商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2021/09/01 |
JAN | 9784167917586 |
- 書籍
- 文庫
自転車泥棒
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自転車泥棒
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商品レビュー
4.2
22件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
父の自転車を追うなかで、時空を超えてさまざまな人々の話が織り込まれていく、不思議な感じの小説。台湾と日本は密接に関わっていたんだな。表紙の絵が素敵、これも著者によるものだそうで、多才。
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台湾の小説。二十年前に失踪した父親。彼が乗っていた自転車が、息子である「ぼく」のもとに戻ってきた。「ぼく」は、その自転車が戻ってくるまでの物語を集めはじめる。その旅は、ビンテージの自転車の、足りないパーツを集めるようなものだ。いくら修理し続けても、完璧な状態にはならない。この小説...
台湾の小説。二十年前に失踪した父親。彼が乗っていた自転車が、息子である「ぼく」のもとに戻ってきた。「ぼく」は、その自転車が戻ってくるまでの物語を集めはじめる。その旅は、ビンテージの自転車の、足りないパーツを集めるようなものだ。いくら修理し続けても、完璧な状態にはならない。この小説は大量の断片によって語られる。自転車のパーツ、父の自転車の所有者たち、彼らの物語。そして主人公の人生。こうした断片によって構成される、台湾の近現代史。読んでいて、ポール・ボウルズの「シェルタリング・スカイ」を読んだときの感覚に似たものを覚えた。北アフリカの砂漠や迷宮をさまよい、人生の意味を探し、そして人生に翻弄される作品だった。本作はさまよって、翻弄されるわけではない。それでも「シェルタリング・スカイ」同様の、「この小説はなんなのだろう」というわからなさがあった。駄作、という意味ではない。むしろ、小説や映画といった作品すべてにわかりやすさを求める時代において、本作のような「わからなさ」は貴重だ。「これはいったいなにを言っているのだろう」と考えることが、人を成長させる。今回、そういう機会にめぐりあえてよかった。小説はこういう出会いがおもしろい。
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失踪した父と共に消えた自転車はどこへいったのか?そんな棘のように消えない記憶を抱え、古い自転車コレクターとなった作者。そこから始まる台湾自転車史から家族と台湾の歴史の壮大な物語。 父の自転車が作者の手に戻るまでに経てきた持ち主たち、その過程で知り合う台湾先住民族の青年カメラマンの...
失踪した父と共に消えた自転車はどこへいったのか?そんな棘のように消えない記憶を抱え、古い自転車コレクターとなった作者。そこから始まる台湾自転車史から家族と台湾の歴史の壮大な物語。 父の自転車が作者の手に戻るまでに経てきた持ち主たち、その過程で知り合う台湾先住民族の青年カメラマンのもう一台の自転車、さらにそのカメラマンの父の自転車と第二次世界大戦における銀輪部隊…と自転車を軸として展開される物語りが素晴らしい。 「古いものを愛するのは時間を愛すること」、たった一台の自転車からでも人は過去を見出すことができる。
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