商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 早川書房 |
発売年月日 | 2022/07/06 |
JAN | 9784150315276 |
- 書籍
- 文庫
嘘と正典
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嘘と正典
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商品レビュー
4.1
55件のお客様レビュー
直木賞作家・小川哲の、以前直木賞受賞候補作になったSF短編集。6篇が編まれている。どれも独立した話だが、共通項に、過去と未来、父と息子、血脈、歴史改ざん、などを持つ。少し小難しく、気品があり、魅力的だ。謎めいた話の立ち上がりから注意深く読み進め、その短編の世界観を徐々に把握し、や...
直木賞作家・小川哲の、以前直木賞受賞候補作になったSF短編集。6篇が編まれている。どれも独立した話だが、共通項に、過去と未来、父と息子、血脈、歴史改ざん、などを持つ。少し小難しく、気品があり、魅力的だ。謎めいた話の立ち上がりから注意深く読み進め、その短編の世界観を徐々に把握し、やがて筋はクライマックスを迎え…ホーっ、そういう展開ですか…。どれも複雑に構成された物語で、これぞ短編という味わいがあった。 「魔術師」は、かつてメディアで人気を博したマジシャンが再び表舞台に立ったとき、ステージ上でタイムトラベルのマジックを披露し、消えてしまった。そのステージの動画を何度も何度も見返す大人になった息子と娘。父は本当に過去に戻ったのか?父のマジックを再現しようとする姉。終始謎めいて不穏な雰囲気。 「ひとすじの光」は打って変わり、競走馬の血統をたどる話。疎遠だった学者の父は病に伏せっていた。亡くなる数日前に病室に呼び出された作家の息子は、父が唯一処分しなかった財産である競走馬についての父の原稿を読む。この馬のルーツを辿りながら、いつしか自分のルーツに思いを馳せる。 「時の扉」は、ファンタジーめいた話。どんな話なのかなかなか掴めない。古いヨーロッパのおとぎ話もしくはシェイクスピアの戯曲を読んでいるような感覚で読み進めているうちに、これは…!ある歴史上の人物の話なのだとわかる仕掛け。過去を認めず改ざんしていくと、時間は線形ではなくなる。 次の「ムジカ・ムンダーナ」は、異国情緒溢れる不思議な話。フィリピンの離島に、通貨の代わりに音楽で商取引がされる島がある。取引のために披露された楽曲は、徐々に価値を失っていくという。島の最高峰の音楽はまだ誰も聴いたことがない。かつてその島を訪問し帰ってきた作曲家の父は、以降いっさいの活動をやめた。父の遺品の中に古いカセットテープを見つけた息子は、印象的な曲が録音されていることを発見し、島に渡る…。 「最後の不良」は近未来の日本。流行を追いかけ続けることに嫌気が差し、オシャレを志すことがダサいと言われるようになった無機質な日本。トレンド情報誌の編集者だった主人公は、売れなくなった雑誌を横目に辞表を叩きつけ、特攻服を来て暴走族となるが…。ちょっと星新一テイストを感じた。 そして表題作「嘘と聖典」へ。冷戦の時代のソ連が舞台。主人公は、CIAの工作員。ソ連側の技士が寝返りたいと接触してくる。どうやら過去にメッセージを送る装置が開発されたそうな…?そこで、共産主義の祖であるマルクスとエンゲルスの出会いを阻止することで共産主義の誕生を阻止し、冷戦の原因を根絶できるのではという発想に至る…。果たしてこの歴史改ざんはどうなる。冒頭の伏線を回収するラストで、ふーっと満足感とともに本を閉じる。 贅沢な読書体験だった。
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時の扉以外は全て面白かった 表題作は特に話の密度が濃くて良いです やはりこの作者の文章が好き また他の作品も読みたい
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硬派な文体が好み。特に最初と最後の話が面白かった。残りの作品は、あと一歩、物語のおいしいところを感じられなくてもったいないと思った
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