商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
| 発売年月日 | 2023/02/20 |
| JAN | 9784120056284 |
- 書籍
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黄色い家
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黄色い家
¥2,090
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商品レビュー
3.9
1166件のお客様レビュー
本当は知っているのに、みんなが知らないふりをしている世界。トー横やグリ下にある現実。 僕らが見ようとしない社会、見たくない社会が実は僕らの生活のすぐ隣にあるということを可視化した作品。 たまらなく苦しい。
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花の視点を通して語られる物語。読んでいる間は自然とその世界に入り込んでいたけれど、読み終えてから、「これはあくまで花から見た物語なんだ」と強く感じた。他の登場人物の視点から見たら、きっと全く違う物語になるんだろうと思う。 長い小説なのにぐいぐい読ませる力があって、やっぱり川上未...
花の視点を通して語られる物語。読んでいる間は自然とその世界に入り込んでいたけれど、読み終えてから、「これはあくまで花から見た物語なんだ」と強く感じた。他の登場人物の視点から見たら、きっと全く違う物語になるんだろうと思う。 長い小説なのにぐいぐい読ませる力があって、やっぱり川上未映子さんはすごい。新聞連載だったというのも、読後に知って面白かった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
黄色い家 レモン 川上未映子の小説は、私と主人公は全く境遇が違うのに、「この感情、理解できる」となる時があって苦しい。 しかも、それは私が思い出しては苦しめられて、また封印してきたような感情だったりする。『夏物語』もそうだった。 境遇自体は全然違っても、私も花も、『夏物語』の登場人物たちも、自分の人生にずっとついて回る「苦しみのテーマ」を持っていて、それに悩まされているところが似ているのかもしれない。 親が小さくなっていく感覚/黄美子さん 最初、黄美子さんのひょうひょうとしたコミュニケーションは、特別にすごい人だからできることのように見える。でも、だんだん、それが彼女自身の特性なんだと分かってくる。 前半では「黄美子さんがいれば安心」と思わせてくれる存在だったのに、後半では頼りにならなくなっていく。 だから時々、花が黄美子さんを頼りにしていた頃を思い出して苦しくなる。 気づけば、花が黄美子さんに指示を出すような関係になっている。黄美子さんがうまくできないと、花は時には怒ってしまう。周囲の仲間からも、黄美子さんは「おかしい人」として扱われてしまう。 後半に出てくる、黄美子さんのよれた服などの描写は生々しい。 花が見えていなかっただけ、あるいは環境や周囲のサポートによって見えなくなっていただけで、黄美子さんは最初からずっと「弱い人」でもあったのだと突きつけられる感じがする。 それでも花は、普段は忘れていても時々思い出す。 黄美子さんが、花のために冷蔵庫いっぱいに食料を詰め込んでくれたこと。その隙間から漏れていた黄色い光のこと。 ここがすごく苦しい。 お金に縛られる感覚 花は、何のためにお金を集めているんだろう。 たぶん本人は自覚していないけれど、「家」を守るためなんだと思う。 でも、その家を守るためのお金をめぐって、結果的に家は壊れてしまう。 そして、花は家族を信用していない。 安心するためにお金を集めているのに、その行為自体が人との関係を壊していく。 「頼られる」ことで作る関係 花には、人に頼られたい気持ちがあるように見える。 頼られるとうれしい。 でも同時に、どこか腹が立ってしまう。自分が利用されているような気持ちになって、悲しくなる。 この空回りする感じが分かる。 全体を通して、花は「自分が頼られる」「自分が相手の利益になる」という形の関係性を築いていることが多い。 花自身もそれを気持ちいいものとして受け止めている。 でも時々、その関係性の歪みがあらわになる。その瞬間がすごく痛い。 危ういバランスで保たれた彼女の家は、レモンが焼けた瞬間、呆気なく崩れ去っていく。一度は持ち直したように見えても、また違う方向に倒れていくだけ。 「相手のためにしている」と思っていたことは、本当に相手のためだったのか。 黄美子さんへの最後の提案もそう。 もしかすると花は、「相手のために何かをしている自分」でいることで、その人との関係を保っているところがある。 だから、対等な関係という意味では、ヨンスさんやことみさんは少し違う。花にとってかなり貴重な大人だったのかもしれない。 最後について 最後、花は黄美子さんに会いに行く。 ヨンスさんも会っていた。 でも、「もう終わったこと」。 もう遅かったのかな。 わからない。 わからないね、花ちゃん。 花はすごく頑張って、上手くやっていたけど、根本的な部分でたくさん間違えた。 でも、それは仕方のないことだと思うし、花のせいではない。 人は、自分がそれまで持っていなかったものを初めて手に入れた時、あるいは手に入れようとした時、どう扱えばいいのか分からず、適切に振る舞えないことなんてよくあると思う。まして、自分の周りにも、それをどう扱えばいいのかを教えてくれるような、いいお手本がなかったのなら。 花には、友達も、安心できる家族も、お金も、どれも初めはなかった。 たぶん、それは花の周りにいた大人たちも同じだったんだと思う。
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