そのとおりです。僕らはいうなれば虚空に浮遊しているのです。そこには掴むべきものはありません。しかしまだ落下してはいません。落下が開始するためには、時間の流れが必要となります。時間がそこで止まっていれば、僕らはいつまでも虚空に浮かんだままの状態を続けます」〜 p639 〜「落下を防ぐ方法はおそらく見つからないでしょう。」と少年は言った。「しかしそれを致命的でなくするための方法は、なくはありません」 「たとえばどんな」 「信じることです」 「何を信じるんだろう?」 「誰かが地面であなたを受け止めてくれることをです。心の底からそれを信じることです。留保なく、まったく無条件で」 p644 〜それは私の内側にいる活発な兎と関係したことなのだろうか? 「ええ、そうです。それはあなたの内側にいる兎が、あなたに身をもって告げていることです」 p646 まるで春の野原の若い兎のように、と私は思った。

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2026/06/07

この世界は私にはすんなり受け入れられるものだった。私にもこの世界が現実か夢かよくわからなくなる時が度々ある。この作品を読めたことに感謝したい。

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2026/06/06

この本には、夢を読むという行為がある。そこを読む度に、ユング心理学を思い出してしまう。 ユング心理学にも夢が出てくる。 夢はその人間が作り出したもの。ユング心理学によると、そこは無意識からのメッセージがある。それを真摯に受け止め続けると、相談者が治っていく。 この本のタイトル...

この本には、夢を読むという行為がある。そこを読む度に、ユング心理学を思い出してしまう。 ユング心理学にも夢が出てくる。 夢はその人間が作り出したもの。ユング心理学によると、そこは無意識からのメッセージがある。それを真摯に受け止め続けると、相談者が治っていく。 この本のタイトルに、不確かなと書いてある。 不確かなとは、夢と似ている。 この本自体が夢のようなもののように感じられる。 夢からメッセージを受け止め、足りないものを補って成長したとき、その夢は役目を終える。 主人公の夢は役目を終えたように思えた。 この本からは、村上春樹の夢の役目(後継者探し)も感じられる。 この夢は、次の作品にも影響してくると思った。 もうすぐ発売なので、個人的に注目したい。

Posted by ブクログ

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